舞妓の水揚げとは? 「身売り」のイメージは過去のもの?
かつて、水揚げは男女の関係を結ぶもの、身売りというイメージがありましたが、それらは過去のもので、現在では一切ありません。
ここでは舞妓の水揚げとはどのような意味を持つのか、詳しく解説します。
「水揚げ」の過去と現在の違い
舞妓の世界における水揚げという言葉は、過去と現在では指すものが変わってきています。
ここでは、それぞれの言葉の定義について説明します。
過去の水揚げは一人前になるための儀式
かつて、舞妓は「旦那」とよばれるスポンサーを持つことが一般的でした。
旦那は、自分が見初めた舞妓の着物や生活にかかる多額の費用を置屋に支払い、その対価として舞妓と男女の関係を結びます。
そして、舞妓が初めて旦那を持つことを「水揚げ」といいました。
舞妓にとっての水揚げは、一人前になるための大きな一歩だったのです。
水揚げを経験することで、髪型もそれまでの「割れしのぶ」から「おふく」に結い替えることを許可されるようになります。
現代では髪型を替えること自体を指すことが一般的
しかし、現在では昔のような水揚げの儀式は一切ありません。
たとえ舞妓の旦那になりたいと願う人がいたとしても、それは叶いません。
むしろ、現代の舞妓は特定の男性に見初められることを一般的な恋愛としてとらえており、そのまま関係を発展させていこうと考えた場合は「芸の道から離れる」という選択をしています。
時代が変わるにつれ、現在では舞妓が修行を経て、一人前に近づくための通過儀礼として「割れしのぶ」から「おふく」へと髪型を替えることそのものを「水揚げ」と呼ぶようになっています。
20代で正社員への就職・転職
舞妓に対する「身売り」のイメージは過去のもの
舞妓を志望する娘を抱える家族にとっての心配事は、この水揚げへの誤解によるものがほとんどです。
しかし、「生活が保障される代わりに身体を売るようなことになるのではないか」という不安は、現代においてはまったく的外れであるといっていいでしょう。
法体制が大きく改正されたことに伴い、かつてのような水揚げが行われることは違法となり、今ではその名前だけが残っているというのが現状です。
過去の歴史によるイメージが先行していることは否めず、今でも昔のままの理解が根強く残っている側面もあるのは事実です。
とはいえ、実際には身売りを行うことはないため、舞妓を目指している人はこの点において心配いりません。
現代の舞妓の姿
現代の舞妓たちは、自分自身でこの職業を選択し、目指していることがほとんどです。
舞妓になること、そして舞妓になってからのキャリアについて紹介します。
舞妓は自らの意思で選ぶ職業に
生活が保障されるという性質から、かつて舞妓になるのは貧しい家庭の娘も少なくありませんでした。
自分の意志ではなく「家族によって奉公に出される」という意味合いが強かった時代があるのも事実です。
しかし、現代においては日本の伝統芸能を継承し、国内のみならず世界にも発信するという存在意義を持つ舞妓に自ら志願する人が全国各地から後を絶ちません。
女性の活躍が目覚ましい現代社会において、舞妓も立派な進路のひとつであると認められるようになっています。
現代の水揚げ後の舞妓のキャリア
舞妓になると、「年季」のある5年程度は、基本的に辞めることはできず置屋をうつることもできません。
20歳前後になると舞妓を卒業しなければならないため、そのまま花街に残り芸妓として活躍するか、地元に帰るか、専門学校や大学に進学するか、結婚するかなどを迫られます。
舞妓は芸妓の見習い期間ではありますが、その期間が過ぎても芸妓にならず、他の職に就く人も多いといわれています。
たとえ一人前と認められ、お座敷に出るようになったとしても、20歳になれば人生を選択しなくてはなりません。
ただ、多くの人は中卒や高卒で舞妓になっているため、そこから他の職業を目指すのは決して簡単ではないと考えておいた方がよいでしょう。
舞妓を志す上では、成人後の人生についてもしっかりと検討しておいたほうがよいでしょう。
20代で正社員への就職・転職
「舞妓の水揚げとは?」のまとめ
舞妓の水揚げとは、修行を経て、一人前に近づくための通過儀礼です。
過去の歴史にあったような身売りを行うことは、現在はなくなっています。
舞妓として十分に経験を積んだ人たちは、20歳前後に芸妓になるか、他の道へ進むかを選択することが求められます。