アクチュアリーになるには? どんな資格が必要?

アクチュアリーになるまでの道のり

アクチュアリーになるには、公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する「アクチュアリー資格試験」に合格しなければなりません。

そのうえで同会の「正会員」になることで、必要な知識を備えたアクチュアリーと認められます。

アクチュアリー資格試験は非常に難しく、専門的な勉強をしていなければ太刀打ちできないため、生命保険会社損害保険会社、信託銀行などに就職して「アクチュアリー候補」として職務経験を重ね、その間に合格を目指して勉強を続ける人が多いようです。

このような会社は、基本的には大学卒業が条件で、就職したい企業として大変人気な場合が多いです。

実際にアクチュアリーになる人は東大・京大・慶応・早稲田などの出身者が多く、その人たちがライバルになるので、なるべく高学歴と呼ばれる大学を目指すことをおすすめします。

アクチュアリーになるまでのルート

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アクチュアリーの資格・難易度

アクチュアリーの資格試験は第1次試験と第2次試験に分かれており、いずれも筆記試験です。

第1次試験では「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」の5科目が出題され、すべてに合格した人のみが第2次試験に進めます。

第2次試験では、「生保」「損保」「年金」の3つのコースから1つを選び、より専門的な知識を問う2科目が出題されます。

この試験の受験にあたって年齢制限はないものの、最も早くて「大学3年生(4年制大学において、休学期間を除き2年以上在学し、かつ62単位以上の単位を修得した学生)」から受験が可能です。

また、2018年3月31日現在で正会員1,697人、準会員1,295人、研究会員2,125人の計5,117人しかおらず、難関資格であることがわかります。

アクチュアリー試験の難易度・合格率

アクチュアリーになるための学校の種類

アクチュアリーになるための学部・学科の制限はありません。

試験では数学に関する問題が多く出題されるため、数理学系の学部を出ていると有利になるでしょう。

しかし、理系のなかでも理工学部物理学科、生物学科、天文学、都市工学、機械情報工学など、さまざまな学科を卒業した人がアクチュアリー資格を取っています。

また、文系でも経済や金融工学などを勉強してきた人や数学の知識に自信がある人であれば資格を取ることができます。

アクチュアリーになるためにはどんな大学・大学院にいけばいい?

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アクチュアリーに向いている人

数学が得意なことが絶対条件

アクチュアリー試験は数学の知識が必要になりますが、候補生として就職する場合の採用試験でも数学の試験が課されることが多くなりますし、実務でも数学知識が必要になります。

そのため、数学が得意と言える実力があることが絶対条件で、数学が好きでなければ仕事を続けることが難しくなってしまいます。

生涯を通して数学が面白いと思える自信があり、それを仕事にしたいと強く思える人にアクチュアリーの仕事は向いているといえます。

根気よく勉強を続けられる

アクチュアリーの正会員になるまでには平均で8年程度かかるといわれており、生半可な気持ちでは到底続けられないでしょう。

さらに、ほとんどの人は仕事をしながら試験勉強を続けることになるため、ときには睡眠時間やプライベートの時間を犠牲にしなければならないこともあります。

「絶対に合格して正会員になる」という強い気持ちを持ち、自分で勉強スケジュールを組み立てて、誘惑に負けずに勉強を続けられる人でないと資格取得は難しいです。

人にわかりやすく説明ができる

アクチュアリーは保険の掛金などの計算がおもな仕事になりますが、商品開発をする場合は、価格設定などを他部署の人と話し合いをしながらする必要があります。

なぜその掛金なのかなど、アクチュアリー同士なら簡単に理解できることでも専門知識がない他部署の人にとっては理解しがたい可能性があります。

そのため、数学の知識がない人にでもわかりやすく説明できる能力が必要になり、専門職とはいえどコミュニュケーション能力も必要なのです。

アクチュアリーに向いている人・適性・必要なスキル

アクチュアリーのキャリアプラン・キャリアパス

アクチュアリー資格試験はとても難しいものですが、一度にすべての科目に合格する必要はないため、毎年1科目ずつ合格を目指していく方法もあります。

第1次試験の5科目に合格した時点で、「準会員」となります。

なお、すべての科目に5年で合格すれば早いほうで、平均で8年程度、10年かかる人も決して珍しくないようです。

そのため、就職して実務経験を積みながら試験合格を目指す人も多く、保険会社や信託銀行などできるだけアクチュアリー業務に関連する職場への配属を目指すべきといえます。

そのような職場では、試験対策講座の受講費を一部支給してくれたり、複数の科目に合格すると給与面などで優遇されたりするなど、会社の後押しが期待できるケースが多いです。

「アクチュアリー候補生」として入社するのがベストですが、その就職試験は狭き門となりますので、その枠に入れるように大学や大学院でしっかりと数学の知識を学んでおく必要があります。

アクチュアリーを目指せる年齢は?

アクチュアリー資格に年齢制限はありませんので、何歳でも目指すことができます。

しかし、上記でも説明していますがアクチュアリー資格は非常に難関資格で、正会員になるまでには何年もかかります。

企業としては、未経験の人を中途で雇うというのはリスクも高く、自分の会社で新卒からアクチュアリーを育てるか、すでに資格を持っている人を転職で雇いたいというのが本音です。

そのため、アクチュアリーとして再就職したいのであれば、遅くとも20代後半までに決心して、自力で第一次試験の1科目でも合格できるようにしておくとよいでしょう。

アクチュアリーは女性でもなれる?

理系を選択する女性が少ないということもあり、他の理系職業と同様、アクチュアリーはまだまだ女性の人数が少な異職種です。

総務省の過去の調べによれば、アクチュアリーの有資格者総数のうち、女性の割合は約5%程度とのことで、医者や薬剤師など他の専門職と比べても、アクチュアリーとして働く女性はまだまだ少ないといえます。

しかしながら、希少性が高い職種なので資格や経験があれば引く手数多で、出産や育児を経ても復帰や再就職がしやすいです。

今後アクチュアリーという職業が注目されれば、女性アクチュアリーの数も増えていくと予想できます。

女性のアクチュアリーのキャリアパス・結婚後の生活

アクチュアリーの採用の状況は? インターンはある?

アクチュアリーの就職先にはどんなところがある?

アクチュアリーの多くは生命保険会社・損害保険会社・信託銀行などの金融機関で正社員として働くことが多いです。

新卒採用からアクチュアリーとして働きたい人向けの枠が用意されている会社もあり、入社後すぐにアクチュアリーとして働きながら、資格取得の勉強を始めることができます。

アクチュアリー資格は全部合格して正会員になるまで8~10年ほどかかるため、新卒として入社するタイミングではアクチュアリー資格は必須ではなく、働きながら資格取得を目指す人が多いです。

それぞれの職務に合わせて、生保アクチュアリー、損保アクチュアリー、年金アクチュアリーと専門性を身につけていきます。

アクチュアリーの勤務先の企業の種類・活躍の場

アクチュアリーの求人の状況

日本国内において、アクチュアリーは近年急速に需要が高まっているものの、まだまだ人数が少ないため、常に求人募集をかけている企業も少なくありません。

日本アクチュアリー会の正会員になるまでには何年もの時間がかかるのが普通であり、各企業ではより優秀なアクチュアリーを求め、募集を行う傾向にあるようです。

ですから就職先を見つける場合は、まずアクチュアリー資格試験の科目に一つでも多く合格していることが有利になってきます。

さらに生命保険会社や損害保険会社、銀行などアクチュアリー関連業務の経験があることもプラスになりますし、応募資格として、これらの条件が掲げられているケースも多いです。

最近、アクチュアリーの活躍の場は広がっており、保険会社や信託銀行だけではなく、さまざまな企業がリスク管理などの職務に期待してアクチュアリーを採用するようになってきました。

アクチュアリーの就職先の選び方

「アクチュアリー候補生」枠のある企業を選ぶ

新卒生がアクチュアリーを目指す場合、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行などが代表的な就職先となるでしょう。

これらの多くでは、「総合職」といった職種とは別で「アクチュアリー候補生」採用を実施しており、まずはその枠に入ることがアクチュアリーになる近道といえます。

なぜなら、アクチュアリー業務を行う職場に配属されると、仕事を通じてアクチュアリーとしての基本を身につけられるばかりではなく、試験対策講座の受講費を会社が負担してくれたり、合格科目数によって特別手当が支給されたりするなどの待遇が用意されている場合が多いためです。

そのため、アクチュアリーになりたいのであれば、アクチュアリー枠が用意されている企業に就職することがアクチュアリーへの早道となります。

アクチュアリー候補枠に採用されるためには?

ただし、この枠は決して大きくないうえに優秀な学生がこぞって集まるため、戦いは厳しいものとなるでしょう。

学生のうちにアクチュアリー資格試験に1科目でも合格しているとベターですが、合格は必須ではないとしている企業も多いようです。

基本的に大学名や学部、専攻等は問われないものの、実際アクチュアリーを目指す人は、一流大学出身者が多いといわれます。

一般的に、面接以外に数学の筆記試験が実施されるため、ある程度の数学的能力がなければ合格は難しいでしょう。早い段階でアクチュアリー資格試験の内容を確認し、一度でも挑戦しておくことに越したことはありません。

アクチュアリーの志望動機・面接

アクチュアリーは、理系の人にとっては大学や大学院で勉強した数学の知識を生かせる魅力的な仕事であり、実際、その知識を生かしてお客さまに喜んでもらえる商品を作りたいと思い志望する人が多いです。

しかし、アクチュアリー業務は数学ばかりをしているわけではなく、他の部署の人と一緒に商品開発をしたり、お客さまからのニーズをヒアリングしたりと、意外とコミュニケーション能力が必要になります。

そのため、面接では数学的な能力はもちろんですが、他のスタッフと円滑にビジネスを進めるためのコミュニケーション能力や、自分の考えをわかりやすく相手に伝えるための日本語力などがあるかというところもジャッジされます。

アクチュアリーの志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

ホームページの新卒採用情報を確認

ほとんどの企業では、新卒採用の時期になるとホームページに新卒採用情報が掲載されて、そこで求める人材やどんな仕事をするかなどの情報を得ることができ、場合によってはエントリーができます。

毎年アクチュアリー候補生の枠がある企業のホームページをこまめにチェックして、新卒採用試験を受けようと思っている年も採用があるかをチェックすることが大切です。

また、数学科などの場合は先輩もアクチュアリーとして働いている場合もあると思いでしょう。

アクチュアリーの先輩に、どのような仕事内容なのかなどを聞いておくとアクチュアリーの働き方のイメージもつきやすくなりますし、採用情報を得られる可能性もあります。

転職サイトに登録

アクチュアリーに転職したい場合は、転職サイトに登録して、希望職種に「アクチュアリー」と入力することにより、募集中の会社を知ることができます。

場合によっては転職サイトのカウンセラーについてもらうことで、優良人材と判断されれば非公開の求人を紹介してもらえることもあります。

アクチュアリーの需要は高まっていますが、未経験でアクチュアリーを目指すのはハードルが高いので、独学で一教科でもアクチュアリー試験に採用しておくと有利に採用試験を進めることができる可能性が高くなります。

アクチュアリーのインターンはある?

アクチュアリーという仕事はあまり理解しにくい職種ということと、理系の優秀な人材に興味を持ってほしいという思いから、多くの会社でインターンシップを実施しています。

たとえば損保会社のインターンシップであれば、さまざまなリスクを想定して、グループワークで保険の擬似設計を行うという会社もあります。

ほとんどの会社では1日限りの短期のインターンシップを行なっており、実際に働くというよりは、どんなことをしているのかということを学ぶというテイストです。

絶対に参加する必要はありませんが、実際に社員の人たちから話を聞くだけではなく、頭を使いながら仕事内容を理解できるチャンスなので、時間がある場合はなるべく参加することをおすすめします。