建設コンサルタントになるのに必要な資格はある?
建設コンサルタントになるのに必要な資格はある?
建設コンサルタントは、さまざまな分野の豊富な知識とスキルが必要になる専門的な仕事であり、業務に関連する資格は複数あります。
しかし、新卒者については、就職する時点で絶対に取得しておかなければならない資格はひとつもありません。
入社した後に、社内研修を受けたり、自主的に勉強したりして、働きながら資格取得に励むことになります。
とくに、「技術士」と「RCCM」のふたつの資格については、どちらかを保有していることがコンサルティングの管理技術者という責任者を務めるための条件となっていますので、優先的に取得を目指すことになるでしょう。
参考:一般社団法人建設コンサルタンツ協会 RCCM資格制度事務局 シビルコンサルティングマネージャ資格制度概要
以下では、建設コンサルタントにおすすめの資格について、その概要や難易度などをご紹介します。
なお、中途採用者については、これらの資格保有が必要条件となっているケースもよくあります。
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建設コンサルタントにおすすめの資格
技術士
技術士は、文部科学省の管理する国家資格であり、計画、調査、設計など、科学技術に関する専門的な技能を有することを証明するものです。
技術士になるには、筆記形式の一次試験に合格したうえで、4年以上の実務経験を積み、筆記形式と口頭形式の二次試験に合格することが必要です。
このため、入社前に資格を取得することはできませんが、一次試験には年齢や学歴などの受験要件がなく、誰でも試験を受けることができます。
現在学生の人については、一次試験だけでも突破しておけば、就職活動時に強力なアピール材料になりますし、就職後もほかの社員より有利となるでしょう。
一次試験のみの合格率はおよそ40%~50%前後、二次まで含めた全体の合格率はおよそ10%~20%前後となっており、かなりの難関といえる資格です。
RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)
RCCMは、建設コンサルタンツ協会という一般社団法人の認定する民間資格です。
もともと、上で述べた技術士の資格保有者が少なく、建設コンサルタントにおいて管理技術者となれる人材が不足していたため、それを補う目的で創設されました。
公共工事などの調査や評価、管理、検査を行うための資格であり、業務内容は技術士と似通っています。
合格率はおよそ30%~50%前後であり、技術士よりも難易度はやさしめです。
しかし、試験を受けるには、学歴に応じて数年単位の実務経験を積むことが必要であり、大卒の場合は7年、短大卒や高専卒の場合は9年、高卒の場合は11年となっており、いずれのケースもかなり時間がかかります。
必要な実務経験が短いけれども難易度が高い技術士と、必要な実務経験が長いけれども難易度が低いRCCMは、どちらを目指すべきが意見の分かれるところです。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、土木工事についての工程管理や安全管理、品質管理、予算管理など、工事全般を監督するための国家資格です。
建設コンサルタントの手掛ける公共工事には、ほとんど土木工事が絡みますので、技術士またはRCCMの次に優先順位の高い資格といえます。
資格には1級と2級があり、1級は規模の大きな土木工事を、2級は比較的小規模な土木工事の施工管理を行う資格です。
建設コンサルタントの場合、まず間違いなく1級資格を取得することが求められるでしょう。
1級試験を受けるためには、まず実務経験を積むことが必要であり、土木・工学系の大学を卒業した場合は3年、それ以外の大学を卒業した場合は4年半、高卒の場合は11年半となっています。
試験は学科試験と実地試験の二段階選抜となっており、学科の合格率は50%、実地の合格率は30%前後で、最終合格率は15%前後です。
合格率は低めですが、基礎的な知識は実務から学ぶことができますので、真面目に日々の仕事に取り組んでいれば、試験対策はそこまで大変ではありません。
建築士
建築士は、戸建住宅やマンション、店舗、オフィスビルなど、さまざまな建物を設計したり、建築工事を監督する国家資格です。
建設コンサルタントの仕事は、道路やトンネル、橋、ダムといったインフラ工事が中心ですので、建築士の仕事とは一定の「棲み分け」がなされています。
ただし、建築士が設計した図面を建設コンサルタントが監修するなど、両者の仕事には深い関連性がありますので、建設コンサルタントが建築士資格をもっていると非常に役に立ちます。
建築士資格を取得するためには、建築系の専門学校や大学などを卒業するか、数年単位の実務経験を積んだうえで、国家試験に合格する必要があります。
資格には1級、2級、木造の3種類がありますが、多くの人がまず最初に目指す2級資格でも合格率は20%前後しかなく、難易度は高めです。
測量士
測量士は、建設工事や土木工事を予定している土地について、面積や形状、高低差、位置などの測量作業を行うための国家資格です。
参考:国土交通省国土地理院 令和2年測量士・測量士補試験について(受験案内)
インフラ関係の大規模な土木工事を手掛ける前には、この測量作業が不可欠となります。
通常、工事の発注元であるクライアントが測量会社に測量作業を依頼し、建設コンサルタントはそのデータを基にして、工事計画を立案したり、設計作業を行ったりします。
建設コンサルタント会社によっては、自社で測量作業まで請け負うケースもありますので、資格があれば優遇されるでしょう。
測量士資格を取る方法は複数あり、最短のルートとしては、誰でも受験できる国家試験をパスするという方法があります。
しかし、測量士国家試験の合格率は例年10%前後しかないため、多くの人は、難易度の低いひとつ下の「測量士補」という資格を取得して、研修を受けることで測量士になるというルートを選択するようです。
測量士補の合格率は30%~40%前後であり、通信講座などを利用すれば学生でも合格することは可能です。