入国警備官の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
勤続年数が上がること、階級を上げることなどによって昇給が望めます。手当も充実していますが、仕事では大変な面もあり、楽に収入を得られるわけではありません。
この記事では、入国警備官の給料・年収、初任給、福利厚生などについて、各種データをもとに解説しています。
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入国警備官の平均年収・給料の統計データ
入国警備官の給料は、警察などと同じく国家公務員法に基づく「公安職俸給表(一)」に沿って支給されます。
人事院規則にもとづき、本人の勤務年数や勤務成績に応じて昇格・昇給がおこなわれます。
入国警備官の平均年収・月収・ボーナス
入国警備官の給与は「公安職俸給表(一)」に沿って支給されます。
平成4年の「国家公務員給与等実態調査」によれば、「公安職俸給表(一)」が適用される職員の平均年齢は41.4歳、平均給与月額は379,615円です。
これは毎月の給与(俸給)320,437円に手当の59,178円を加えたものです。
また、ボーナスにあたる期末手当・勤勉手当の金額は「1年間に俸給等の約4.3月分」とされています。
これらを計算すると、そこから算出すると入国警備官の平均ボーナス額は約1,632,344円、平均年収は約6,187,724円と想定されます。
実際の給料・収入は、経験年数や職務階級によっても異なるため、上記の数値はあくまでも参考として確認してください。
入国警備官の初任給はどれくらい?
高卒で入国警備官に就職する場合は「公安職俸給表(一)」の1級3号俸からのスタートです。
東京都特別区内に勤務する場合、初任給の金額は地域手当を含めて213,600円です(令和5年4月1日の給与の例)。
地域手当の支給されない地域へ採用された場合には、178,000円となっています。
なお、大卒で就職する場合は高卒者よりも高い号俸でスタートするため、初任給は高卒者より高い金額が支給されます。
公安職俸給表(一)経験年数・学歴別平均俸給額
以下の図は、公安職俸給表(一)経験年数・学歴別平均俸給額を表したものです(※2022年のデータより)。
公安職俸給表(一)級別平均俸給額
国家公務員の俸給は、各人の級によって変わります。公安職俸給表(一)において、それぞれの級の平均俸給を表したのが下記のグラフです(※2022年のデータより)。
公安職俸給表(一)の適用人数と男女比
以下の図は、公安職俸給表(一)の適用人数と男女比をグラフにしたものです(※2022年のデータより)。
入国警備官・刑務官・皇宮護衛官などが含まれる公安職俸給表(一)は、どの年代でも男性の比率が高めです。
ただし20代から30代前半の若い世代は、女性比率も比較的大きくなっています。
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入国警備官の福利厚生の特徴は?
国家公務員である入国警備官の福利厚生は充実しています。
希望すれば全国にある公務員宿舎に住むことができ、公務員宿舎以外に住む場合には、住居手当が支給されます。
また、共済組合制度によって、定期的な健康診断の受診、全国の各種保養施設の利用、また介護休業中・育児休業中の手当金を受け取ることもできます。
休暇制度については、年間20日間の有給休暇、夏季休暇や結婚休暇などの特別休暇、病気やけがによる療養期間に使える病気休暇、最大90日間の介護休暇などが取得可能です。
このように、「働きやすさ」に関連する制度面はしっかりと整っているといえるでしょう。
ただし、入国警備官の勤務時間は不規則になってしまうことも珍しくありません。
摘発や送還などの業務が入れば休日出勤が命じられることもありますし、外国人違反者に関する突発的な業務も多く、案件が重なれば夜遅くまでの残業もあるでしょう。
もちろん残業などに対する手当も支給されますが、大変な面もある仕事ということは理解しておきましょう。
入国警備官の給料・年収の特徴
危険をともなう分、給料は高め
入国警備官の給料は、基本的には年齢が上がるにつれて昇給していきます。
20代では年収300万円台にとどまる人が多いですが、40代では年収500万円~600万円、役職がつけばそれ以上の年収になることも十分に考えられます。
また、職務の特殊性から「公安職俸給表(一)」は、「一般行政職俸給表(一)」よりも12%ほど高い給与水準になっていることも特徴です。
入国警備官が主に相手にするのは不法在留や不法就労をする外国人です。
言葉の壁や文化・思想の違いに加えて、ときには取り調べ中に暴れ出したり、凶器を持って威嚇したりする人と対峙しなくてはなりません。
このように危険をともなう業務であるぶん、給与面で配慮がなされています。
さまざまな手当が支給される
入国警備官には次のような諸手当が支給されます。
- 扶養手当:扶養親族がいる者に支給。子どもがいる場合は月額10,000円等
- 住居手当:借家(賃貸のアパート等)に住んでいる者に、月額最高27,000円
- 通勤手当:交通機関を利用している者に、1ヶ月当たり最高55,000円
- 期末手当・勤勉手当(いわゆるボーナス):1年間に俸給等の約4.3ヶ月分(年度によって異なる)
このほか、地域手当や残業があった場合の超過勤務手当、深夜勤務手当なども支給されます。
入国警備官全体の人数は決して多くないことから、限られた人数で確実に業務をこなすために残業が多くなりがちです。
違反調査や摘発は早朝や深夜に実施することもあるため、超過勤務手当や深夜勤務手当がつくことで給料が増えやすい面があります。
給与面は入国審査官よりも高い
「入国警備官」と「入国審査官」は、どちらも同じ法務省入国管理局に所属する国家公務員ですが、その給与体系は異なります。
入国警備官の給料には「公安職俸給表(一)」が適用されますが、入国審査官には「行政職俸給表(一)」が適用されています。
「公安職俸給表(一)」が一般の国家公務員より高い水準の俸給が支給されること、また、夜勤や休日出勤などの手当がつく機会が多いことから、入国警備官のほうが収入は高めです。
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入国警備官が収入を上げるためには?
入国警備官が収入を上げる方法は、業務に真面目に取り組み出世していくことです。
入国警備官には次の7階級があり、本人の努力次第で上位の階級に昇進が可能です。
- 警守
- 警守長
- 警備士補
- 警備士
- 警備士長
- 警備長
- 警備監
上位の階級に進むにつれて収入を上げていくことができますが、その分求められる役割や責任も大きくなっていきます。
とくに外国人を相手に調査や摘発などをおこなう入国警備官の仕事は、体力的にも精神的にも非常に負担が大きいものです。
実際に、入国警備官の離職率は、他の公務員と比べて比較的高いといわれます。
出世だけを考えるのではなく、仕事に対して自分なりの目標を持つなど、強い意志をもって取り組む姿勢が大切です。