パタンナーになるには? 必要な資格はある?
パタンナーを目指すにあたって、まずは資格を取ろうと考える人もいるでしょう。
本記事では、パタンナーを目指す人におすすめの資格を紹介します。
パタンナーになるまでの道のり
服飾系の学校へ進学する
パタンナーとして働くために必須となる学歴や資格などはありません。
しかし実際には、全くの未経験者や知識がない人を採用するケースは少なく、事実上の採用対象になるのは以下の人たちです。
- 服飾系や被服系の専門学校
- 大学
- 短大
などを卒業している人
単に洋服に詳しければ活躍できるわけではなく、服づくり全般に対する知識(縫製や歳断、素材など)やカラー・デザインに対する知識も求められます。
まずはファッション・アパレル業界に入ること
未経験者のパタンナーの求人は、決して多くはありません。
技術力が問われる職業なので、まずはとにかくパタンナーとして就職して経験を積むことが必要になります。
パタンナーとして就職したとしても、最初の何年かは型紙を作らせてもらえないこともあります。
しかし、アシスタントして経験を積み、技術を身につけることによって一人前のパタンナーへと成長することができるでしょう。
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パタンナーの資格・難易度
必須の資格はない
パタンナーに特別必要な資格はありません。
無資格でも腕がよければ一流のパタンナーになれますし、すでに活躍しているパタンナーの多くはとくに資格を持っていません。
パタンナーにとって資格取得はあくまでも知識やスキルを身につけるための手段でしかないといえます。
資格を使って就職を有利にしたり、就職後の業務に役立たてたりするという通過点として認識しましょう。
専門学校やスクールなどでは資格取得を奨励する雰囲気がありますが、現場で資格の有無を問われることはほとんどないのが現実です。
しかし未経験から就職するとなると「パターンメーキング検定」というパターン技術を試す資格を採用の条件にしている企業も多く、この資格取得を目指す人が増えています。
パターンメーキング技術検定
パターンづくりの技術を評価する「パターンメーキング技術検定」は1級から3級まであり、一般的に2級以上だと専門的な知識があると見なされます。
CAD利用技術者検定
「CAD利用技術者検定」は、現在のパタンナー業務には欠かせないCADについて知識やスキルを評価するものです。
CADについて一定以上の知識があって、CADを学んできたことの証明になるので、就職には有利に働きます。
パターンメーキング技術検定試験とは? 難易度・合格率はどれくらい?
パタンナーになるための学校と学費(大学、専門学校)
パタンナーになるための学校の種類
パタンナーになるには、服飾系やファッション系の専門学校で勉強をし、パターン作りの知識と技術を身につけることが最も近道だとされています。
ほかにも大学や短大、スクールなどで同様のことを学べる場所はありますが、一般的なのは専門学校です。
知識よりも経験がものをいう世界だからこそ、より実践的な経験を多く積ませてくれる学校を選ぶことで、実践力のあるパタンナーに近づくことができるはずです。
パタンナーになるための大学
四年制大学や短大にも服飾系学科を置くところがありますが、こちらでは学術的な知識は豊富に学べるものの、専門学校のような実践的な経験値を高めるというカリキュラムはやや少なめです。
ここが、就職を目的とした学校と教養を目的とした学校の違いです。
そのため、大学でパターンに関連する勉強をした人であっても、パタンナーになるために在学中・卒業後に専門学校に入る人も少なくありません。
ただし大卒の学歴は、将来的に転職をする際に応募先の選択肢が広がる可能性はあります。
費用面では、服飾に関する学科を設けているのは私立の大学が中心のため、4年分の学費はどうしても専門学校より高額になります。
パタンナーになるための専門学校
パタンナーになるには、パターン製作に関する学科・コースがある専門学校が最も有利だとされています。
そういわれる最大の理由は、パタンナーという仕事が経験ありきだという点です。
服飾系・ファッション系の専門学校はそのことを充分心得ているため、約2年(学校によって1年から3年)の在学中は、とにかく実践的な経験を重視したカリキュラムで経験を積ませてくれます。
ただテキストを読んで知識を詰め込んだだけではなく実践を重ねてきた人材であることから、採用側は専門学校でしっかり勉強してきた人を好む傾向があります。
専門学校の費用は年間約90万〜150万円程度のところが多いようです。
学校によっては学費だけでなく、制作用の道具類や材料費などがかかる場合もあるため注意が必要です。
パタンナーになるための民間スクール
学生や社会人などを対象とした民間スクールのなかにも、パタンナーとしてのスキルを身につけ、パタンナー職としての就職を目的とした講座があります。
その数はとても多く、スクールを活用してパタンナーになりたいと思っている人が多いことがうかがえます。
しかし、パタンナースクールのほとんどは服飾系・ファッション系の専門学校が開講しているもので、本科と別に派生的にパタンナー講座を設置しています。
短いところだと在学期間は数ヵ月というところもありますが、期間の長短よりも大切なのは現役のパタンナーが講師を務め、より実践的な経験に重点を置くスクールを選ぶことでしょう。
期間やカリキュラムによって費用はさまざまなので、自分の目的や予算に合ったものを選ぶとよいでしょう。
パタンナーになるために勉強すること
パターン作成の技術
パタンナーになるためには、基本的な平面パターンをはじめ立体裁断や工業用のパターンなど、各種パターンの作成の技術を身につけることが不可欠です。
平面パターンは独学でも専門書を使って勉強し、練習を重ねることである程度できるようになるといわれますが、立体裁断は難易度が一気に高くなります。
平面の製図を見て、立体の形をイメージできるようになる必要がありますし、生地の特性も理解したうえで最適なパターンを考えなくてはなりません。
スカート・ジャケット・パンツ・ブラウスなど、さまざまな種類の服のパターンを練習しながら技術を磨いていきます。
服飾に関する幅広い知識
パタンナーは、デザイナーが描いたデザイン図に基づいてパターンを作成するため、デザイナーの意図を正確にくみ取るには、服飾に関する専門知識が不可欠です。
生地の種類やカット方法、縫製の方法まできちんと頭に入っていなければ、デザイナーのイメージを再現したり、着心地を考慮したパターンを作成したりするのは難しいでしょう。
またファッションは流行の移り変わりが早く、その時代に適したシルエットがあります。
パターン作りの際にもその内容を生かす必要があるため、つねにファッションのトレンドにアンテナを張り巡らせて情報をキャッチすることも重要です。
CADのスキル
先にも挙げたように近年では、パタンナーがCADというコンピュータ上で動くソフトを利用するケースが増えています。
アパレル専用のCADも登場しており、パタンナーはそれを使ってパターン作成からサイズ展開、型入れなどの作業を進めていきます。
まだ手書きで仕事を進めている現場もありますが、これからのパタンナーにとって、CADを問題なく扱えることは必須スキルと考えておいたほうがよいでしょう。
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パタンナーに向いている人
想像力のある人
パタンナーには想像力が必要です。
デザイン画をもとに完成形を頭の中でイメージし、形にする能力が求められます。
また当然ファッションのセンスも必要であり、常に流行に敏感でなければいけません。
手先が器用な人
パターン製作は数ミリの狂いも許されない緻密な作業です。
生地の柔らかさや厚みなどを考慮した上で、正確さも要求される職人的な仕事です。
手先が器用であり、細かいことに几帳面な性格の人が向いているといえるでしょう。
パタンナーのキャリアプラン・キャリアパス
未経験者はアシスタントからのスタートが基本
まったくの未経験者が「即戦力のパタンナー」として雇われるケースは非常に少なく、多くの場合、まずはアシスタントとして経験を積み、技術を身につけることで一人前のパタンナーとして成長していきます。
たとえば服飾の専門学校卒業生がアパレルメーカーのパタンナー職に応募する場合、社内では「アシスタント」からスタートし、身についたスキルなどに応じて「リーダー」や「チーフ」などへと昇格していくことが多いようです。
専門学校にも通わず、いきなりパタンナーの世界に入ることは簡単ではないものの、未経験者をアシスタントとして採用する可能性はゼロではありません。
ただしアシスタントになれたからといって、誰もが一人前のパタンナーになれるわけではない、ということは肝に銘じておくべきでしょう。
アシスタントから一人前のパタンナーへ
アシスタントとして仕事を始めた場合、最初からパターン作りができるとは限りません。
先輩が作ったパターンをカットしたり、仕様書を書いたりといった補佐的な仕事からスタートし、仕事に慣れてからパターン作りまで任せてもらえることが多いようです。
また「パタンナーアシスタント」と名乗る場合でも、任される業務は企業によってまちまちです。
大手企業や多数のパタンナーを輩出している企業では、アシスタントの教育プログラムが出来上がっていることが多いですが、育成に力を入れていない企業の場合、中にはアシスタントを「雑用係」と考えるケースもあるようです。
パタンナーの実務が経験できなければ、いつまでたってもパタンナーとしての力量は上がっていきません。
アシスタント職に応募する場合は、将来的にパタンナーになりたい意志を伝えたうえで、その場所できちんとキャリアを築けるのかどうかを見極めることが必要でしょう。
パタンナーを目指せる年齢は?
社内での転職
退職する人が多いということも含めて、ファッション・アパレル業界は人材の流動が激しいことで知られています。
最初はショップ店員として就職したのに気がついたら本社スタッフになっていたり、人によってはパタンナーの仕事をしていたり、ということも実際にあります。
逆に、パタンナーとして就職したのに気づけば営業になっているということもあり得ます。
人の流動が激しいということは身分が不安定になりがちですが、その一方でパタンナーとしての就職ができなかったとしても、人事異動でパタンナーとしての道が拓けるケースもあります。
他業種からの転職
手に職をつける仕事ということもあって、将来長く続けていける仕事としてパタンナーを選ぶ人もいます。
他業種に就職したものの、服を作る仕事に関わりたいという夢を捨てきれずにパタンナーを目指す人もいるでしょう。
ただし、一定期間仕事から離れて専門学校に入るくらいの思い切りが必要になるため、30代以上から一念発起してパタンナーに転職するのは困難な道といえます。
パタンナーの働き方の種類
パタンナーには正社員として企業に勤めるほかに、さまざまな働き方があります。
ライフスタイルや目指すパタンナー像によって自分に合った働き方があるといえるでしょう。
派遣のパタンナー
派遣のパタンナーとは?
アパレルメーカーでは派遣社員として働く人も存在します。
派遣とはいってもパタンナーは専門職に位置付けられるため、未経験者はほとんど採用されません。
なかには正社員の補佐的な仕事を任されることもありますが、派遣でも第一線でパターンを引いたり、工場とやりとりをしたりする人は多くいます。
何よりもパタンナーは実力勝負の仕事であるため、スキルさえあればよい条件の仕事を見つけやすいでしょう。
派遣のパタンナーになるには?
近年増加しつつあるアパレル専門の派遣会社に登録すれば、豊富な案件のなかから、自分の希望に合う案件を紹介してもらうことができるでしょう。
派遣の場合、数ヵ月程度の短期で契約が終わってしまう案件もありますが、長期で安定して働ける求人もあります。
業界の事情をよく知っている派遣会社に登録することで、安心してキャリアの相談にのってもらうことができるでしょう。
なお大手のアパレルメーカーは東京を中心とした都市部に集中しているため、派遣の求人も一定のエリアに固まっているのが実情です。
派遣のパタンナーの給料・待遇
派遣のパタンナーは、基本的に時給制で給料をもらうことになります。
相場は時給1,200円から1,500円程度のようですが、実力によっても変わってくるため、経験豊富で腕のいいパタンナーはもっと高い時給で働いていることもあります。
派遣は正社員よりも不安定といわれることが多いですが、さまざまなアパレルメーカーで勤務しながら多様な経験を積み、本当に自分に合う職場を探すために、あえて派遣という働き方を選ぶ人もいるようです。
アルバイトのパタンナー
アルバイトのパタンナーとは?
パタンナーのなかにはアルバイトとして採用されている人もいます。
大手メーカーの場合、パタンナーだけでも数十人といった人数を抱えており、業務量が多いことから、アルバイトを採用して社員のサポートにすることが多いようです。
また中小や個人経営の会社でもパタンナーのアシスタントという形でアルバイトを雇うことがあります。
仕事内容は職場によって異なりますが、以下のような業務が中心となるようです。
- 仕様書をパソコンに入力
- CADを用いた作業
- 製品検査
アルバイトのパタンナーになるには?
アルバイトのパタンナーとして働くには、一般的な求人サイトで求人情報を探すか、メーカー各社のWebサイトから採用情報をチェックするとよいでしょう。
アパレル・ファッション系の求人サイトにも、さまざまな雇用形態でパタンナーの求人が掲載されています。
会社によって異なりますが、「アシスタント」として雑務などの仕事を中心に任せられる場合には未経験者でもOKとしているところはあります。
しかし実際にパターン製作に携わるような求人の場合は、パタンナーとしての実務経験がある人や、服飾系専門学校の卒業者を対象としている場合もあるようです。
ひとくちにアルバイトといっても、求人によって求められるスキルレベルにはだいぶ違いがあるため、よく確認しておくことが大切です。
アルバイトのパタンナーの給料・待遇
アルバイトのパタンナーの給料は、時給900円から1,200円程度であることが多いようです。
多い収入を見込むことはできませんが、会社によってはアルバイトのアシスタントとして経験を積み、頑張りや実力が評価されると正社員として採用されるところもあるようです。
また、パタンナーは実務経験が大きな武器になる仕事であるため、まずはアルバイトとして経験を積み、それから正社員として、あるいはよりよい条件の会社へと就職を目指すことも可能です。
業務委託のパタンナー
業務委託のパタンナーとは?
アパレルメーカーなどの企業では、正社員や契約社員などのほかに「業務委託契約」によって仕事をするパタンナーを募集することがあります。
業務委託契約で働くパタンナーの多くは、契約先の会社に出社をして、社内の常駐パタンナーとして仕事をするものの、社員ではない立場で個人が会社と直接契約を結んでいます。
正社員であると、会社都合で異動や転勤があったり、残業を強いられたりすることもありますが、業務委託の場合は契約内容に基づき、自分の業務に集中して仕事がしやすいという特徴があります。
パタンナーは経験やスキルがモノをいう専門職だからこそ、あえて業務委託の働き方を選ぶ人もいるようです。
業務委託のパタンナーになるには?
業務委託契約では、週5日フルタイムでの勤務を求められることが多いようですが、会社側との相談で週数回の勤務も可能なこともあります。
業務委託の場合、たいてい即戦力となれる人が求められていることから、未経験者が採用されることはほとんどありません。
応募の際の条件を一例として以下に挙げます。
- パタンナーとしての経験が最低で3年~5年以上
- 外注としてではなくブランドでパターン製作に携わった経験があること
- CADの使用経験
- PCスキル
業務委託のパタンナーの給料・待遇
業務委託の場合の給料は、正社員のように月給でもらうわけではなく、案件の内容ごとに「報酬」という形で支払われます。
フルタイム勤務で年収にして300万円程度からスタートすることが多いようですが、経験・キャリアによって大きな差があります。
なお、勤務期間は契約内容によって異なり、半年や1年ごとに更新とされる場合がよくあります。
外注のパタンナー
外注とは、社内ではなく社外に仕事を出して作業をしてもらうという意味です。
外注パタンナーとは多くの場合、独立したフリーパタンナーを指す言葉で、ネット上には外注パタンナーに関して依頼側と受託側をつなぐサイトもあります。
社外に頼む理由は、社内のパタンナーだけでは手が足りない、社内のパタンナーにはできない作業である、社内パタンナーよりも低コストで製作できる、などさまざまです。
ほとんどの場合、外注パタンナーが必要になるのは社内で手が足りなくなった時や、パタンナーが退職したため仕事をまかせられる人がいなくなってしまった時なども外注が使われます。
かつてその会社に勤めていた人が独立し、フリーとなっても会社との関係を持っていて外注パタンナーとして仕事の依頼を受けている場合もあります。
技術ありきの世界なので、腕のよいパタンナーであればさまざまな会社から声が掛かるようになります。
パタンナーの資格のまとめ
パタンナーになるために特別な資格は必須ではありません。
ただし、専門学校で基礎を身につけるのが一般的です。
また、服づくり全般に対する知識(縫製や歳断、素材など)やカラー・デザインに対する知識が求められます。
パターンづくりの技術を評価する「パターンメーキング技術検定」は1級から3級まであり、一般的に2級以上だと専門的な知識があると見なされます。
また、CADの知識やスキルを評価する「CAD利用技術者検定」は、現代のパタンナー業務には欠かせません。
資格そのものよりも実力が求められる世界ではありますが、取得のための学習によって身についたものは実践の場でおおいに役立つでしょう。