書道の「師範」とは
この記事では、師範とは何か、どうしたら師範になれるのか、また、書道家における「段位」について解説します。
書道の「師範」とは
各流派での指導者
「師範」とは、各流派での指導者として認定される資格のことで、流派の中で最もレベルの高い資格です。
師範のレベルや認定基準、また師範の認定方法も各流派によって異なります。
師範という資格は取得した流派内でのみ有効で、他の流派で流用することはできません。
師範になるには
- 先生に師事し指導を受ける
- 通信教育を利用する
- 全国書道教授資格認定試験
先生に師事し指導を受ける
師範になるためには、流派に属している書道教室に入門し、先生の下で経験を積むことが一般的です。
先生に習いながら知識やスキルを身に付けて、師範を目指すコースを受講したり、昇段試験を受けたりして一段階ずつ階級を上げていきます。
通信教育を利用する
師範は各流派の指導者として認定される資格ですので、流派に所属していない人は民間の資格を取得しますが、なかにはその流派に所属していなくても、通信教育などで学び試験を受ければ師範の資格が取れる流派もあります。
通信教育の師範のコースを取得するためには、師範の試験を受けられるレベルになってから、少なくとも2年以上必要です。
ただし通信教育で取得する師範試験は比較的簡単で、流派に所属して通いながら取る一般的な師範資格より技術的難易度が低いとされています。
全国書道教授資格認定試験
全国書道教授資格認定試験で第一種から第三種までを段階的に取得するという方法もあります。
第三種に合格すると師範十位という位に認定され、師範の資格が得られます。
師範の必要性
師範という資格は、書道家のレベルを示す指標となります。
書道教室を開いたり、個展などを開いたりする場合、「師範」という資格は対外的にわかりやすく、自分自身の肩書にもなります。
書道の道で十分な経験を積み、その流派の書道を教えるに値する人として認定される免許ですので、技術が高い証明としてとっておいて損はないでしょう。
ただし師範の資格がなくても書道家になれるので、取得の必要性は低いです。
また教員になるにも、師範の免許は必要ありません。
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書道の段位
段位の基準はさまざま
技術のレベルを表すために、流派ごとに設けている階級が「段位」です。
流派によりますが、はじめはおおむね級の数字が少なくなっていき、1級の次が初段、2段というように段の数字が増えていきます。
また各流派の最高位は「師範」と呼ばれ、書道を教えるだけの技術があると認定されたことになります。
段位は統一された基準があるわけではなく、各流派で設定されています。よって同じ5段でも流派によってレベルの差があり、あくまでレベルの指標であって、国家的に認められている資格ではありません。
段位を取得する方法
段位を取得する方法は、方向性の合った流派に所属して先生に習うことです。
段位は基本的に一番下の級からはじまり、昇段試験を受けて一つずつ上に上がっていきます。
基本的には1級ずつレベルが上がっていきますが、飛び級や落第が存在する流派も。
通信教育を受けながら独学で学び、段位を取得する方法もありますが、流派に所属して通いながら取得する方法に比べ書を書く密度が減るため、段のレベルが比較的低いという声もあります。
書道の流派
芸事には流派がある
書道だけでなく、華道や茶道、日本舞踊などの伝統芸能には流派が存在します。
同じ芸事であっても流派によって起源や歴史が異なっており、それに伴って所作や考え方に違いがあります。
そのため所属している流派内で取得した資格は、たとえ同じ芸事であっても他の流派では適用されません。
書道における流派
書道の世界にも流派が存在し、主に江戸時代までは流派による制限が数多く存在しました。
しかし戦争と共に書道自体が衰退し、多くの流派が弱体化してしまったのです。
戦後、書道教育を復興させるべく、大きな再編成が試みられました。その結果、書道における流派は大きく教育系と芸術系とに分類され、戦前のような厳しい縛りがなくなりました。
現在でも統一された資格は存在せず、書道教室の師範の裁量で昇級試験が行われています。
流派の選び方
書道の流派は厳密な数を提示するのが難しいほど無数に存在します。
どの流派に所属するかは基本的に各々の好みに一任されますが、幼少時に学んだ流派をそのまま学び続ける人が比較的多いようです。
また書道家の中には自身が作った流派をそのまま名乗る人もいます。
流派によって手本の字体に違いがあるため、前述のように教育系と芸術系とではそのスタイルは大きく異なります。
積極的に見学に出かけ、好みの師範や手本を選んで教室を決定するとよいでしょう。
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「書道家の『師範』」のまとめ
ここでは、師範になるための方法や段位について解説しました。
所属している流派で取得した資格は、その流派でのみ適用されるということを覚えておくとよいでしょう。