パン職人の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
パン職人の仕事とは
パン職人とは、パン作りの専門家として、町のパン屋やホテルのレストランのベーカリー部門などでパンを製造する人のことをいいます。
場合によっては「ブーランジェ」とも呼ばれています。
パン職人は商品の仕込みや成形、焼き作業、陳列、接客・販売、オリジナルパンの企画など多岐にわたる業務をこなしながら、お客さまにおいしいパンを届けます。
勤務先によってパン職人が担当する業務範囲は異なります。
独立し、自分の店をもった時はスタッフを雇わず、一人ですべての業務を担当することもあります。
パンは種類によって原料の配分や製法が異なるため、確かな知識・技術を身につけることはもちろん、他店に負けないようなオリジナリティあるパンの開発にも力を入れなくてはなりません。
パンの人気や需要は安定しているものの、ますます高まる消費者の「食の安全・安心」志向に対し、誠実に対応する努力と工夫が求められます。
勤務時間が長く力仕事も多いハードな仕事ですが、独立して成功すれば大きな収入を得ることも夢ではありません。
20代で正社員への就職・転職
パン職人の業務の内容
パン製造
パン職人の主な仕事内容はパンを作ることです。
パンを作る基本的な工程としては、バターや卵などさまざまな材料を混ぜたら、生地を仕込んでから発酵させ、次に成形、最後に焼き上げて仕上げていきます。
翌日焼くパンの準備や仕込みも行う必要があります。
店の規模によって、それぞれの工程における作業を分担することもあれば、一連の作業をすべて一人で行うこともあります。
基本的に決まったレシピ通りに製造しますが、その日の温度や湿度にあわせた微調整をすることが大切です。
新商品開発
日常的に食卓に登場するパンを購入するお客さまのなかには、新しいパンを買い、新鮮な気分になりたいと思っている人もいます。
また、特色がない定番のパンばかりが並んでいては、他店との違いが出せず、集客がうまくいかないでしょう。
そのため既存顧客を飽きさせず、新規顧客獲得のために、新商品の開発は大切な業務です。
たとえば季節感を感じさせるパンのほか、SNSで拡散が期待できるような見た目にインパクトがあるパンなどです。
また定番の食パンひとつとっても、ふわふわ食感が好きなお客さまもいれば、さっくり食感が好きなお客さまもいるため、食感を変えるのも、さまざまなニーズにこたえるという点では有効です。
単純に新商品をつくりだすだけでなく、原価や製造量、顧客層の分析も必要です。
一朝一夕にはできない難しい業務ですが、パン職人の醍醐味であり、力の見せ所です。
接客業務
ホールスタッフがいない店舗の場合、パン職人がホール業務を行います。
具体的には、出来上がったパンを運び、陳列します。
また来店されたお客さまの接客、会計も行います。
最近ではパンにイートインコーナーが併設されたベーカリーショップやベーカリーカフェも増えており、勤務先によってはパン職人自ら、ドリンクやスープを作りお客さまに提供することもあります。
店内清掃など
店の規模によっては、店舗の清掃は下積みスタッフやホールスタッフが行いますが、経験を積んだパン職人もこのような業務を担うことがあります。
このほか、パンの値札やPOP、店頭看板などの制作を行うこともあります。
個人店などであれば、原材料の発注業務、経理事務など幅広い業務を行います。
パン職人の役割
子どもから大人まで日常的に食べるパンは、毎日の食卓を豊かに彩るものです。
パン職人は、パンを作ることで、人々の食卓に美味しい笑顔を届ける社会的役割があります。
また美味しいだけでなく、安全で安心なパンである必要があります。
最近はアレルギーをもつ人や原材料にこだわりのある人が多く、パン職人はプロフェッショナルとして、それらに関する質問に適切に答え対応していかなくてはなりません。
さらに、最近では多様な特色のあるパン屋が町中にあふれています。
「パンがおいしい」というのは当然大事なポイントですが、お客さまはお気に入りのパン屋を選ぶにあたり、さまざまな基準をもっています。
その基準は立地、価格、接客態度などいろいろとありますが、「他店にはないここだけのパン」というのは、お客さまが足を運ぶ大きな理由となります。
商品を自分の力で生み出すパン職人は、組織内においてお店の存続や発展のために欠かせない役割を担っているといえます。
20代で正社員への就職・転職
パン職人の勤務先
個人店
街中にある個人が経営するパン屋さんで働くパン職人の場合、レストランやチェーン店に比べ、勤務時間は長くなりがちです。
またその材料の仕入れ、商品の開発、価格設定などの作業全般を行い、工程が細かく分業されていることは少ないです。
また、販売の人手が足りない場合などは接客を担当することもあり、お客さまとのコミュニケーションも大切な仕事になるでしょう。
チェーン店
チェーン展開している大手のパン屋の場合、店舗や職人によって品質にばらつきが出ないことが大切とされます。
そのため材料や工程、形を本部が細かく指定していて、パン職人はそれをきちんと守ることを求められます。
チェーン店では働くパン職人の数も多いため、作業工程は分業化されています。
商品によっては、あらかじめ工場で作った生地が各店舗に配送され、店舗での作業は成形・焼成のみということもあります。
さらに店舗にはパン職人とは別にホールスタッフもいるため、接客を担当することはほとんどないでしょう。
一方で、店舗限定商品を作ったり、顧客層から商品構成を考えたりと、独自の工夫を行うこともあります。
また、季節商品や新商品開発の社内コンペが行われることもあり、積極的にアイデアを発信し、企業に貢献する姿勢が求められます。
レストラン
イタリアンやフレンチなどのレストランで働くパン職人もいます。
レストランで働くパン職人は、提供する料理にあうパンをつくることが期待されます。
そのため菓子パンや惣菜パンより、料理の味を邪魔しないシンプルなパンが多い傾向にあります。
町のパン屋のパン職人は朝の営業時間にあわせるために、早朝から仕込みや準備を行いますが、レストランで働くパン職人の勤務時間は、ランチ営業やディナー営業にあわせた焼き上げとなるため、もう少々遅めの時間からの勤務になることが多いです。
パン講師
パン職人を目指す人にパン作りのノウハウを教えるほか、お家で気軽にパンを焼きたいという人向けにパン教室を開くパン職人もいます。
このような業務では、店舗で働く場合と違い、指導能力やデモンストレーション能力が求められてきます。
また、パンレシピの開発では、「作りやすい」「再現しやすい」という観点も大切になります。
パン職人の仕事の流れ
パン製造の工程全体を担当する場合の仕事の流れを説明します。
計量
原材料等を正確に計測します。
ミキシング
生地に必要な材料(粉、塩、酵母、水など)を混ぜ合わせ、捏ね上げていきます。
一次発酵
ミキシング後の捏ね上がった生地を温度27度、湿度75%程度の場所に置いておきます。
パンの香りが生まれる工程で店によっては12時間ほど置くこともあり、事前にある程度の量を見込んで仕込む必要があります。
分割
一次発酵が終わった生地を必要な分量に切り分け、成形がしやすい形(球状や枕型)に丸めます。
ベンチタイム
成型しやすくするために、生地を20分程度休ませます。
成型
ベンチタイム後に最終的な形に成型していきます
生地が乾かないように手早く美しい形に仕上げていきます。
二次発酵
成型後、焼く前に再度発酵するホイロという作業です。
焼成
二次発酵の終わった生地をオーブンに入れ焼き上げていきます。
焼き上げたあとは、店頭に陳列しますが、スライスや包装が必要な場合は冷却作業が必要となります。
パン職人と関連した職業
パン職人とパティシエの違い
パン製造のプロであるパン職人に対し、洋菓子製造のプロは「パティシエ」といいます。
パティシエはクッキーやケーキなどの洋菓子を作るほか、新商品開発も行います。
作るものは違えども、その仕事内容は似ていて、勤務先によってパン職人同様、パティシエ自らが接客することもあります。
なるために必須ではありませんが、「製菓栄養士」など、業務上共通して取得することがある資格もあります。
パン職人と調理師の違い
食に関わる職業の代表的なものに「調理師」があります。
調理師もパン職人も食べる人が笑顔になるものをつくり、レシピを開発するという点では似ています。
ただし、調理師は、おもにレストランやホテルなどでおいしい料理を提供したり、病院や福祉施設で健康に配慮した料理を作ったりする仕事です。
和食から洋食、中華やエスニックなどジャンルもさまざまで、料理に関する幅広い知識と技術を必要とします。
一方でパン職人はパン作りに特化しており、より限定した領域での専門性が求められてくるといえるでしょう。