2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度・合格率
FP3級からのステップアップとして、あるいはすでに金融業界での一定の実務経験がある人が、さらに専門性を高めていくために取得することが多い資格です。
この記事では、FP2級取得を目指す人が受験する、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の内容や難易度・合格率、勉強方法などについて詳しく解説しています。
・2級ファイナンシャル・技能士はFP系資格の中で「中」くらいの難易度
・受験資格があり、学科試験と実技試験の両方に合格することが必要
・勉強時間目安は150~300時間程度で独学合格をしている人も
2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格とは
2級ファイナンシャル・プランニング技能士とはどんな資格?
2級ファイナンシャル・プランニング技能士は、ファイナンシャルプランナーとしての技能を評価する国家検定「2級ファイナンシャル・プランニング技能検定」を受験し、合格することによって得られる資格です。
ファイナンシャル・プランニング技能士は、難易度が低い方から3級・2級・1級の3つがあり、そのうち2級は「中」くらいのレベルで「より実務で使える資格」に位置づけられています。
数あるファイナンシャルプランナーの資格の中でも認知度が高く、年間で平均2~3万人程度の人が、新たに2級ファイナンシャル・プランニング技能士として登録しています。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得するのは、銀行や保険会社など金融業界で活躍する人のほか、士業の専門職に就いている人、あるいはお金の専門的な知識を身につけて副業や生活に役立てていきたいと考える人などがいます。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得のメリットは?
2級ファイナンシャル・プランニング技能士は、金融業界などの企業で働くにあたってプラスの評価を受けやすい資格といわれています。
下位資格である「3級ファイナンシャル・プランニング技能士」は難易度がやさしめで、取得しても就職・転職で有利になることはあまり多くありません。
しかし、2級の試験を受験するためには、3級を取得済みであることや一定期間以上の実務経験などが求められ、試験内容もやや専門度が高まっています。
こうしたことから、2級を持っている人は、それなりにFPとしての知識があると判断され、就職・転職時に優遇されたり、勤務先によっては資格手当が付いたりすることもあります。
また、2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得すれば、それに加えて日本FP協会が実施する「AFP認定研修」を修了することで、国内で幅広く普及している「AFP」というFP資格を取得することもできます。
今後ファイナンシャル・プランナーとして活躍したい人、またFP資格をキャリアアップのために生かしていきたい人は、ぜひ2級の取得を目指していきたいところです。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の出題内容・形式
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定は、年に3回(5月、9月、翌年1月)実施されています。
試験内容は、大きく分けて「学科試験」と「実技試験」の2つです。
「日本FP協会(通称:FP協会)」と「金融財政事情研究会(通称:きんざい)」という2つの団体が試験を実施しており、学科試験は両団体とも共通ですが、実技試験は科目によって管轄団体が異なります。
受験者は、自分でどちらかの団体を選んで申し込みをします。
学科試験
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の学科試験は、試験時間が120分、試験形式はマークシート方式で、四答択一式の問題が60問出題されます。
学科試験の試験範囲は以下の通りです。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
FP協会・きんざいで共通の試験内容となっています。
合格基準は60点満点中36点以上です。
実技試験
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の実技試験では、「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」「資産設計提案業務」の中から1科目を選択します。
なお、科目ごとに、以下のように試験実施団体が分かれています。
- 資産設計提案業務:日本FP協会(FP協会)
- 個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務:金融財政事情研究会(きんざい)
<FP協会の実技>
事例形式の筆記試験で40問となり、試験時間は90分、合格基準は100点満点中60点以上です。
<きんざいの実技>
事例形式の筆記試験で5題となり、試験時間は90分、合格基準は50点満点中30点以上となっています。
なお、本試験には「試験免除制度」があります。
学科試験と実技試験のどちらか一方に合格した人は、その有効期限内に合格した科目の免除申請を行って不合格となった科目のみ再度受験して合格することで、学科・実技両方の試験の合格者と認定されます。
「きんざい」と「FP協会」はどちらを選べばいい?
「きんざい」と「FP協会」では実技試験の実施科目が異なるため、「試験機関をどちらにするか」という観点ではなく、「自分がどの科目を受験したいのか」の観点で選ぶことが重要です。
受験者の多くは、FP協会の「資産設計提案業務」もしくは、きんざいの「個人資産相談業務」を選択しています。
この2つの科目は学科試験の範囲がすべて含まれているため、対策がしやすいのは魅力といえるでしょう。
ただ、残りの「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」は、各出題範囲に関する知識を存分に生かすことができる科目です。
将来、自分がFPとして強みにしたい内容が含まれる科目や、日々携わっている業務に関連する科目を選ぶとよいでしょう。
なお、きんざいの試験は試験範囲が狭い分、ややマニアックで難解な問題が出題されることがあるため、試験範囲については深いところまでしっかりと理解しておくことが大事です。
一方、FP協会の問題では、日常的にニュースや新聞に触れていたり、マネー関の周辺知識を持っている人であれば比較的なじみやすく、解答も導き出せるものが目立ちます。
どちらを選ぶにしても、各試験の過去問題を解いて問題の形式やクセに慣れておきましょう。
ちなみに損保顧客資産相談業務は毎年9月にしか開催されず、受験者も少ないため、実技対策のテキストがあまり販売されていないという点で注意が必要です。
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2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の受験資格は?
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の受験資格は以下の通りで、いずれかを満たす必要があります。
- 3級ファイナンシャル・プランニング技能検定合格者
- FPとして2年以上の実務経験者
- AFP認定研修の受講修了者
なお「AFP」とは、Affiriated Financial Planner(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)の略で、日本FP協会が認定するFP資格のひとつです。
AFP認定研修の基本課程を受講し、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定にも合格すると、AFPの資格をあわせて取得することができます。
このように、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定は、実務経験などの受験資格が設けられていない「3級」の技能検定とは異なり、ある程度FPの勉強や実務経験をしてきた人が、さらなるステップアップを目指して受けるものとなっています。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度はどれくらい?
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の合格率は30~40%程度
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度は、FP関連の資格の中では中程度です。
3級の試験に比べると出題内容は専門的で、より実務に近い問題が出題されます。
合格率については、試験実施団体である「日本FP協会(FP協会)」と「金融財政事情研究会(きんざい)」で異なります。
また、実技試験については科目によっても違いが出ます。
学科試験の合格率は、FP協会は35〜55%程度、きんざいは20~30%程度です。
実技試験の合格率は、FP協会は50〜60%程度、きんざいは20~60%程度となっています。
参考までに、2022年1月の試験結果は以下の通りです。
学科試験
FP協会:41.51%
きんざい:19.50%
実技試験
FP協会(資産設計提案業務):56.33%
きんざい(個人資産相談業務):39.69%
きんざい(中小事業主資産相談業務):57.84%
きんざい(生保顧客資産相談業務):50.94%
学科試験・実技試験同時受検者の試験結果で見ると、例年、合格率は30~40%程度を推移しています。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の合格率の差が大きい理由は?
上記で紹介した通り、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定は、試験実施団体や科目によって合格率にやや大きな差が見られます。
「FP協会」と「きんざい」で合格率に差が出ている理由の一つとしては、実技試験における問題数の違いが挙げられます。
というのも、FP協会の実技試験では40問出題されるのに対し、きんざいでは15問しか出題されません。
つまり、きんざいの方が1問あたりの配点が大きいということです。
きんざい受験者は、ケアレスミスや、たまたま苦手な個所が多く出題された場合などに不合格になってしまうことがあるようです。
一方、FP協会では40問出題されるため、もし難問につまづいたとしても、他の問題で挽回できるチャンスがあります。
また、学科試験についてはFP協会ときんざいで共通の問題が出題されますが、こちらもFP協会の合格率の方が高い傾向です。
しかしながら、FP協会の問題が簡単というわけではありません。
きんざいとFP協会の受験者を比べてみると、きんざいは会社単位などの団体申込が多いのに対し、FP協会は個人申込が多いことが特徴です。
仕方なく受けている受験者も混ざっているきんざいの試験に対し、FP協会の受験者の方が試験に対して「本気」で十分な勉強をしている人が多いことが、両者の合格率に差が出ているもう一つの要因といわれています。
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2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の勉強時間・勉強方法
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の勉強方法の種類
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定は、独学でも十分に合格を目指すことができる難易度の試験です。
「できるだけ費用はかけたくない」「自分のペースで勉強を進めたい」と考える人は独学することが多いようです。
ファイナンシャル・プランニング技能士は人気資格のため、市販の参考書や問題集は数多く出ており、対策はしやすいでしょう。
ただし、決して簡単に合格できるというわけではありません。
2級の受験資格を持つ人は、すでに一定の金融知識を持っていると考えられますが、それでも半数以上の人が不合格になっている科目もあります。
独学の場合はとくに、計画的に、きちんと試験範囲全体を学んでいくようにしましょう。
独学では不安がある場合には、わかりやすいテキストの使用や講義を受けて学んでいくことができる通信講座の利用や、スクールに通学する方法がおすすめです。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定向けの講座は数が多く、大手の「LEC」「資格の大原」「TAC」のほか、「アガルートアカデミー」「ユーキャン」「スタディング」「フォーサイト」なども定評があります。
オンラインだけで学ぶもの、3級FP技能検定やAFP資格の対策とセットになっているものなど講座によって特色がさまざまで、費用も3万円程度~10万円以上するものまで幅があります。
各講座の内容をよく比較して、自身のライフスタイルや希望に合う講座を選んでください。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の勉強時間は約150~300時間・勉強期間は3~5カ月
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の合格までに必要な勉強時間の目安は、150~300時間程度といわれています。
1日に2時間ほど勉強するとして、約3~5カ月の勉強期間が目安です。
ただし、個々の知識量や実務経験などによっても差は出てきます。
3級合格から間もなく基本的な知識が身についている人や、金融業界での実務経験がある人、金融系のニュースや情報に日頃からよく触れている人などは、勉強がスムーズに進みやすく比較的短期間での合格を目指せるでしょう。
一方、仕事や私生活が忙しくまとまった勉強時間がなかなか取れない人や、集中して勉強するのが苦手な人は、300時間以上かかるかもしれません。
勉強方法にもよりますが、とくに独学をする場合には、少し余裕を持ったスケジュールを立てておきたいものです。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定合格は独学で可能?
先にも紹介した通り、2級ファイナンシャル・プランニング技能検定は、独学で合格を目指すことができます。
これまでの合格者を見ても、金融の専門知識がない状態から、独学で3級・2級ともに合格している人もいます。
独学での合格を目指すために大切なポイントをいくつか挙げてみます。
- 「絶対に合格する」という強い意思を持って、モチベーションを保ち続ける
- 勉強時間をしっかり確保する
- 自分に合うテキスト(参考書・問題集など)を選んで徹底的にやり込む
2級ファイナンシャル・プランニング技能士は人気資格であり、試験対策のためのテキストがたくさん出ています。
何冊も買ってどれも中途半端にやるよりも、厳選したものを深く、あやふやな点がないくらいにやり込むことが大事といわれています。
ネットを活用して独学合格を実現した人の体験談やアドバイスをチェックし、自分に合う勉強方法を定めていくのもおすすめです。
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度まとめ
2級ファイナンシャル・プランニング技能検定は、FP系資格の中では「中」くらいの難易度にあたります。
実務では、この2級以上の資格を持っていると評価されることが増えるため、FPとして活躍していきたい人、今後さらなるキャリアアップを目指す人は、ぜひ積極的に取得したいところです。
合格率は科目によっても異なりますが、30~40%になることもあるため十分な対策が必要です。
独学で勉強をするのが不安な場合は、通信講座やスクール・予備校への通学も検討してみましょう。