歯科衛生士と歯科助手の違い
歯科助手と歯科衛生士の仕事内容の違い
歯科衛生士の仕事内容は、歯垢や歯石の除去といった歯科予防処置、正しい歯磨きや生活習慣の指導をする歯科保健指導、歯科医師の診療を補助する歯科診療補助です。
歯科助手とは違い、歯科衛生士は歯科医師の指示のもと、患者さんの口の中に手を入れ、状態を改善するよう処置をおこなうことができます。
歯科衛生士は医師と同じく、歯科に関する専門知識を身につけているので、むし歯予防のためのフッ素といった薬の塗布もできます。
一方で、歯科助手の主な仕事は受付や会計、カルテの記入といった事務全般です。
歯科助手も治療の補助に入ることもありますが、器具の受け渡しやライトの調整、バキューム作業など、患者さんの口の中には触れない業務を担当します。
歯科助手がおこなう業務のなかで歯科衛生士にできないものはありませんが、受付や雑務は多くの歯科医院で歯科助手が担当します。
以上のように、歯科衛生士と歯科助手の違いは国家資格を持っているか否か、患者さんの口の中に手を入れる行為が許されるか否かです。
どちらも歯科医院になくてはならない存在ですが、業務内容には差があるといえるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
歯科助手と歯科衛生士のなる方法・資格の違い
歯科医院を訪れる患者さんからすると、歯科衛生士と歯科助手の見分けはつかないかもしれません。
どちらも歯科医師のサポートする仕事ですが、大きな違いがあります。
歯科助手は経験や資格がなくてもなれますが、歯科衛生士は専門学校や短期大学で一定の教育を受け、国家試験に合格する必要があります。
歯科衛生士になるには、まず歯科衛生士養成課程を設ける学校に少なくとも3年通い、卒業と同時に歯科衛生士の国家試験の受験資格が得ます。
その後、国家資格試験に合格すると、晴れて歯科衛生士を名乗ることができます。
一方で、歯科助手になるために必ず取得すべき資格はありません。
特別な学歴も不要なので、未経験でも歯科医院に勤務し、実務経験を積むことで歯科医師のアシスタント業務をこなすことも可能です。
歯科助手と歯科衛生士の必要なスキルの違い
歯科衛生士と歯科助手では仕事内容が異なるため、業務に必要なスキルも変わってきます。
歯科衛生士は、歯科医院や病院、介護施設にて、歯科予防余地や保健指導、診療補助といった「医療業務」をおこなう専門職です。
国に指定された歯科衛生士専門学校などに通い、歯科・口腔、人体の仕組み、病気、薬などに関する知識を学び、医療業務の実習を経験します。
国家試験の受験資格を得るには3年以上のカリキュラムを修了する必要があるため、就職の時点で歯科医療に関する基本的な知識やスキルはすでに習得しています。
他方、歯科助手の主な仕事は受付や会計などの事務や、治療器具の用意、詰めものを練るといった歯科医師のサポートです。
患者さんの口に触れて治療をすることがないため取得が必須となる資格はなく、未経験でも働けますが、初診の患者さんのカウンセリングや電話応対、治療の悩みや相談を受けるなど、コミュニケーション能力が必要となります。
20代で正社員への就職・転職
歯科助手と歯科衛生士の学校・学費の違い
歯科衛生士になるには国から指定された専門学校や短期大学に通い、3年以上のカリキュラムを修了しなければいけません。
卒業と同時に国家試験の受験資格が得られ、合格すると歯科衛生士として働けます。
指定校のほとんどは国家資格に合格するのに十分な教育を提供しているため、合格率は毎年95%前後と非常に高いのが特徴です。
一方、歯科助手は学校に通わなくても就ける職業です。
しかし、なかには医療系・ビジネス系の専門学校に設けられている歯科助手養成コースに通い、就職に必要な知識やスキルを学ぶ人もいます。
歯科医院での実習を取り入れている学校も多く、より実践的なスキルの習得を目指すことができます。
歯科衛生士・歯科助手ともに、専門学校であれば年間70〜120万円程度の学費が必要です。
歯科助手の場合は通信講座やWeb講座も充実しており、5万円ほどで受講できます。
歯科助手と歯科衛生士の給料・待遇の違い
歯科助手は未経験でも就職できる職業ですが、歯科衛生士として働くには国家資格が必要です。
そのため、歯科医衛生士は歯科助手よりも給与・待遇面において恵まれているのが一般的です。
正社員の場合、歯科衛生士の平均的な月収は25万円前後、年収にすると365万円程度だといわれています。
一方で、正社員として働く歯科助手の給料は、月収17〜22万円ほど、年収は250〜300万円ほどが平均です。
歯科助手は非正規のスタッフも多く、アルバイトやパートとして働く場合は、時給900〜1500円前後となるでしょう。
そのため、歯科助手として就職してはじめて歯科衛生士との給与の差を知り、改めて歯科衛生士の国家資格を目指して専門学校や短大に入学する人もいます。
待遇に関しては、歯科衛生士・歯科助手いずれの職業も、正社員であれば社会保険や各種休暇、手当などの福利厚生は整っている現場がほとんどです。
ただし、勤務先のほとんどが個人経営の医院やクリニックとなるため、職場によって給与や待遇が大きく異なるのが実情です。
歯科助手と歯科衛生士はどっちがおすすめ?
歯科衛生士と歯科助手の大きな違いは、「仕事内容」と「目指す方法」にあります。
歯科衛生士は実際に患者さんの口内に触れ、歯のクリーニングや歯石・歯垢の除去、ブラッシング指導、歯科医師の治療の補助といった医療業務を主としておこないます。
他方、歯科助手も治療のサポートには入るものの、受付や会計、レセプト(診療報酬明細書)の作成などの事務作業がメインとなります。
受付などの事務よりも実際の治療に近いところから患者さんをサポートしたい思いがある人は、歯科助手ではなく歯科衛生士のほうが向いています。
また、歯科衛生士のほうが給与や待遇がよいことも多いので、国家資格を取得して安定した収入を得たい場合は、歯科衛生士の資格を目指すのがよいでしょう。
ただし、歯科衛生士になるには専門学校や短大に通い3年以上のカリキュラムを修了する必要があります。
時間と費用がかかるので、すぐに実務に就きたい人は歯科助手を選ぶとよいでしょう。