弁理士の1日のスケジュール・勤務時間や忙しさについても解説

弁理士の業務スケジュール

弁理士の業務は、勤め先によってさまざまですが、基本的には知的財産に関連したデスクワークが主体となります。

しかし、特許事務所の場合は顧客との打ち合わせや特許庁担当審査官との協議など、一般企業の場合は社内の別部署や外部弁理士との会議などにも、それぞれ多くの時間を割かなければなりません。

このため、既存特許の調査や申請書類の作成といった事務作業に充てられる時間は限られています。

また、新しく開発された技術や法律の改正内容などについて、その都度自身の知識を増やして対応していかなければならないため、それらを勉強する時間も捻出する必要があります。

弁理士の1日は、さまざまなタスクに追われ、スケジュールがぎっしり詰まっていることが多いでしょう。

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特許事務所で働く弁理士の1日

特許事務所では、顧客から依頼を受けて、特許申請手続きなどを代行することがおもな仕事です。

1日のスケジュールは、お客さまの都合を最優先させつつ、各案件の進捗状況にしたがって組んでいくことになります。

大規模事務所では、スタッフごとにある程度役割分担がなされている一方、小さな事務所では顧客との面談から書類作成、申請手続きまで単独でこなすケースが一般的です。

基本的に弁理士は一人で複数の案件を抱えており、同時並行で業務を処理するため、慌ただしく駆け回る日も少なくないでしょう。

また、海外案件を手掛ける場合は、早朝や深夜に電話やスカイプなどで会議を行うことも少なくありません。

8:30 出勤
パソコンを立ち上げ、メールをチェックしたり、1日の予定を確認したりします。
9:00 ミーティング
事務所内で打ち合わせを行い、案件ごとの進捗状況を報告し合います。
9:30 デスクワーク
特許庁に提出するための意見書や明細書などを作成します。
12:00 昼食休憩
外へ食べに出ることもあれば、持参した弁当を食べることも。
13:00 特許庁訪問
午前中に作成した書類を持参し、担当審査官に対して説明を行います。
16:00 顧客面談
新しい出願申請案件について、お客さまから技術の詳細を聴取します。
18:00 退社
日によっては、退社後に自宅で法改正などを勉強することもあります。

一般企業で働く弁理士の1日

メーカーなどの一般企業で働く弁理士は、案件をお客さまから外注する特許事務所とは異なって、自社に関する知的財産の出願や管理運営を専属的に手掛けます。

また、弁理士としての仕事だけでなく、サラリーマンとして多様な業務をこなすことが求められる点が特徴的です。

研究開発部門や経営戦略部門など、他部署と協力して仕事をするケースが多いため、1日のうち多くの時間を打ち合わせや会議などに割くことになります。

なお、特許出願手続きなどについては、外部の特許事務所に依頼することもあります。

8:30 出勤
メールチェックやスケジュール確認、部内ミーティングなどを実施します。
9:00 研究開発部門会議
研究開発部門と合同で、開発中の新技術について方向性を協議します。
11:00 既存特許調査
会議の結果に基づいて、類似の技術などが既に登録されていないか調査します。
12:00 昼食休憩
社員食堂などで昼食を取ります。
13:00 外部打ち合わせ
顧問先の特許事務所を訪問し、抱えている訴訟案件について報告します。
15:00 デスクワーク
次回の会議資料や報告書を作成します。
18:00 退社
業務の進捗状況によっては残業することもあります。

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弁理士の勤務時間

弁理士の勤務先には、特許事務所や一般企業の知財部門をはじめとして、さまざまなバリエーションがありますが、勤務時間はどこでもおおむね9時~17時前後の日中に設定されています。

弁理士業務は特許庁と密接に関係しており、役所の窓口営業時間に合わせて働く必要があるため、早朝や深夜帯の勤務、あるいはシフト制の勤務などは通常ありません。

また、弁理士は基本的に各自がそれぞれの案件を抱え、単独で行う作業が大半を占めるため、勤務時間には比較的自由が効きやすいという特徴があります。

このため、メーカーなどの一般企業を中心として、研究職と同じようにフレックスタイム制や裁量労働制が導入されている職場も珍しくありません。

ただし、弁理士は一般的にかなり業務量が多いほうの職業に分類され、労働時間は総じて長くなりやすい傾向にあります。

弁理士の休日

勤務時間と同様、休日についても特許庁に合わせて、土日祝日を休みに設定して「カレンダー通り」で働く職場がほとんどです。

しかし、お盆や年末年始などの長期休暇や、出産・育児休暇、慶弔休暇などの福利厚生制度については、勤め先によってかなり差があります。

弁理士を必要とするレベルの製造業はどこも大手であり、各種制度がかなり充実している一方、特許事務所は大半が小規模であり、人繰りの関係上、あまり自由に休暇が取得できない職場が目立ちます。

ただ、スタッフの教育に対して熱心な一部の特許事務所では、弁理士試験の前にまとめて休める「試験休暇制度」を取り入れているところもあるようです。

弁理士の残業時間

職場によって多少事情が異なるものの、弁理士は残業時間がかさみやすい職業とされています。

特許などの出願業務は、各手続き段階ごとに期限が定められており、必ず指定された期日までに作業を完遂させることが求められるため、締め切り日前などは、どうしても勤務時間が長引きがちです。

さらに、日本国内では、工業所有権はすべて先に出願したほうが勝つという「先願主義」が採用されているため、一刻も早く手続きを完了させることを要求してくる依頼人も少なくありません。

顧客の要望に応えるために、あるいは会社の上司からの指示を守るために、多少のムリをしてでもできる限り早く作業を終わらせないといけないというケースもあるようです。

弁理士は忙しい?激務?

平成13年に弁理士法が改正され、それまであった「弁理士報酬額表」が撤廃されて、案件の報酬額は各事務所が自由に設定できるようになりました。

それ以降、弁理士業界も自由競争となりましたが、長引く景気低迷を受けて国内の出願件数が伸び悩む反面、特許事務所は増加し続けています。

こうした環境が報酬単価の下落を招き、特許事務所の多くは、欠員が生じても補充しないなど、少人数での運営を余儀なくされるケースが目立っています。

一人あたりの作業量が増加した結果、長時間残業が常態化する事務所が増え、とくに締め切り日前などは、徹夜作業や休日出勤に追われる激務となることもあるようです。

ただ、すべての勤務先が一律で非常に忙しいというわけではありませんので、就職先についてはできる限り入念に情報収集することが望ましいでしょう。

弁理士の休日の過ごし方

弁理士は、知的財産法の改正内容や、新しい科学技術や工業技術、あるいは国際出願を手掛けるための語学など、勉強しなければならない事柄が多いという特徴があります。

このため、休日であっても、ゆっくり休むというよりは、自己研鑽に充てるというケースが多いようです。

しかし、業務と同じように、勉強も自分の手際次第ですから、テキパキとこなすべきことを片付け、家族や友人と遊んだり、趣味にうちこむ時間を多くつくっている人も大勢います。

ただ、弁理士の資格取得に向けて試験勉強中の期間については、ほとんど遊んだりする時間は取れないかもしれません。