建設コンサルタントの需要・現状と将来性

建設コンサルタントの現状

建設コンサルタント業界は、官公庁や地方自治体の公共事業の動向に大きく左右されます。

日本の公共事業投資は、1990年代後半にピークを迎えて以降、社会福祉費用の増大による国家財政の悪化や、いわゆる「ハコモノ行政」に対する国民の強い批判を受けて、一貫して減少してきました。

2008年の年間投資額は約17兆円と、ピーク時の35兆円から約半減し、建設コンサルタント会社の多くも厳しい業況となりました。

その後、東日本大震災を始めとする相次ぐ自然災害の発生により、復興関連の公共事業が増加しましたが、2015年ごろからは落ち着いて、予算もほぼ元通りの水準となっています。

その一方で、建設コンサルタントの業者数に目を向けると、1990年代後半に3,000業者ほどだったのが、近年は4,000業者前後で推移しており、むしろ大きく増加しています。

市場全体が縮小していくなかで数多くの業者が乱立し、過当競争におちいっているのが、建設コンサルタント業界の現状です。

今後についても、マーケットがさらに縮小する状況なので、業界再編が急速に進んでいくことも考えられます。

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建設コンサルタントの需要

建設コンサルタント会社各社は厳しい業界環境を受けて、長らく新規の求人に消極的でした。

建設コンサルタントのコストはほとんどが人件費であり、たとえ仕事が減っても、雇う人数を調整しさえすれば利益を確保できるという背景もありました。

そうやって長期にわたって新卒採用を減らしてきた結果、業界全体で急速に平均年齢が上昇しており、20代や30代といった若手がほとんどいなくなっています。

このため、近年の建設コンサルタント会社は、次世代をになう人材を育成するため、再び求人活動に前向きに取り組むようになっています。

ただ、危険、きついというマイナスイメージの強い建設関係の仕事は、若い人たちからあまり人気がなく、人集めに苦心している企業が目立ちます。

就職希望者が少ない一方、求人需要は相応にありますので、これから建設コンサルタントを目指す人にとっては、かなりチャンスが大きくなっているでしょう。

建設コンサルタントの将来性

今後数年間についてみれば、オリンピック、万博など、国家規模の一大イベントが続きます。

それに伴う道路などの交通インフラ整備や新たな都市計画などで、建設コンサルタント業界も、しばらくは堅調に推移する見通しです。

もう少し中長期的な視点でみた場合、高齢化による社会保障費用のさらなる負担増は避けられず、それに圧迫されるかたちで、これまでと同様、公共事業の予算がどんどん削られていくことは確実です。

建設コンサルタント業界もますます厳しくなりますので、将来性という観点からみると、かなり厳しいといわざるを得ません。

ただそれでも、道路やトンネル、ダム、水道といったインフラ設備は人々の生活に不可欠であり、公共事業がなくなることはあり得ません。

深い専門知識と経験が求められることを考えると、AIなどの機械に仕事を奪われることもないでしょう。

自己研鑽を続け、ほかの同業他者に打ち勝てるだけのたしかな実力を身につけることができれば、将来にわたって最前線で活躍し続けることも十分に可能といえます。

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建設コンサルタントの今後の活躍の場

建設コンサルタント会社各社は、縮小していく建設コンサルタント市場に「見切り」をつけ、生き残っていくために事業の多角化を推し進めています。

例えば、発電事業の計画や設計を行ってきた建設コンサルタント会社が、つちかってきたノウハウを生かして、自分自身でエネルギー事業に参入したケースが挙げられます。

同じように、地域の観光名所や店舗に発信機を設置して、観光情報やクーポンをスマートフォンに配信するというITサービス事業に乗り出し、地域丸ごとコンサルティングしようとする企業も見られます。

こうした動きは今後さらに加速していく見通しであり、建設コンサルタントの活躍の場も、建設業界を飛び出して、広く拡大していくものと想定されます。

建設や工事に関するマネジメントスキルは、ほかのどんなサービスと相性がいいか、どのように応用できるかということを考えて、新しいビジネスモデルを柔軟な発想で模索していくことが必要になるでしょう。