宮大工の1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説

宮大工の業務スケジュール

休憩をこまめに挟む

大工は一日のうち、日の出ている明るい時間帯しか作業することができません。

作業終了後は研ぎ場と呼ばれる場所で商売道具である工具の手入れに時間を費やします。

また、日中の作業は肉体を酷使するため、休憩時間がこまめに設定されており、安全に作業ができるように配慮されています。

宮大工は道具が命

腕の良い宮大工の一日は刃物の研ぎにかける割合が「4」、作業にかける時間の割合が「6」であるという話があります。

宮大工は、木材の切り出しから加工まで自身の手で行うため、道具の手入れが悪いと木材に影響し、その木材を使って組んだ建造物は当然良いものにはなりません。

そのため、多くの宮大工は一日の作業が終わると研ぎ場に詰めて丹念に道具の手入れを行います。

とくに見習いのうちは工具を最もよい状態に保つための手入れの仕方を習得するために多くの時間を費やします。

完成までの道のりは長い

神社や仏閣などの建築物は短いものでも2年ほどの工期を要します。

木組み工法は機械をほとんど使わず、手作業で施行していく工程が多いため、短期間では完成に至らないのです。

長いものでは着想から数えて完成までに10数年かかる場合もあります。

たとえば伊勢神宮の場合、20年に一度、建物のすべてを新築しますが、すべての工程を終えるまでには8年ほどの歳月がかかるといわれています。

宮大工は「渡り大工」

施工が始まると、宮大工は皆、現場の近くに部屋を借ります。

各地の文化財を渡り歩いて修理をするため、かつては「渡り大工」とも呼ばれていました。

施工完了までは自身の生活の基盤を移して日々の業務に励まなくてはならず、家族の理解や協力が必要不可欠であるといえるでしょう。

近年では宮大工の高齢化が進んでおり、このように全国を渡り歩いて修繕をする宮大工は100人もいないと言われています。

また、技術や知識は師匠から弟子へ教えられることがほとんどでしたが、現代では会社組織となり、研修と実地教育をしっかり行うことで後継者を増やそうとしているところも多いです。

ちなみに多くの場合、週に1回、日曜日を休日としているところが多く、年末年始やお盆、一つの現場が終わった後などは自宅へ帰ったり、長期の休みを取ったりすることも可能です。

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ある宮大工の1日

7:30 集合
事務所に集合し、バスや乗り合いの車などで現場へ移動します。
8:00 朝礼
現場につくと、朝礼で一日の作業内容と段取りを確認し、安全管理のミーティングを行います。
8:45作業開始
それぞれの役割分担された仕事を一つ一つこなしていきます。
10:00 午前の休憩
30分ほど休憩をして身体を休めます。
10:30 作業再開
12:00 昼休憩
場所によっては、飲食店やスーパーなどが周囲にないため、事務所であらかじめ自炊をし弁当を持参する場合も多いです。
13:00 午後の作業開始
15:00 午後の休憩
お茶を飲んだり甘いものを食べたりすることもあります。
15:30 作業再開
17:30 作業終了
日没に合わせて仕事を終了し、荷物を片付けて事務所に戻ります。

日が落ちるのが早くなると、終了時間も早まります。

18:00 事務所に到着
事務所敷地内の研ぎ場で道具の手入れを行い、終わった人から帰路につきます。

宮大工の勤務時間

宮大工は、朝8時から日の暮れる18時頃まで作業を行うのが一般的です。

朝早くから作業することが特徴ですが、これは日が暮れるまでに仕事を終えなくてはならないためで、現場にはいる時間も考えると、準備や移動などでさらに早い時間から動くことになります。

また、身体を動かす仕事であるため、昼休憩のほかに午前と午後の2回、必ず休憩をとります。

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宮大工の休日

宮大工の休日は、一般的な大工と同様に、通常日曜日のみで、週休1日である場合が多いです。

ただし、作業の進捗状況によっては、祝日も仕事になる場合があります。

寺院の新築工事の場合、規模によって1~2年単位で一つの現場が終わります。

一つの現場の工事が終了した後には、比較的長く休みをとることができる場合もありますし、年末年始や盆休みなどは、ゆっくりと休日をとることができます。

これは、年末年始などの長期休暇は病院も休みであり、万一仕事でケガをした時に対応できないためでもあります。

ただし、天候に左右される仕事であるため、急な荒天で仕事が休みになることもありますし、荒天が続けばスケジュールを調整して働かなくてはならないこともあります。

宮大工の残業時間

朝が早い分、就業については、会社員や公務員と比べるときっちり時間通りに終わるケースが多く、ほぼ残業ゼロという職場も珍しくありません。

基本的に日の明るい時間帯しか作業ができず、あまりに早朝や深夜まで仕事をすれば、騒音などで迷惑がかかることもあるためです。

撤収や清掃を含めても、18時ごろには現場を後にするところが大半です。

なお、拘束時間がやや長いのは、安全面に配慮して休憩時間が長めに取られているためであり、昼休憩のほか、15分程度の小休憩が複数回ありますので、労働時間は一般的な職業とさほど変わりありません。

宮大工は忙しい?激務?

宮大工は、一般的な大工と比べるとさほど激務ではありません。

とくに住宅関係の場合は、繁忙期があり1年の内でも忙しさにばらつきがあります。

新築を希望する場合、入居時期として人気のある年末年始前後やゴールデンウィークやお盆前後は非常に需要が高く、どうしても作業量が増えたり、工期が短くなったりすることもあります。

一方宮大工は、寺社仏閣を扱う場合、年単位で作業をすることが多いため、多少天候に左右されたとしても、長期的なスパンでスケジュール調整がしやすいのです。

もちろん両者ともに身体を使う仕事のため、体力的にはハードといえますが、宮大工のほうが余裕をもって仕事ができることが多いでしょう。

宮大工の休日の過ごし方

宮大工の休日は、多くの場合日曜日のみですが、休日を利用して寺社仏閣巡りを行う人もいます。

寺社仏閣建築は、机上の学問だけでは理解することはできません。

実際に、寺社仏閣建築に触れることで、伝統的な建築を深く理解し、業務に生かすことができます。

とくに、見習いの宮大工においては、休日を利用して、伝統的な日本建築に触れることは、重要です。

勤務時間以外も、宮大工の仕事について学ぶ姿勢が、技術の習得につながります。