通関士の勤務先・勤務地の種類
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通関士の勤務先・勤務地の種類
通関業者で働く通関士
通関士の勤務先として最も多いのが通関業者です。
「日本通運株式会社」や「株式会社上組」などが通関業者として有名な企業で、輸出入に関するすべての業務をプロフェッショナルが代行してくれるのでスムーズな貿易につながるメリットがあります。
当然ながら依頼を受けた案件の書類審査や書類作成、輸出入申告や関税計算などを行うため、税関のある港や空港の近くに営業所を配置している場合が多く、そうした場所が勤務地となります。
なお通関業法により、通関業者は通関業務を適正に行うため、営業所ごとに通関士を配置する義務があるため、最低でも営業所に選任の通関士1人が在籍しています。
倉庫会社で働く通関士
倉庫会社は保税地域に大型の倉庫を保有し、輸出入する貨物を一時的に保管する業務も行っており、有名な企業は「三菱倉庫株式会社」や「株式会社住友倉庫」などが挙げられます。
顧客の利便性やニーズに応えるため、通関業務も兼業する倉庫会社もあり、そうした会社の部署には通関士が必要となります。
保管するだけでなく、貨物の管理や申請業務も代行してもらえる分、貿易に関する業務の依頼先が分散せずに完結できるメリットがあります。
しかし通関業者が倉庫を保有するケースもあるため、両者の違いはなくなりつつあるようです。
商社で働く通関士
当然ながら商社は輸出入業務がなければ成り立たない業種で、代表的な企業は「三菱商事」「三井物産」や「伊藤忠商事」などが挙げられます。
食品や衣料品、雑貨など商社により取り扱う品はさまざまですが、どれも税関に申告しなければいけません。
税関への申告業務は専門的な知識が必要なうえ、書類の審査や税関への申告は通関士のみが行える権限であるため通関業者へ委託するのが一般的です。
しかし輸出入には通関知識がセットになるため通関士を採用するだけでなく、通関業者への依頼と事前準備をスムーズに行うため貿易部門を設けている商社もあるようです。
そのため通関士資格を保有していると就職や転職の際に有利になるでしょう。
メーカーで働く通関士
機械や食品など業種を問わず国内のメーカーは材料や部品の調達を海外からの輸入に頼っていますし、品質の高い日本製部品を海外メーカーが使うケースも多くあります。
その際、輸出入に関する業務をスムーズに行うためメーカーによっては貿易部門を自社内に設置している場合もあります。
スピーディーな手続きを実現することで、ビジネス的な損失を防ぐことにもなりますし、貿易部門があれば部品や材料を仕入れる商社を通さずとも自社で行えるため、コスト削減にもつながります。
そうした現場では通関に関する知識が必ず必要になるため、貿易のプロフェッショナルである通関士が重宝されるようです。
通関士は独立・開業して働ける?
結論からいうと、通関士として独立・開業して働くのは非常に難しいでしょう。
理由は2つあります。
1.資金調達が難しい
通関の代行をする際、関税を立て替えなければいけません。
モノによっては数百万円単位で立替金が発生するため、個人で支払うには額が大きいため毎回準備するにはあまり現実的ではないでしょう。
関税など必要な費用を都度、依頼者から受け取れば個人でも可能かもしれませんが、手間が多くなる上に時間もかかりすぎるため、依頼する方としてもメリットはないでしょう。
2.サービス力が弱い
保税地域への保管、通関後の荷物の保管、指定場所への速やかな配送など税関への申告代行のみならず、搬入から配送までトータルサポートが求められています。
たとえ個人でそうしたルートを持っていたとしても限定的でしょうし、あらゆるケースに対応しきれません。
大規模なサービスを展開している企業の方が依頼ニーズを満たしているため、個人での開業は現実的ではないでしょう。