弁理士の需要・現状と将来性
弁理士の現状
弁理士の登録者数は、平成13年の弁理士法改正前後から増加数が顕著となり、平成25年に1万人を突破してからも、年間300人ほどのペースで一貫して増加し続けています。
その一方、長引く景気低迷の影響もあって、各企業は特許などの知的財産権取得手続きを弁理士に依頼せず、自社で完結させるケースが増えています。
この結果、特許事務所間の案件獲得競争は厳しさを増しており、弁理士が受け取る報酬単価の下落も見受けられます。
こうした環境下、特許事務所以外に活躍の場を求める弁理士が増えており、とくに製造業などの一般企業にサラリーマンとして勤め、組織のなかで弁理士資格を生かすという人が目立ちます。
弁理士には定年退職制度がない関係上、早期に特許事務所間の競争が緩和されることも想定しにくいため、今後についても、弁理士の就職先はより多様化していく見通しです。
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弁理士の需要
国内の新規出願件数が頭打ちである一方、日本企業が海外で特許を取得する「国際出願」の件数は大幅に伸びています。
特許などの知的財産権は「属地主義」といって、基本的にそれぞれの国ごとに権利を取得しなければなりません。
人口減少・高齢化によって国内市場の成長が期待できないこともあり、近年は世界各地に事業展開しようとする企業が増えています。
国際出願を手掛けるためには、外国の法律や国際情勢に関する知識、ビジネスレベルの語学力など、高度なスキルが必要になりますが、人材が限られているぶん、チャンスは非常に大きいでしょう。
さらに、日本企業が海外で特許を取得する「内外業務」だけでなく、海外企業が国内の特許を取得する「外内業務」も手掛けることができますので、国際弁理士の需要はかなり豊富にあるといえます。
弁理士の将来性
AI・IT技術の進展によって、ほかの多くの士業資格と同様、弁理士の手掛ける出願業務についても、やがてコンピュータに取って代わられるのではないかといわれています。
そこまで機械が発達するまでにはまだ時間がかかるとしても、現状でもすでに独力で手続きを行う人が増えていることを考えれば、単なる事務だけを手掛ける弁理士の将来性は決して明るいとはいえません。
今後については、知的財産などに関する法律知識や、各種産業界の知識などを駆使して、特許の有効活用法を提案するなど、コンサルティング業務の重要性がますます増してくると思われます。
また、複数の業界にまたがった人脈を使って、企業同士の技術を結びつけたり、人材交流を図るなど、仲介役としての働きも期待されています。
将来的に、弁理士の業務内容は現状よりもさらに多様化していく見通しです。
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弁理士の今後の活躍の場
弁理士は、経験やスキルがものをいう実力主義の世界であり、活躍できるかどうかは自分の努力次第です。
資格を取得するまでにも長い道のりがありますが、試験合格はあくまでスタート地点と捉え、中長期的にさまざまなことを学び続けることが必要です。
逆にいうと、自分の得意分野を見つけ、専門性を磨いていくことで、自分だけの活躍の場をつくることも不可能ではありません。
物理工学や工業化学、バイオテクノロジーといった分野のスペシャリストになることもできますし、語学力を身につけて海外を舞台に活躍することもできるでしょう。
あるいは、まったく違うアプローチ方法として、多くの特許事務所が乱立して競争が厳しくなっている首都圏や近畿圏を避けて、あえて地方都市で独立開業するということも考えられます。
弁理士の大半は、事業の安定性を求めて、ある程度のニーズが見込めるエリアに集中して開業していますが、個人の発明家や研究機関、メーカーなどの企業は、都市部に限らず、全国各地に点在しています。
地方で開業し、地元で埋もれている知的財産の権利化・産業化のために尽力している弁護士も増えつつあります。
弁理士の仕事には、まだまだ創意工夫の余地が残されているため、どこに活躍の場を見出すかは、各人のアイデア次第といえるでしょう。