女性の宮大工のキャリアパス・結婚後の生活
女性の宮大工の現状
大工の世界は男社会
宮大工に限らず、大工の仕事は古くから男性がするものであると考えられてきました。
たとえ女性が大工の職を志願しても、門前払いされてしまうことがほとんどだったのです。
現在でも女性の大工は珍しく、数十人の大工を抱える工務店の中に一人いるかいないかというのが実際のところです。
女性の募集はほとんどない
大工の求人を見てみると、表だって女性を歓迎している工務店はほとんどないことがわかります。
大工の仕事は体力的にもハードであり、危険と隣り合わせであることから、どうしても女性は不利になってしまいます。
女性にとって、大工の世界で生きることは心身ともに大変厳しいものであるといえ、まず、仕事の内容をよく理解し、自分に務まるかどうか見極めることが大切です。
女性という時点で採用に二の足を踏む工務店がほとんどであるというのが厳しい現実ですが、大工になりたいという強い情熱さえあれば、先方の心を動かし、道が開けることも大いにありえます。
実際、現在活躍している女性大工の方の話を聞くと、いくつもの工務店で採用を断られたという人も多いです。
それでも諦めず、就職活動を重ね、その熱意を買われて採用されたというケースが大半です。
女性の大工志願者の就職活動は大変厳しいものになるということを覚悟しておきましょう。
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女性の宮大工の強み・弱み
女性が占める割合が極めて低い大工の世界ですが、女性ならではの感性が生かされる部分も多分にあります。
とくに宮大工はその傾向が顕著です。
神社や仏閣の柱や梁には「木鼻」と呼ばれる装飾が施されています。
木鼻はノミを使って木材に模様を彫っていき、下掘りを終えた後に小さなカンナで細部を丁寧に仕上げていくという繊細な作業によって施されるもので、宮大工の中でも苦手意識を持つ人が多い作業です。
力仕事ではどうしても女性が不利になりますが、木鼻に関しては男女の差がほとんどなく、むしろ女性の方が高い技術を持っていることもあります。
完成した木鼻はノミとカンナだけで作られたとは思えないほど精緻なものであり、神社や仏閣に華を添えるもので、女性ならではの繊細さがこのような場面で生かせるのです。
木鼻の他にも、カンナでなめらかな円柱の柱を作っていく作業なども女性の得意とするところであるといえます。
男性社会である大工の世界で生き抜いていくためには、女性ならではの強みを磨いていくことも大切となるでしょう。
宮大工の結婚後の働き方・雇用形態
宮大工の仕事は残業が少なく、家庭と両立するのはさほど難しいことではないでしょう。
ただし、現場によっては長期的な出張があったり、休みが少なかったりなどの面もあります。
一般的なサラリーマンの働き方とは異なるところも多いため、パートナーの理解を得る必要があるでしょう。
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宮大工は子育てしながら働ける?
宮大工をしながら子育てをしたという人はほとんどいません。
大工の仕事はケガの危険性が高く、体力面からも妊娠中や出産直後の仕事は難しい面があります。
産休や育休制度が整っていないところも多いため、会社側も危険な仕事を避ける、一時的に違う仕事にうつるなどの配慮が必要だと考えられます。
宮大工は女性が一生働ける仕事?
女性が宮大工になるには非常に大変なように思えますが、現在でも女性宮大工は少なからず存在します。
とくに大阪市の四天王寺を手掛けた、日本でも有数の建築会社「金剛組」は、第38代棟梁として金剛よしえという女性棟梁をたて、経営を再建したことで知られています。
現在はロールモデルとなる先輩は少ないかもしれませんが、自分たちが道を開いていくというつもりで働くことが、後進につながっていくでしょう。