医療通訳とは? 医療通訳士の資格は必要?
医療通訳とは?
日本で暮らしている外国人の数は、200万人以上にもおよぶといわれています。
在日外国人が日本の各地域での暮らしに馴染んでいく一方で、日本の病院内では、日本語をあまり話せない外国人の患者さんが増加しているようです。
もし日本滞在中に突然の病気やケガがあった場合、観光目的のツアー旅行者であれば、旅行会社の通訳ガイドが病院で通訳をしてくれるでしょう。
しかし、個人旅行者であったり、日本で長く生活をしている外国人のなかには、母国語しか話せず医師や看護師との意思疎通が取りにくい人々も多々います。
そうした場面で活躍する通訳が、「医療通訳」といわれる人たちです。
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医療通訳の需要
とくに社会的に医療通訳の需要性がいわれているのが、中国からの出稼ぎ者や、ブラジルやアルゼンチンといった南米から働きに来ている人とその家族です。
英語はある程度、病院でも通じるかもしれませんが、ポルトガル語やスペイン語、中国語などは日本で話せる人が少ないため、専門的な教育を受けた医療通訳が求められているのです。
全国的には人口が集中する東京都をはじめ、自動車関連会社への出稼ぎ者が多い愛知県、さらに群馬県ではポルトガル語のニーズが高まっているようです。
これらの県では医療通訳関連の協会やNPO法人が設立されて、実際の診察室での通訳ほか、電話での対応も行なっています。
医療通訳になるには
しかし、日本ではまだ医療通訳という仕事が広く熟知されているわけではなく、これからの仕事です。
在日外国人が多く暮らす自治体では、行政がリードして医療通訳を専門とする団体を設立し、医療通訳の派遣および育成に力を入れ始めています。
医療通訳になりたい場合は、まず自分が専門とする外国語の通訳で経験を積んでから、専門的な医学用語が飛び交う医療現場で、実務的な研修を受けながらスキルを磨いていくのが一般的です。
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医療通訳士の資格
医療通訳として仕事をするためには、資格は必ずしも必要ではありません。
ですが、医療通訳は一般的な通訳と比べても更に専門的な知識や語学力、また、コンプライアンス意識の高さが必要となる仕事です。
そのため、通訳個人のスキルや資質を客観的に証明するものとして、いくつかの資格試験が実施されています。
ここでは主だった試験を3つ紹介します。
医療通訳技能検定試験
一般社団法人 日本医療通訳協会が実施する試験です。
英語・中国語・韓国語・ベトナム語の4言語がありそれぞれに対し医療通訳1級・2級の難易度が設定されています。
判定基準は、医療通訳1級が「医療全般にかかわれる通訳レベル(重症の病気に対応できるレベル)」医療通訳2級が「健康診断・検診には対応可能レベル」とされています。
医療通訳技能認定試験【専門/基礎】
こちらの試験は、一般財団法人 日本医療教育財団が実施しています。
英語と中国語での試験が実施されており、それぞれに基礎・専門の試験があります。
合格すると、試験の内容により医療通訳基礎/専門技能者(英語/中国語)のいずれかの称号が与えられます。
他のふたつの資格は誰でも受けることができるのに対し、こちらの試験は受験資格が設定されているのも特徴です。
国際医療英語認定試験(CBMS)
一般財団法人 グローバルヘルスケア財団が主催するこちらの試験は、資格試験ではなく、個人のスキルを定量的に評価する試験となっています。
こちらの試験は合格/不合格の判定はされず、問題やスキルごとの正答率などが記されたスコアシートが発行されます。