救急救命士のつらいこと・大変なこと・苦労
救急救命士のつらいこと・大変なこと
不規則な勤務形態になりがち
救急救命士は、医療従事関係の仕事のなかでも勤務体系が特殊といえる部類の仕事です。
まず、他の仕事と比べて勤務時間が長く、基本的には「24時間勤務」となっています。
もちろん、ずっと働き通しというわけではなく、途中で6時間〜8時間の仮眠や食事休憩が設けられています。
とはいえ、やはり日中から深夜まで消防署に待機し、119番通報があればすぐに出動するというのはとても大変なことです。
状況によってはほぼ寝る間もないような日も出てきます。
また、救急救命士のほとんどは消防官であり、消防官は身分としては地方公務員になります。
そのため、看護師や医師のような民間の医療機関に勤める医療従事者と比べると、救急救命士はやや薄給となるでしょう。
毎年8,000円前後の定期昇給はあるものの、初任給は高卒で15万円〜17万円前後といわれており、責任の重さに対してそこまで高い給料が得られるわけではありません。
精神的なプレッシャーも大きい
救急救命士は、ハードな職務内容と決して高給とはいえない仕事であることから、仕事そのものに「誇り」や「やりがい」を感じられないと、とにかくつらいだけの日々になってしまうかもしれません。
救急救命士は、基本的には心肺停止状態の傷病者に適切な処置をし、医療機関まで搬送することが仕事です。
体力ばかりでなく、事故や火事などの凄惨な現場で、冷静に対処する精神力も必要になります。
現場のプレッシャーに耐えきれるかどうか、というところも、救急救命士としてやっていけるかの重要なポイントとなります。
「人の命を救いたい」という気持ちが強い人であれば、ハードな仕事内容や薄給はそれほど関係ないと感じるのではないでしょうか。
職場にはそうした強い気持ちを持った人が集まっているため、救急救命士が自分の天職であると考えている人にとっては、どれだけ大変な現場を経験したとしても、きっと大きなやりがいを感じるでしょう。
救急救命士の悩み
心無い言葉を浴びせられることも
近年、医師不足や軽症の救急搬送患者の増加などが原因となり、本当に救急処置が必要な傷病者が、病院から受け入れを拒否されてしまうケースが多くなっています。
刻一刻を争う状況にもかかわらず、受け入れ先の病院がなかなか決まらずに、1時間、ときに3時間以上も救急車が出発できないこともあります。
そんなとき、怪我や病気で苦しんでいる傷病者や、その様子を間近で見ている家族から罵倒を浴びせられたり、ときに暴力を受けたりすることもあるようです。
患者や家族の立場になると必死になる気持ちもわからなくないですが、搬送できる病院がないという現状はどうしようもないため、心無い言葉に傷つくことも少なくありません。
理想と現実とのギャップに苦しむ
救急救命士は、危機的な状況に置かれた傷病者の一命を取り留めるべく、使命感をもって任務に当たっていますが、残念ながら助けられないケースもあるのが実情です。
最大限の処置をしたとしても命を救うことができなかったときには、理想と現実とのギャップを感じて苦しむこともあります。
残念な結果に終わったときは、「こうすればよかった」と後悔し続けるのではなく、しっかり反省をして次に繋げられるような前向きな気持ちが必要となるでしょう。
救急救命士を辞める理由で多いものは?
救急救命士を辞める理由としては、「体力面の厳しさ」「不規則な勤務体制」を挙げる人が多いです。
人の命を救うというやりがいのある仕事ではあるものの、基本的には24時間勤務であり、忙しいときは食事をとる時間さえないこともあります。
さらに、いつ出動要請がかかるか分からないため、勤務時間中は常に緊張感に追われていて、仮眠も十分にとれない日もあります。
不規則な生活サイクルが続いて体調を崩すケースもあり、家族などまわりの人と休みが合わず、プライベートが犠牲になっていると感じる人もいるでしょう。
そのため救急救命士は、みずからのワークライフバランスを考えると、人を助けられるという使命感だけでは、続けることが難しい職業かもしれません。