産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの違い

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの仕事内容の違い

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントは、活躍する領域や仕事内容、役割などに似通った部分があります。

産業カウンセラーの場合、その活躍の場のほとんどは企業や団体などの組織です。

それらで「働く人」に対して、職場での人間関係から生まれる悩み、キャリアに関する不安などをカウンセリングし、助言を行って相手がイキイキと働けるように支援します。

また、組織がより働きやすい環境になるような研修を実施したり、制度作りなどにカウンセラーの立場として関わったりすることもあります。

一方、キャリアコンサルタントは「キャリア」に関する専門家です。

ここでいうキャリアとは、就職・転職、昇進などはもちろん、ライフスタイルや価値観なども含めた「人の生き方全般」まで指し示すこともあります。

キャリアコンサルタントとしての代表的な活躍の場は、人材派遣会社や人材紹介会社など「人材サービス系」の企業です。

そのような場では、就職・転職を希望する人に対してカウンセリングを行い、キャリアの希望を聞くとともに、その人の強み・弱みを把握します。

そして、相手に適した仕事を紹介したり、キャリア選択のアドバイスをしたりするのが基本的なキャリアコンサルタントの役割です。

それ以外の一般企業や、教育機関、ハローワーク(公共職業安定所)などで働く人もいます。

どちらも働く人と向き合ってカウンセリングをする点では共通しますが、産業カウンセラーのほうが、現在の職場(仕事)で困っている人の悩みや精神面の問題に向き合うケースが多いです。

キャリアコンサルタントの仕事

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産業カウンセラーとキャリアコンサルタントのなる方法・資格の違い

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントは、以下のように、それぞれなるために必要とされる資格が異なります。

・産業カウンセラー:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会認定「産業カウンセラー」(民間資格)
・キャリアコンサルタント:「キャリアコンサルタント」(国家資格)

産業カウンセラー資格は、20歳以上で受講可能な産業カウンセラー養成講座を受けて、資格試験に合格すれば取得できます。

キャリアコンサルタント国家資格は、国が認定する養成講習を修了し、国家試験に合格したうえで登録する必要があります。

なお、働く人やキャリアに関するカウンセリング自体は、無資格でも行えます。

しかし、「産業カウンセラー」もしくは「キャリアコンサルタント」と名乗って仕事をするためには、該当する資格を取得しなくてはなりません。

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格・必要なスキルの違い

もともと、キャリアカウンセラー関連の資格はいくつもの民間資格が乱立する状態でしたが、2016年に初の国家資格「キャリアコンサルタント」が誕生しました。

キャリアコンサルタントは、さらに「導入レベル」「標準レベル」「熟練レベル」「指導レベル」に分かれ、それぞれ求められる能力と期待される役割が異なっています。

産業カウンセラーもキャリアコンサルタントも、カウンセリングの基本となる「傾聴」スキルをはじめ、キャリアに関する理論、相談者の抱える問題を引き出す方法などを学びます。

また、産業カウンセラーの場合は、職場のメンタルヘルスや産業組織心理学、労働関係の法律についての学習も行います。

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産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの学校・学費の違い

産業カウンセラーになるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。

産業カウンセラー試験の受験資格を得るひとつの方法として、大学院で心理学や人間科学、人間関係学などを専攻し、所定の科目を取得する道があるため、そのような学校で専門的に学ぶ人もいます。

しかし、別の方法として日本産業カウンセラー協会の養成講座を受講する道もあり、そちらでは学歴が問われません。

つまり、どのような学校を出ている人であっても、産業カウンセラーになれるチャンスはあります。

一方、キャリアコンサルタントは、民間団体などが実施するキャリアコンサルタント養成講習を受講するか、キャリアカウンセリングの実務経験を積むことで、キャリアコンサルタント国家試験が受けられます。

こちらも学歴の要件はありません。

話をまとめると、産業カウンセラーもキャリアコンサルタントも、決して大学・大学院などで心理学を専門に学ばなければなれない職業ではないのです。

しかし、どちらも心理カウンセリングに関連する専門知識を身につけておけば、実務で役立つのは確かです。

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの給料・待遇の違い

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの給料・待遇は、どういった勤務先で、どのような働き方をするかによって異なります。

企業で正社員として勤務する場合には、その会社の給与規定に沿って給料が支払われます。

経験や能力等にもよりますが、平均年収は同社における他職種の社員と同じくらいの水準になるでしょう。

社内で昇進し、役職につけば基本給のアップや、役職手当の支給などで収入が増えます。

また、大手企業では資格手当がついたり、ボーナスの支給、福利厚生も充実しています。

ただし、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントは、非常勤やパートとして働く人も少なくありません。

その場合、給料は時給制が一般的で、正社員ほどの福利厚生も適用されないことが多いです。

全体的に見ると、国家資格であるキャリアコンサルタントのほうが、やや高い評価を得ることがあるようです。

しかし各勤務先で求められる役割や個人の能力、専門性などによっても評価は異なるため、一概には「どちらのほうが確実に給料がよい」とはいえません。

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントはどっちがおすすめ?

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントは、どちらも「働く人(働きたい人)」に対してアプローチし、活躍できる領域が重なる部分も多々あります。

ただ、産業カウンセラーは「心理学的手法」を生かして働く人たちの問題解決の援助をするため、より「精神面」の問題に触れる場面が多くなるでしょう。

相談者が深刻なメンタルの問題を抱えている場合、産業医などと連携する必要も出てきます。

一方、キャリアコンサルタントは個人の「キャリア」に関する助言や指導が中心となり、相談者の仕事や人生設計に関わることが多いです。

この違いを踏まえて、どちらがやりたい仕事に近いか考えていくのもよいでしょう。

なお、資格を生かして就職・転職したい気持ちが強ければ、国家資格として注目されているキャリアコンサルタントのほうが、有利になる場面が多いかもしれません。

もちろん産業カウンセラー資格では就職・転職ができないわけではないですが、現状では、すでに人事部などで働く社員がカウンセリングスキルや傾聴スキルを身につけるために、プラスアルファでこの資格取得を目指す例も多いようです。

また、キャリアコンサルタントは企業内以外に、ハローワークやジョブカフェ、学校のキャリアセンター、人材系企業などでの求人も多く、産業カウンセラーよりもやや活躍フィールドが広めです。

ただし、どちらも資格があるだけで就職・転職が保証されるわけではありません。

資格取得後も、日々勉強を重ねて多様なケースに対応できる知識を身につけ、実務経験を通じて専門性を磨く努力が不可欠です。