購買の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「購買」とは
企業活動にとって必要なあらゆる「もの」を購入する職種。
購買は、製造業などの企業を中心に活躍し、原材料などの生産に必要なあらゆる「もの」を関連業者から購入する仕事です。
質の高い原材料を安定的に、そして少しでも安く仕入れるプロフェッショナルとして活躍します。
ものづくりを行う企業において、製造コストを削減し、また安定して生産を続けていくために、購買は非常に重要な役割を果たします。
なお、企業によっては、原材料以外にも自社で使用する「備品」や「消耗品」、さらには外部の「協力業者(パートナー)」の選定や購入に携わることもあります。
購買になるために必須の資格はありませんが、大手企業では「大卒以上」の学歴をもつ人が中心に採用されています。
ただし、購買職はそこまで採用人数が多くない場合が多く、未経験者がいきなり購買部門に配属されるとは限りません。
まずは営業など別の仕事を経験し、経験を積む中で希望や能力などが認められると購買部門へ異動となることも多いです。
「購買」の仕事紹介
購買の仕事内容
関連業者と取引し、原材料や部品などを安定的に購入する
購買は、企業において、製品の生産やサービスに必要なあらゆる「もの」を購入する仕事です。
購買が購入するものは、業種・企業によってさまざまですが、最もわかりやすいのは「ものづくり」をするメーカーでしょう。
メーカーでは、工場で製品をつくるのに必要な「原材料」や「部品」を大量に購入しなくてはなりません。
また、それ以外の企業でも、企業が事業を展開していくのに必要な「備品」や「消耗品」、さらには外部の「協力業者(パートナー)」を購入することは多々あり、その業務に携わることも、広く購買の役割に含まれます。
購買担当者は、こうしたさまざまな「もの」を購入するにあたって、最もよい条件(品質・納期・価格など)で取引できる業者を選定し、各業者との取引を行います。
購買になるには
大手メーカーへの就職が一般的
購買職を目指すのであれば、メーカーを中心に、購買が多く活躍している企業の採用試験を受けることが第一ステップです。
規模の大きなメーカーになればなるほど、購買として働く人の数も多いため、採用されるチャンスを掴みやすいでしょう。
しかし、購買職そのものの求人や採用人数は他職種に比べてそこまで多くないことから、ちょうどよいタイミングで募集されるとは限りません。
また、未経験者の場合はとくに、最初から購買として配属されるとは限らず、まずは営業や生産管理など、別の仕事を経験することになる可能性もあります。
どうしても購買として働きたい場合には、志望先企業における購買の仕事内容・役割をよく調べておき、自分がどのように活躍したいと考えているのか具体的に伝えることが大切です。
購買の学校・学費
大学で経営や経済を学んでおくとベター
購買になるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。
ただし、大手企業の新卒採用では「大卒以上」の学歴を求めるケースが多いため、大学に進学しておくほうが就職先の選択肢は広がるでしょう。
購買職に直結する学部や学科はとくにありませんが、経済学部や経営学部でマーケティングやサプライチェーン、物流などの基本を学んでおくと業務に役立つ部分があるはずです。
購買職は、文系と理系の両方の頭が少しずつ求められる仕事です。
学生時代には、データ分析スキルや論理的思考力、また、さまざまな人と関わってコミュニケーション能力も高めておくとよいでしょう。
購買の資格・試験の難易度
実務経験者向けの資格がある
購買職として働くうえで、必須とされる資格はとくにありません。
ただし、購買の業務に関連する資格取得を目指すことで、実際に仕事に就いてから役に立ったり、採用時に優遇されたりする可能性があります。
購買に関連する代表的な資格は「CPP資格制度」です。
これは一般社団法人日本能率協会が実施する検定試験で、企業の購買・調達業務に従事する人を対象としています。
企業によっては、購買職の社員に対してCPP資格の取得を推奨しているケースもあります。
この資格は「CPP-A級」と「CPP-B級」の2種類に分かれており、B級は受験資格がないものの、基本的には購買や調達の実務経験者を対象としています。
購買の給料・年収
実務経験を積むうちに収入アップが期待できる
購買職の平均年収は300万円~500万円ほどがボリュームゾーンとされます。
資材の原価が大きくなる製造業の企業では、とくに購買部門を重要視している場合が多く、購買職の給与はやや高めに設定されているようです。
ただし、同じ「メーカー」にあたる企業でも従業員1万人以上の大手企業から、中小零細企業まで多種多様であり、勤務先によって給与水準には違いが出るのが実情です。
また、購買は実務経験を積むことでスキルアップできるため、豊富な経験を積んだベテランや、自社が属する業界知識や専門知識を有している人は、とくによい待遇で働けるチャンスが出てきます。
海外の取引先ともやりとりできるスキルをもっていたり、部門の責任者になったりすると、年収500万円以上、さらには年収1000万円以上を得ることも不可能ではありません。
購買の現状と将来性・今後の見通し
購買部門を強化する企業が増えている
購買は、とくに製造業では必要不可欠な部門として位置づけられています。
近年は購買の仕事にもITが活用されるようになっているものの、仕入先の新規開拓や取引先との交渉などは、まだまだ人の力でなければできないことも多いです。
企業同士の競争が厳しくなっている現代では、いかに安く、少しでも質のよい原材料を仕入れるかが、企業にとっての重要な課題となっています。
購買部門を強化する企業も多くあるため、購買職に就いている人の将来性にさほど不安はないといえるでしょう。
ただし、購買職はあまり採用人数が多くなく、とくに未経験者が希望したところで、いきなり購買に配属されるとは限りません。
購買として働くチャンスを掴むには、ビジネスパーソンとして広い視野を身につけ、購買に必要なコミュニケーション能力や数字・データ分析能力などを磨く努力も必要でしょう。
購買の就職先・活躍の場
製造業、メーカーを中心に活躍する
購買は、多種多様な企業で活躍できる職種です。
なかでも最も購買の需要が大きいのは製造業、いわゆる「メーカー」といわれる種類の企業です。
ものづくりを行うメーカーにおいて、原材料や部品の購入に携わる購買は非常に重要なポジションのひとつにあたります。
ただ、購買部門の人員は、営業など他職種に比べると、そこまで多くないケースが一般的です。
とくに新卒入社の社員がいきなり購買に配属されることはまれで、他の職種でキャリアを積むなかで、購買部門への異動になることもしばしばあります。
中途採用の場合には、購買職の経験者、もしくは購買に近い「調達」や「バイヤー」などの経験があると、優先的に採用されやすいといわれています。
購買の1日
外部の取引先や社内の他部署との連携の機会も多い
製造業を中心とする企業では、購買部門が責任をもち、日々さまざまな原材料や資材を仕入れて生産活動を行っています。
実際の購買の動きは企業ごとに異なりますが、ここではある大手メーカーで働く購買職の1日を紹介します。
<メーカーの購買部門で働く社員のある1日>
購買のやりがい、楽しさ
自社の製品づくりや利益に直結する仕事ができる
購買の仕事は、表からはあまり見えない部分が多いため、人によっては地味と感じるかもしれません。
しかし、企業活動に必要なあらゆる「もの」を購入する購買は、自社の利益にも大きな影響をおよぼす重要な役割を担っています。
できるだけ質のよい原材料や資材を、少しでもコストを抑えて購入するためには、ときに難しい交渉も必要です。
地道な購買の活躍によって、企業が作り出す製品の質は高まり、より多くの利益を生み出すことにもつながる可能性が十分にあります。
購買は、縁の下の力持ち的な立場で、企業に貢献できる魅力的な仕事といえるでしょう。
購買のつらいこと、大変なこと
さまざまな関係者との交渉が必要な場面も
購買は、高いコミュニケーション能力が必要な仕事です。
仕入先との取引においては、価格や納期などについて交渉を行わなくてはならない場面が非常に多いですし、社内でも生産部門などとの調整をする機会はよく出てきます。
さまざまな関係各所との間に立って物事を進めるため、ときに板挟みのような状態になり、ストレスがかかるかもしれません。
また、購買の業務では常に納期やコストなどの「数字」を意識しなくてはならないため、取引が思うようにいかないときは大きなプレッシャーを感じる人もいます。
購買に向いている人・適性
データ分析が得意で人との関わりも苦にしない人
購買の仕事では、綿密な計画性が重視されます。
原材料や資材を仕入れる際は、社内の状況を把握したうえで必ず事前に計画を立て、それにもとづいて取引を進めなくてはなりません。
納期や価格の管理などもキッチリと行う必要があるため、情報やデータが好きな人や、順を追って正確に物事を進めていくことが得意な人に向いています。
とはいえ、急なトラブルや状況変化には都度、臨機応変に対応する判断力も求められます。
加えて、購買は仕入先となる業者や社内のさまざまな部署との連携・調整をする機会が多いため、人との関わりを苦にしないことも大事な適性のひとつです。
購買志望動機・目指すきっかけ
購買職の役割そのものに魅力を感じる人が多い
購買は、製造業を中心とするさまざまな企業において、会社の利益を左右する重要な職種です。
購買担当者が活躍すれば、同じ原材料や資材を安く仕入れることができたり、大幅なコスト削減につながったりします。
購買は、営業や企画などの仕事に比べると、あまり目立たない存在と思われることもありますが、そのなかでも購買を目指す人は、上記で挙げたような購買の役割に魅力を感じています。
実際には社会人経験者が転職で購買職に就くことも多く、もともと別の部門や職種で働いていた人が、社内で購買の活躍ぶりにふれて「自分もこの仕事がしたい」と考えるケースもあるようです。
購買の雇用形態・働き方
正社員として働く人が中心
購買職のほとんどが正社員として働いています。
メーカーなどの企業では、購買部門は非常に重要な役割をもつポジションと認識されていることから、しっかりとキャリアを積み、専門的な知識・スキルを身につけた人材を購買職に配置するケースが多いです。
もともと正社員であった人が、結婚や出産、家庭の事情などで会社に相談の上、雇用体系をパートなどに変えることは考えられますが、基本的にはフルタイム勤務での働き方が中心です。
購買部門であっても、事務やアシスタントの仕事であれば正社員以外で採用を行っていることもあります。
購買の勤務時間・休日・生活
決められた時間内で働ける場合が多い
購買の勤務時間は、勤務先となる企業の就業規則によって決まります。
正社員として働く人が多い職種のため、一般的には9:00~18:00前後を勤務時間とするケースが一般的です。
企業によっては柔軟なワークスタイルや生産性アップのために、フレックスタイム制などを導入しています。
なお、購買は基本的に「日勤」のみで、夜勤をすることは通常ありません。
休日も多くの企業では土・日曜日を休みとする「完全週休二日制」をとっていますが、土曜日に関しては年間で数回出勤日を定めている企業もあるようです。
基本的には事前に立てた計画にもとづいて業務を進めるため、平常時の残業はさほど多くないでしょう。
購買の求人・就職状況・需要
未経験者を対象とした求人はさほど多くない
購買職の求人は、営業職などに比べると、そこまで多いわけではありません。
とくに大手企業では外部からの採用ではなく、自社の社員の中から本人の希望や能力、適性などに応じて購買部門へ異動させるケースも多いです。
したがって購買の仕事に就けるかどうかは、会社事情や運任せになってしまう面も否めません。
求人が出る場合は中途採用が中心で、その場合は購買職、もしくはそれに近い仕事の経験者が優先的に採用されます。
購買への就職を目指す場合は、地道に求人情報を探していき、採用試験では購買職に対する十分な熱意を見せる姿勢が必須です。
購買の転職状況・未経験採用
購買に関連する業務の経験者は優遇されやすい
購買は、転職者を対象とした採用が積極的に行われている職種です。
購買部門は最少人数で回している企業も多いため、とくに即戦力になれる人材は歓迎されます。
「経験者限定」での求人を出す企業や、できるだけ経験者を優先して採用したいと考える企業は多いです。
購買職の経験がなくても、業務内容が近い「調達」「バイヤー」「生産管理」などの職務経験があると、プラス評価されやすいです。
また、電気や機械など、各業界のビジネスモデルや慣習、法律などに関する知識を持っている人も歓迎されるケースがあります。