【2023年版】産業カウンセラー試験の難易度・合格率

産業カウンセラー資格とは

産業カウンセラーと名乗って働くには、「一般社団法人 日本産業カウンセラー協会」が認定する「産業カウンセラー」の資格を取得する必要があります。

この資格は民間資格であり、数ある心理カウンセリング系の資格のなかでも「産業領域」での支援ができる一定の知識・スキルを示すものとなっています。

まったく資格を持たない人、あるいは「臨床心理士」や「公認心理師」など別の心理系資格を取得した人が、産業領域でカウンセリング実務にあたることは可能です。

ただ、産業領域を専門にしたいと強く考えている場合には、産業カウンセラー資格を取得して、この領域で求められる専門的な知識やスキルを身につける人も多くいます。

産業カウンセラーになるには

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産業カウンセラー試験の受験資格

産業カウンセラー試験の主な受験資格は、以下の通りです(2020年時点)

下記のいずれかを満たす必要があります。

(1)試験日に20歳以上で、協会が行う産業カウンセリングの学識および技能を修得するための講座を修了した者
(2)大学院研究科において心理学または心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名称を冠する専攻(課程)の修了者であって、特定の科目において必要な単位数を取得している者

※「学士(大学卒業)」による受験資格は2016年度試験をもって廃止されました)

(1)に書かれている「講座」は、日本産業カウンセラー協会が実施する産業カウンセラー養成講座です。

学歴不問で受講できることもあり、多くの人はこちらのルートで産業カウンセラー試験を受けているようです。

(2)のルートを簡単にいえば、大学院で心理学などの専門的な勉強をしなくてはなりません。

大学卒業後に大学院まで進学するハードルの高さを考えると、やや難易度は高めといえますが、アカデミックに幅広い心理学を学習した経験は、産業カウンセラーとしても生かせるでしょう。

産業カウンセラーになるための学校(大学・養成講座・通信講座)

産業カウンセラー試験の難易度・勉強時間

産業カウンセラー試験は専門的な試験のため、他の資格試験と比べて難易度を表すのは難しいところがあります。

ただ、養成講座のカリキュラムが、通学での理論講義や体験学習で116時間、e-Learningやホームワークで73時間相当となっていることから、基礎的な知識を身につけるのに約200時間は必要といえます。

そのうえで、資格試験に向けた自主学習として100時間ほど勉強して試験に臨む人が多いようです。

なお、産業カウンセラー資格試験の勉強方法としては、養成講座のテキストを読み込むことと、日本産業カウンセラー協会が出している「産業カウンセラー試験厳選問題集」を使うのが最もスタンダードな方法です。

テキストを読み、問題集を解いて、間違えたところや理解が足りていないところは、再度テキストで確認する流れを繰り返していくのが効果的とされています。

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産業カウンセラー試験の合格率

産業カウンセラーの試験は、社団法人である日本産業カウンセラー協会が年に1回実施しています。

試験は「学科試験」「実技試験」に分かれて行われます。

産業カウンセラー試験は専門的な内容であるため、何かと難易度を比較するのは難しいですが、例年の合格率は60%~70%ほどです。

参考までに、日本産業カウンセラー協会が発表した2019年度の試験結果は下記の通りです。

<学科試験>
志願者数:2,891名
欠席者数:103名
受験者数:2,788名
合格者数:1,936名
合格率:69.4%

<実技試験>
志願者数:1,176名
欠席者数:54名
受験者数:1,122名
合格者数:746名
合格率:66.5%

総合合格者数:1,884名
総合合格率:62.3%

産業カウンセラー試験を受験する人は、大学や大学院で心理学を学んでいたり、養成講座でこの領域に関する専門的な勉強をしている人ばかりです。

そう考えると、試験は決して簡単なものではなく、それなりの対策をして臨まないと合格は難しいといえそうです。

なお、学科試験に合格して実務試験が不合格だった場合は、翌年度や翌々年度の試験で学科免除になります。

反対に実技試験に合格して学科試験に不合格だった場合は、翌年度と翌々年度は実技試験が免除となります。

また、産業カウンセラー養成講座受講者で、養成講座内カリキュラム「面接の体験学習」で一定の基準に達していると評価された場合には、産業カウンセラー資格試験での実技試験が免除されます。

上級資格「シニア産業カウンセラー」はさらに難関

産業カウンセラーとして経験を積んだ人が挑戦する上級資格である「シニア産業カウンセラー」は、さらに難易度が高いです。

合格率は年度によって異なりますが、20%に満たない年もあります。

なお、シニア産業カウンセラーを受験するには「産業カウンセラー試験合格後3年が経過していて、協会や協会が委託して行う産業カウンセリングの講座を修了していること」や「産業カウンセラーの資格を有し、大学院研究科において特定の専攻を修了していること」などの条件があります。

産業カウンセラーとしての経験を積んだ人が受験してもかなりの割合の人が不合格となる試験であることから、シニア産業カウンセラーの資格を取得していると、能力の高い産業カウンセラーだということをアピールできるでしょう。