舞妓の化粧・衣装・髪型の特徴
舞妓の化粧
舞妓の化粧品
舞妓の化粧は、真っ白な肌にさす鮮やかな紅が印象的です。
そんな舞妓の化粧に使われる化粧品は、芸妓や歌舞伎役者なども使っている白塗り専門の化粧品を使用しています。
これは、専門店でしか手に入れることのできない特殊な化粧品です。
舞妓の化粧の手順
まず舞妓の化粧は下地に鬢(びん)付け油を使います。
鬢付け油と言えば相撲の力士が髷を結う時に使う、主に日本髪の形を整えるために使われるものです。
これを手の温かみで柔らかくして、顔と首筋、襟足から背中にかけて、白塗りする部分全体に薄く伸ばします。
その上に水に溶かした練白粉(おしろい)を板刷毛(いたばけ)で首筋から胸にかけて塗っていきます。
襟足は、合わせ鏡で見ながら自分で塗ったり、舞妓同士が塗りあったりするようです。
ちなみにお座敷に出るときは二本足を、紋付を着るような時は型を使って三本足の襟足にします。
紅は棒紅と呼ばれる細く小さな固形状のものを使用します。
それを水で溶いて塗った上になんと飴を溶かしたものを重ねます。
これは艶を出すグロスの役割を果たします。
最後に眉を描き、目ばりをひいて舞妓メイクの完成です。
所要時間は30分から1時間とのことですが、慣れるまでは苦戦するでしょう。
メイクでキャリアが分かる
舞妓の化粧の仕方は、経験年数によって異なります。
若い舞妓はあまり顔を描き込みません。
お座敷に出たての舞妓は、口紅は下だけしか塗らないことが多いようです。
アイラインもくっきり引かないなど、あまり自由に顔を作ることはできません。
メイクも女将や先輩の舞妓から許可が出てはじめて、口紅を上唇もできるようになったり、その他のパーツも描いたりするようになります。
これも舞妓としての経験によるものであり、修行のうちであるといえるでしょう。
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舞妓の衣装
舞妓の衣装は「子どもの着物」
舞妓の着ている着物は私たちが着るものとは異なるところがあります。
特徴的なのはまず裾の長さです。
長い裾を引きながら歩く姿が舞妓の魅力の一つといえるでしょう。
また、舞妓の着物は肩と袖が織られて縫ってあります。
この「肩上げ」「袖上げ」とよばれる縫製は、子どもの着物に見られる特徴です。
かつては子どもの成長に合わせて丈を調節していたために見られるもので、舞妓が半人前、見習い、子どもであるという象徴であるとも考えられます。
着物の柄でキャリアがわかる
着物の柄も経験年数によって違いがあります。
若い舞妓ほど柄も華やかで、肩の方まで模様が入っており、年を追うごとに柄は少なくなり、シンプルなものになっていきます。
無地でシックな色合いの着物を着ることが多い芸妓の衣装に近づいていくのです。
舞妓の髪型
「割れしのぶ」と「おふく」
若い舞妓の髪型は「割れしのぶ」と呼ばれます。
赤い鹿子が前後からのぞき、真ん中には鹿の子止めを付け、丸い髷がかわいらしい髪型です。
舞妓になって1~2年間は割れしのぶ以外の髪型にすることはできません。
割れしのぶを卒業することを「水揚げ」といい、「おふく」と呼ばれる髪型になります。
これは舞妓として一人前に近づいた証拠です。
おふくは割れしのぶに比べて少し落ち着いた雰囲気になり、この髪型を結うようになると、祇園祭や節分などの行事では違った髪型にすることも許されます。
割れしのぶとおふくが舞妓の平常時の髪型です。
これ以外にお正月には「奴島田」、祇園祭では「勝山」など行事によってそれぞれの髪型があります。
かんざしの種類の違い
若い舞妓は華やかなかんざしをたくさんつけます。
かわいらしい反面、舞妓としては未熟な証拠であるため、一日も早くこれがとれるようにと若い舞妓は修行に励むそうです。
経験を重ねるとかんざしそのもののデザインもシンプルになっていくのは、着物の柄と同じです。
また「先笄」という髪型は、舞妓を卒業し芸妓になる直前に結う髪型です。
これは江戸時代から、成人を意味する髷として結われてきた髪型でもあります。