舞妓と芸者の違いは? 京都と関東の呼び方の違いも解説
舞妓と芸者の違い
舞妓・芸妓は京都の名称
舞妓は唄や踊り、三味線や琴などの芸事をお座敷で披露し客を楽しませる芸妓になるために日々修行に励んでいる身分です。
15~20歳という年齢制限があり、置屋で共同生活をしながら、生活のほとんどを芸事の鍛錬に充てています。
舞妓は20歳になると芸妓として活動していくか、芸の道を離れるかを選択することになります。
舞妓、芸妓共に京都の花街が活動拠点で、他の地域でも芸事に励む女性はいますが、この呼称は使いません。
「芸者」は関東地方の呼び名
一方、東京を中心とする関東地方には「芸者」が存在します。
芸者とは京都で言うところの「芸妓」です。
芸者の見習いは「半玉(はんぎょく)」と呼ばれ、舞妓同様、芸事の鍛練に勤しむことを本分としています。
呼び方の違い
<京都>
- 舞妓:「芸妓」の見習い
- 芸妓:一人前と認められた人
<関東地方>
- 半玉:京都でいう「舞妓」で、芸者の見習い
- 芸者:京都でいう「芸妓」で、一人前
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歴史上には男の芸者も
江戸時代には男芸者というものも存在していました。男芸者は女芸者と同様、宴席で芸事を披露して客を楽しませていました。
江戸時代には芸者といえば男性である幇間(太鼓持ち)を指したほど、世間でも知られる存在でした。
ところが明治時代に入ると芸者は男性ではなく、現在のように芸事で生計を立てる女性の呼称になりました。
関東地方で活躍する芸者
戦前、東京には21を超える花街がありましたが、現在では6つの花街しか残っていません。
六花街と呼ばれる芳町・新橋・赤坂・神楽坂・浅草・向島には現在も多くの料亭がひしめいており、毎晩宴席を芸者が盛り上げています。
芸者は、大きくは踊り手である「立方(たちかた)」と弾き手、歌い手である「地方(じかた)」に分かれます。
お座敷には最低でも各1名ずつが呼ばれ、2時間で1名あたり5万円前後のギャランティーが発生します。
芸者は舞妓同様に気軽に呼べるものではなく、利用する層も限られているといえます。
また、こうした花街以外に各地の温泉街で活躍する芸者も多く、旅館と提携して観光客のお座敷を盛り上げています。
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世界から注目を集める「ゲイシャ」
海外からの日本のイメージの中には、必ずと言って良いほど芸者が上がります。
このきっかけは1867年のパリ万博といわれています。
江戸幕府が初めて参加したこの万博には、3人の芸者が同行し、パビリオンとして「茶屋」を出展しました。
そこで芸者たちはキセルを吸ったり、手まりをついたりして日本の文化を伝えました。
これが非常に好評で、世界に強烈な印象を与えたといわれています。
とくにほとんどのヨーロッパ人は、それまで生の日本文化に触れたことがなかったため、芸者のこうしたイメージが「日本文化」として深く刻まれたのでしょう。
それからまもなくフランスを中心に、「ジャポニズム」と呼ばれる日本ブームが到来し、浮世絵人気なども相まって「日本といえばフジヤマ・ゲイシャ」というイメージが定着したと考えられます。