ソムリエ・ワインエキスパート・ワインアドバイザーの違い
ソムリエ・ワインエキスパート・ワインアドバイザーの違い
ワインの専門知識を証明する資格はソムリエ以外にもあり、しばしば混同されます。
とくに「ソムリエ」「ワインエキスパート」「ワインアドバイザー」の違いが分からないという声が多く、どの資格を受ければよいか迷う人もいます。
そのなかでも「ワインアドバイザー」の資格試験は現在実施されていないため、注意が必要です。
ソムリエとワインエキスパートの違い
ソムリエとワインエキスパートの大きな違いは、ワインの専門知識を生かして仕事しているかいないか、にあります。
ワインの知識を持っていることに関しては、ソムリエもワインエキスパートも同じです。
二者が異なるのは、ソムリエがワインの知識を生かして飲食店などに勤務する専門職であるのに対し、ワインエキスパートはワインの知識を持った愛好家である、という点です。
ソムリエは職業として働くワインの専門家なので、一定以上の実務経験がなければ試験を受けることができません。
一方、ワインエキスパートは20歳以上であれば、経験を問わず誰でも受験できます。
資格に関する最新の情報は、日本ソムリエ協会のページで確認してください。
ワインアドバイザーの呼称はソムリエへ統合
ソムリエという資格は、2015年まで「ワインアドバイザー」と呼ばれていました。
これは長年使用されてきた日本独自の呼称でしたが、2016年より世界的に一般的な呼び方である「ソムリエ」に変更となりました。
名称の変更にともない、ワインエキスパートの有資格者も、申請手続き(2021年11月30日まで)を完了すれば「ソムリエ」の呼称で活躍することができます。
呼称統合の背景には、近年「ソムリエ」の名称が「〇○ソムリエ」(「野菜ソムリエ」や「温泉ソムリエ」など)としてワイン以外の分野にも広がっており、ワインの専門家である本来の「ソムリエ」の定義があいまいになっている現状があります。
「○○ソムリエ」という呼称は世界でも多く出現していて、「O.I.V.(国際ぶどう・ぶどう酒機構)」はソムリエの定義づけを改めておこないました。
日本ソムリエ協会もこの方針に従い、ワインアドバイザーではなく「ソムリエ」という呼称をワインの専門家の正式名称としたというわけです。
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ソムリエとワインエキスパートの資格の違い
ワインアドバイザーの呼称は現在使われていないため、ここからはソムリエとワインエキスパートの違いを見ていきます。
ソムリエとワインエキスパートでは、ワインの知識を使用して仕事をしているか否か以外にも違いがあります。
違いの一つは資格の内容で、両者には受験の条件と試験内容に少し違いがあります。
ソムリエ資格を受験するには飲食店における2年以上の実務経験が必要となる一方、ワインエキスパートは20歳以上であれば誰でも受けることができます。
また、筆記試験とテイスティング試験の内容はどちらもほとんど同じですが、ワインをお客さまに提供するソムリエには「サービス実技」の試験が加わります。
資格の合格率は、ソムリエが35〜45%ほど、ワインエキスパートが30〜40%ほどとなっています。
ソムリエ資格の受験者は実務でテイスティングを経験する機会が多く、二次試験(テイスティング)の合格率が非常に高くなっています。
ソムリエの合格率がワインエキスパートより高いのはこのためだといわれています。
ソムリエとワインエキスパートの学校・学費の違い
ソムリエやワインエキスパートになるために必ず通わなければいけない学校はありません。
ソムリエは実務によって経験を積みながらワインの知識を学んでいく性質が強いため、学校でワインを勉強してからソムリエになる人はあまりいません。
しかし、将来を見据えて学校を選ぶなら、調理系の学校や観光系の専門学校へ進むとよいでしょう。
調理系の専門学校や調理コースのある大学では、ワインを専門的に学べる学科はほとんどないものの、さまざまな分野の料理を学ぶため、ワインのペアリングに役立ちます。
また、ソムリエの多くはホテル内にあるレストランに勤務しているため、観光系の学校でホテル業やおもてなしについて学んでいれば、就職活動だけでなく就職後の業務にも生かせます。
一方、ワインエキスパートは大学や専門学校ではなく、独学のほか、民間のワインスクールや通信講座を利用して学ぶ人が多いです。
調理系・観光系の専門学校に通う場合の学費は、年間100〜200万円ほどが相場です。
民間のワインスクールや通信学校では5〜20万円ほど(コース期間による)の受講費が必要となります。
ワインスクールのなかには、ワインエキスパートだけでなくソムリエ資格の対策講座を設けているところもあります。
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ソムリエとワインエキスパートはどっちがおすすめ?
ソムリエとワインエキスバートでは、資格試験の内容にあまり違いはありませんが、ワインの専門知識を仕事に生かすかそうでないかという点において大きく異なります。
ソムリエは、ワインの知識を持っているだけで務まる職業ではありません。
お客さまに最適なワインを提供するには、会話から自然に要望を聞き出すコミュニケーション能力が求められるほか、ワインの生産者や輸入業者とのやりとりでは交渉スキルも必要です。
勤務先によっては、ソムリエの業務以外にも、料理や飲み物のオーダーを受ける、お皿を運ぶといったホール業務や、食器洗いなどの調理補助を兼任することもあります。
自分でワインを楽しむだけでなく、仕事としてワインの知識を使用し、お客さまに喜んでもらうことにやりがいを感じる人は、ソムリエに向いているといえます。
一方、すでにほかの職業に就いている人や、趣味としてワインを楽しみたい人には、ワインエキスパートの資格がおすすめです。