通訳になるには
通訳になるまでの道のり
通訳として働くうえで、必須となる資格はありません。
ですが、通訳で生活していくレベルになるためには、それなりの訓練や準備が必要になります。
ここでは、通訳者として働くまでのおもな道のりを紹介します。
語学学校・通訳養成学校に通う
通訳になるためには、当然ながら語学が堪能でなければなりませんが、他の言語を話せれば通訳になれるかといえば、それだけでもありません。
他人の言葉を他人に伝える通訳には、独自の能力やスキルが必要になります。
そのため、通訳を志す多くの人が、通訳養成専門の学校や、語学学校の通訳養成コースに通っています。
留学経験も強みになる
通訳は使用されるどちらの言語においても、ネイティブの言い回し・スピード・発音に慣れている必要があります。
国内の養成学校や自己学習だけでそのレベルに達するのは簡単ではありません。
そのため、養成学校の前後で留学をしている人も多くいます。
とはいえ、留学をしていないと通訳になれない、ということではありません。
留学をしないのであれば、自分の力でしっかりと学習して、それと同等かそれ以上のスキルを身につける必要があります。
通訳になるための訓練・練習・トレーニングを繰り返す
通訳として必要なスキルを身につけるため、普段から自己学習・訓練を繰り返すことも有効です。
テレビ番組や動画メディアのセリフを自分で訳してみたり、プレゼンテーション動画を通訳者になったつもりで訳したり、といった反復練習が有効です。
街中や電車の中で聞こえてくる会話を頭の中で通訳する練習なども、隙間時間を有効に利用できるためおすすめです。
通訳として働ける場を探す
通訳として働くためには、仕事を受注しなければいけません。
通訳のエージェントや派遣会社に登録し、仕事を斡旋してもらうという方法や、フリーランスとして個人で受注する方法などがあります。
企業内の通訳者として正社員として働いている人もいますが、ごく一部です。
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通訳の資格・難易度
通訳になるために、資格は必要ありません。
しかし、通訳の仕事は個人の実力によってその質が大きく左右される側面があります。
そのため、個人の語学力やスキルを客観的に証明するものとして、資格や語学試験のスコアが有効です。
例えば、語学力を証明するものとして、TOEICやIELTSなど。
また、通訳独自のスキルの証明として、通訳案内士や、ビジネス通訳検定「TOBIS」といった試験もあります。
通訳案内士は語学系唯一の国家資格として格式のある資格です。
合格率は例年10〜20%ほどと大変低く、難関資格と言われています。
訪日外国人に向けて、通訳・観光ガイド業務を行うための資格のため、観光分野における深い知識が必要です。
これに対してTOBISは民間資格ですが、ビジネス通訳のスキルを測る試験として広く認知されており、人気の試験です。
こちらも合格率は例年15〜25%程度と、難関資格のレベルといえます。
通訳になるための学校の種類
現在通訳として活躍している人の中には、外国語大学の出身者や、大学でその言語を専攻していた人が多くいます。
また、大学の中には、独自の通訳養成コースをおいている大学もあります。
大学の中で語学や通訳のスキルを身につけることは、大変有効です。
また、民間の通訳養成スクールに通うことも選択肢の一つです。
これらのスクールでは、基本となる語学力だけでなく、通訳に必要な独自のスキルやテクニックを身につけることができます。
多くの場合、通訳派遣会社がスクールを運営していて、卒業後そこに登録して仕事を紹介してもらう、という流れになっているようです。
インターネットスクールなら、全国どこからでも学ぶことができます。
半年程度のコースで、約20万円前後の学費というスクールが多いようです。
通訳になるためにはどんな学校にいけばいい?(大学・専門学校・スクール)
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通訳に向いている人
通訳は高い語学力が必要というだけではありません。
ちょっとした言葉のニュアンスの違いが誤解を招いてしまうこともあるため、話し手の感情や雰囲気を察する観察力も必要となります。
また、公の場で通訳することが多いため、礼儀正しく、マナーを守ることが求められます。
ビジネスの会議などでは話の内容も専門的に、高度になりがちであるため、理解力や頭の回転の速さも必要となります。
そのようなスキルをもつ人が、特に通訳に向いているといえます。
通訳のキャリアプラン・キャリアパス
プロの通訳者になるためには、通訳の仕事を受注する必要があります。
前述した通り、多くの場合、通訳派遣会社の主催するスクールに通い、卒業後その派遣会社から仕事の紹介を受けて通訳としてデビューしています。
最初は小さな案件からこつこつと実績を重ねて、少しずつ大きな案件につなげるための信頼と人脈を獲得していくことになります。
通訳としてデビューした後にも、自分で学習や訓練を続けていく必要があります。
語学力のブラッシュアップだけでなく、自分の知識やスキルを深めることで、通訳としての価値を高める努力も必要です。
例えば、幅広い案件に対応できるよう、ニュースや世界情勢にアンテナを張ったり、あるいは他の人に負けない得意分野を設定して、その分野の知識を深めたりといった努力です。
通訳を目指せる年齢は?
通訳を目指すためには、何歳までに始めないといけないということはありません。
ですが、若いうちから学習を始めた方が、それだけ早くデビューすることができ、その分多く経験や実績をつむことができます。
一方、別分野での就労経験があれば、その経験を生かし、独自の専門性を武器にした通訳になることもできます。
大切なのは、何歳から始めるかではなく、どれだけ真剣に取り組むことができるかということです。
フリーランスの通訳として働くには?
フリーランスの通訳の働き方・仕事内容
フリーランスは、通訳の働き方としては最も一般的ということができます。
通訳として仕事を始めるにあたっては、多くの場合がフリーランスからのスタートです。
フリーランスでの依頼の受け方は、一般的に次のようなものがあります。
- 通訳派遣会社からの紹介
- 知人や過去のクライアントからの依頼
- クラウドソーシングでの受注やアルバイト・派遣の求人への応募
いずれの場合も、経験が少ない最初のうちは、比較的小さな仕事から実績を積んでいくことになります。
取引先との電話やWebミーティングの通訳、海外への問い合わせのサポートなどです。
ある程度実績と信頼を獲得し、指名で依頼がくるようになると、重要な会議やプレゼンテーションの通訳、海外からの来賓のアテンドなど、重要な仕事を任せてもらえる機会も増えてくるでしょう。
フリーランスの通訳になるまでのキャリアパス
通訳として独立したとしても、ただ待っていただけでは仕事は来ません。
そのため、多くのフリーランスの通訳者は、通訳専門の派遣会社に登録をし、派遣の仕事も請け負っています。
多くの企業が信頼できる会社に通訳の仕事を任せているので、そうした会社に登録するのが通訳としての第一歩といえます。
なかには、派遣としてさまざまな企業との人脈を築き、その後、個人的に取引を行うようになる人や、派遣時代の優秀な実績を買われ、大手企業の通訳として正社員になる人もいます。
他の業種のように、人脈を築いてからフリーランスへ転向という流れではなく、まずフリーランスからのスタートして実績を積んでいくというのが一般的な通訳者のキャリアパスとなります。
フリーランスの通訳のメリット・デメリット
フリーランスの通訳のメリットは、なんといっても働き方が自由であるというポイントです。
どの会社に登録してどのような分野で活躍したいのか、実際の依頼を受けるのか断るのか、週のうちどれくらい働いて、どれくらいは自分の時間をとるのかなど、すべてを自分で決めることができます。
報酬についても、実績を積み人気が出てくればスキルに合わせて報酬額を上げることも可能です。
自分次第では、一般的なサラリーマンよりもずっと多い年収を得られるでしょう。
これに対して、その立場の不安定さが最大のデメリットと言えます。
安定した数の依頼が来るようになるまでは、仕事が少ない月もあります。
しかし、1つ1つの仕事を確実に誠実にこなし、少しずつ依頼を増やすことに繋げることが大切です。
フリーランスの通訳の給料・年収
通訳の報酬額は分野や専門性、その通訳の実績や実力によって大きく異なります。
広く募集を行っているような案件の場合、時給にして1,500〜2,000円くらいの案件もあります。
これに対して、実績を重ね、指名での依頼が何件もくるような人気の通訳者は、時給5,000円くらいという人も珍しくありません。
年収で見ると、通訳専業でそれなりに軌道に乗っている人は、一般的なサラリーマンと同じ額の年収を得ている人もいます。
ただし、フリーランスで成功を収めている人の中には、年収で1000万円を超えている人もいるようです。