電車運転士の年収・給料はどれくらい? JR・私鉄各社の年収も解説

電車運転士は、基本的に勤続年数とポジション(役職等)が上がれば給料も上がっていきます。

なかでも最も高い収入が得られるのは、JRや大手私鉄をはじめとする大規模な鉄道会社で電車運転士をすることです。

各社のデータより、電車運転士の年収は490万円~640万円、新幹線運転士の年収は500万円~670万円の間と考えられ、会社員全体の平均年収よりも若干高めとなっています。

この記事では、電車運転士の給料・年収について解説します。

電車運転士の平均年収・給料の統計データ

鉄道会社では、基本的に勤続年数とポジション(役職等)が上がれば給料も上がっていきます。

勤務地によって給与水準は異なる傾向にあり、地方の鉄道会社よりも都市部を運行する鉄道会社、中小よりも大手鉄道会社のほうが全体的に年収が高くなっています。

電車運転士の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

電車運転士の平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、電車運転士の平均年収は42歳で631万円となっています。

  • 平均年齢: 42歳
  • 勤続年数: 20.4年
  • 労働時間/月: 147時間/月
  • 超過労働: 17時間/月
  • 月額給与: 419,000円
  • 年間賞与: 1,283,300円
  • 平均年収: 6,311,300円

  • ※出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」

    電車運転士の年収の推移_r5

    ※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
    ※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

    電車運転士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

    厚生労働省の統計調査より、ボーナスが年間でおよそ3か月分となっていることから、年収590万円の場合は月額総支給額は40万円、ボーナスは年間115万円ほど支給されていると考えられます。

    独身の場合、交通費などを除外して考えると月の手取り額は29~31万円ほどになると見込まれます。

    会社員全体の平均年収が450万円程度といわれているため、年齢からすると若干高めとなっています。

    新幹線の運転士の場合は手当てがつき、さらに数万円高くなることが多くなります。

    しかし、こうした手当ては鉄道会社ごとに差があるほか、各社とも毎年の業績によって多少の変動があるようです。

    新幹線の運転士になるには? 免許取得は難しい? 年収はどれくらい?

    電車運転士の初任給はどれくらい?

    高校から現業職(駅員・車掌・運転士を目指す人のための採用区分)として入社した場合の初任給は16万円から18万円程度が相場です。

    電車運転士になるためには、まず駅員や車掌として経験を重ねていかなくてはならないため、キャリアアップするうちに少しずつ給料が上がっていきます。

    高卒と大卒では大卒のほうが初任給も年収も高くなりますが、電車運転士を目指す人の学歴は、高校卒または専門学校卒がほとんどです。

    大卒の電車運転士も増えつつはありますが、多くの場合「総合職」として本社で働きながら幹部を目指す道が一般的です。

    代表的な鉄道会社の初任給を紹介します。

    東海旅客鉄道株式会社(JR東海)で東京地区勤務の場合(2023年度実績)
    • 大学院卒:268,200円
    • 大学卒・高専専攻科卒:238,100円
    • 短大卒・高専本科卒:218,200円
    東武鉄道株式会社の場合(2023年度実績)
    • 大学・大学院卒:23万7000円
    • 短大・高専・専門卒:21万5000円
    • 高卒:21万円

    こうした基本給のほかに、年に1~2回の賞与や各種手当が加わります。

    電車運転士の勤務先の年齢別の年収(令和4年度)

    電車運転士の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、50~54歳の749万円です。

    全年代の平均年収は631万円となっています。

    電車運転士の年収(年齢別)_r5

    電車運転士の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

    電車運転士の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

    10〜99人規模の事業所に勤める電車運転士の平均年収は417万円、100〜999人規模は595万円、1,000人以上の規模では646万円、10人以上規模の事業所平均は631万円となっています。

    電車運転士の年収(規模別)_r5

    賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

    電車運転士の福利厚生の特徴

    電車の安全運行のためには社員が心身ともに健康であることが欠かせないため、鉄道各社は福利厚生にも力を入れています

    とくにJR各社や大手私鉄など、会社の規模が大きければ大きいほど福利厚生制度は整っていると考えてよいでしょう。

    具体的な内容として、社会保険・各種慶弔金制度・クラブ活動・保養所の利用などのほか、自社の社宅・病院などの施設を整えている会社もあります。

    業務上どうしても勤務時間は不規則になってしまう仕事ですが、その分安定した待遇の下で働ける環境と考えておいてよいでしょう。

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    電車運転士の給料・年収の特徴

    ここからは、電車運転士の給料・年収の特徴をポイント別に紹介します。

    特徴1.都心部の方が給料が高い

    勤務地によっても給与水準は異なる傾向にあります。

    地方の鉄道会社よりも都市部を運行する鉄道会社、中小よりも大手鉄道会社のほうが全体的に年収が高くなっています。

    都心部を運行する鉄道会社の方が保有する車両の数が多く、会社規模が大きいことや、利用者も多く収益をあげやすいことが理由として挙げられます。

    特徴2.運行する車両によって差が出る

    一般的に、在来線の普通電車を運転する運転士よりも、特急を運転する運転士の方が給料はアップします。

    また新幹線などの高度な技術を必要とする車両の運転士は、より給与が高くなります

    特徴3.新幹線運転士の年収はより高めになる

    新幹線運転士は、電車運転士のなかでも新幹線を運転する人のことをいいます。

    高度な技術力が求められるため、まずは在来線の運転士として数年間経験を積み、その後、鉄道会社の選抜試験に合格することで新幹線運転士を目指せるようになります。

    新幹線運転士の年収は、600万円から800万円ほどといわれています。

    新幹線の運転士も在来線の運転士と同様「運転士」としての職位は同じため、基本給に違いはありませんが、「乗務手当」というボーナスに違いが出てきます。

    乗務手当は乗務時間と乗務距離で決められるため、在来線よりも長時間かけて長い距離を走行する新幹線の運転士は、どうしても手当てが多くなり、結果給料も大幅にアップします。

    男性運転士と女性運転士で年収に違いはある?

    鉄道業界で働く人は、女性よりも男性のほうが大幅に多い傾向にあります。

    ただし、近年では女性の電車運転士を確保するために、各鉄道会社が各種制度や福利厚生を充実させており、女性運転士の数は増加しつつあります。

    たとえば、妊娠中や育児中には日勤のみのシフトを組んだり、駅業務に配置転換したりして、働き続ける人もいます。

    そのため、一時的に年収が減少することはあっても、男性と同様に長く働ける環境自体は整ってきています

    今後は運転士としてキャリアを積む女性も増えるでしょう。

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    電車運転士の代表的な企業の年収

    会社名 平均年収 平均年齢
    東海旅客鉄道(JR東海) 709万円 36.4歳
    東武鉄道株式会社 652万円 47.5歳
    小田急電鉄株式会社 717万円 42.0歳

    出典:2024年現在(各社有価証券報告書より)

    JR東海の平均年収

    JR東海の平均年収は709万円となっています。

    JR東海は、日本の主要路線や新幹線を所有し、とくに新幹線の運転士を目指す人から人気の高い企業です。

    東武鉄道株式会社の平均年収

    東武鉄道株式会社の平均年収は652万円となっています。

    都内近郊の私鉄の中では最も歴史が古く、抱える路線も関東最長です。

    小田急電鉄株式会社の平均年収

    小田急電鉄株式会社の平均年収は717万円となっています。

    東京と箱根や江の島などの神奈川の主要な観光地とを結ぶ鉄道路線として、年間輸送人員7.5億人を誇る鉄道会社です。

    鉄道に関連するほかの職種との年収の違いは?

    鉄道会社の社員の給料は、高校を出て現業職に就いた場合、16万円から18万円程度が相場となっています。

    駅員の年収は400万円前後で、日本人の平均年収とほぼ同等程度とされています。

    ただし、駅員は車掌や運転士と比べると給料は低めです。

    一方で、車掌の年収は340万円~580万円の間で、運転士と比べると給料は低いため、キャリアアップして運転士を目指す人も少なくありません。

    駅員や車掌の年収は、鉄道会社ごとに差があるほか、各社とも毎年の業績や、勤続年数やポジションによって多少の変動があり、夜勤の回数や残業の有無などによっても多少違いがあります。

    電車運転士で年収1000万円を目指せる?

    電車運転士の仕事のみで年収1000万円を目指すことは難しいでしょう。

    鉄道会社社員の平均年収は600万円~700万円となっており、電車運転士でも1000万円を超える収入を得ている人はほとんどいません。

    JR東海の有価証券報告書を見ると、最も年収が高い職種は総合職です。

    年収1000万円を目指すのであれば、電車運転士ではなく、大卒で総合職を目指すのがよいでしょう。

    電車運転士が収入を上げるためには

    電車運転士としてもっとも収入を得られるのは、JRや大手私鉄はじめとする大規模な鉄道会社で電車運転士をすることです。

    鉄道会社は年功序列で給料がアップすることも多いため、普通電車から特急、そして新幹線運転士へと経験を積み、キャリアアップをしながら長く働くことで収入アップが見込めます。

    中小の鉄道会社から給料アップを考える場合は、こうした大手の鉄道会社に転職する方法も考えられます。

    「電車運転士の給料・年収」のまとめ

    厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、電車運転士の平均年収は42歳で631万円となっています。

    高校から現業職として入社した場合の初任給は、16万円~18万円程度が相場です。

    電車運転士として高収入を得たいのであれば、JRや大手私鉄はじめとする大規模な鉄道会社への就職がおすすめです。