研究開発の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「研究開発」とは
メーカーなどで製品開発のための基礎研究や応用研究を行う研究者。
研究開発とは、主に製造業の企業(メーカー)に所属して、製品実用化のベースとなる基礎研究や応用研究を行う仕事です。
医薬品系、食品系、化粧品系、化学系など、さまざまなメーカーで活躍でき、原料や成分を分析したり、試作品を作成したり、各種実験・検査を繰り返したりしながら、ものづくりにつながる研究を進めていきます。
多くのメーカーにおいて、研究開発職は大学もしくは大学院で理系分野を専門的に学んできた人材が求められており、とくに大手メーカーは博士号を取得している人も多いです。
特別な資格は必要ないものの、就職試験においては、学生時代に学んだ内容や研究実績とのマッチングが重視されるため、学校選びは慎重に行ったほうがよいでしょう。
メーカーにおいて、研究開発職は新商品を生み出したり、新しい技術を駆使してモノづくりを行ったりするのに不可欠な存在です。
高度な専門性が問われる仕事でもあることから、給与水準もやや高めで、安定した待遇で働ける場合が多いです。
「研究開発」の仕事紹介
研究開発の仕事内容
メーカーで研究を行い、製品づくりの根幹を担う仕事に携わる
研究開発とは、主に製造業の企業(メーカー)に所属して、製品実用化のベースとなる研究(基礎研究・応用研究)を行う仕事です。
多くのメーカーにとって、研究開発とは製品づくりの根幹をなし、さらに独自の技術力を証明するための重要な存在です。
大手企業ほど研究開発に力を入れているところが多く、研究開発の社員たちが実験や分析を行う研究所を構えています。
なお、ひとくちにメーカーといっても、各社が扱う製品の種類は、医薬品や自動車、機械、食品、化粧品など多種多様です。
同じ研究開発職でも、どのメーカーで働くかによって、仕事内容や業務の進め方などには少しずつ違いが出ます。
また、企業によっては研究開発が実際にモノづくりをする「開発職」に近い仕事をすることもありますが、基本的には「研究」に比重を置いた仕事をするケースが多いとされています。
研究開発になるには
大学や大学院で理系分野の勉強・研究を行うのが第一歩
研究開発の仕事に就くには、さまざまな業界・業種の「メーカー」を目指すのが一般的です。
食品、化粧品、自動車、医薬品、電機など、日本全国にたくさんのメーカーがあります。
大手企業ほど研究開発部門の規模が大きく、そこで働く研究開発職の人数も多いです。
毎年、定期的に新卒採用を行うメーカーもありますが、採用人数はそこまで多くなく、特定の学部や専攻からしか応募できない場合もあります。
研究開発職の場合、学生時代の研究実績や研究に対する姿勢が評価の大きなポイントになることが多いため、就職を成功させるためには、大学・大学院生活をどう過ごすかが非常に重要です。
研究開発の学校・学費
学生時代に学んだ内容が就職活動にも影響を与える
どの企業においても、研究開発職は理系の知識・技術を備えた人材が求められています。
学歴は高いに越したことはなく、有名な大手企業では、国内のトップレベルの大学や大学院を卒業している人が多数応募します。
したがって、高校生までに研究開発職に就きたいと考えているのであれば、できるだけ難易度の高い大学を目指すことをおすすめします。
在学中に学会や研究会、シンポジウムに積極的に参加したり、論文を発表したりして、できるだけ実績を作っておきましょう。
なお、理系は途中で専門分野を変えることが難しい場合が多いため、将来どのような研究開発をしたいかをイメージして、進学先を決めていくのがベターです。
研究開発の資格・試験の難易度
資格は必要ないが、高学歴が優遇されるケースも
研究開発職に就くために必要な資格はありません。
採用試験の場でも、特定の資格が応募資格や採用条件に掲げられることはほとんどなく、それよりも「何を学んできたか」のほうが重視されます。
研究開発職への応募にあたっては、最低でも四年制大学の理系学部を卒業していることが条件となり、企業によっては大学院卒でないと応募できないことも珍しくありません。
なかでも「博士号」を得ていれば大きな評価を得ることが多いです。
また、英語などの語学力は海外の論文や資料を読むときに役立つため、高い語学力を証明できる資格があればプラスの評価を受けるでしょう。
研究開発の給料・年収
他職種に比べると給与水準はやや高め
研究開発の給料・年収の水準は、他の職種と比較すると高めです。
もちろん企業によって違いは出てきますが、大手メーカーであれば大卒者の新卒初任給で22万円前後は見込めます。
さらに修士課程修了では初任給の時点で23万円~25万円ほど、博士課程にもなれば28万円~30万円ほどになることもあります。
全体の平均年収は500万円前後が相場とされており、キャリアを積んで役職につけば、年収800万円以上になる人も増えていきます。
企業によっては能力給を導入しており、プロジェクトで大きな成果を出すことで大幅な収入アップを実現できます。
研究開発の現状と将来性・今後の見通し
企業によって研究開発の環境には差がある
研究開発職は、メーカーが新商品を生み出したり、新しい技術を駆使してモノづくりを行ったりするのに不可欠な職種です。
理系の各分野に関する専門知識と技術が必要とされ、誰にでもできる仕事とはいえません。
ルーティンワークのようなものも少ないため、将来性は十分だといえるでしょう。
ただし、研究開発職が置かれる環境はさまざまで、企業によっては研究開発部門にあまり時間やお金を使えなかったり、制約事が多かったりする場合があります。
いくら熱意をもっていても、思うような活動ができないと、次第にモチベーションが下がってしまうことがあります。
研究開発に携わる者としての存在感を示し、長年やりがいをもって働き続けるためには、できるだけ研究開発に力を入れており、環境が充実している企業で働くほうがよいかもしれません。
研究開発の就職先・活躍の場
多種多様なメーカーを中心に活躍
研究開発が活躍するのは、製造業、つまりメーカーといわれる企業が中心です。
日本全国には食品、日用品、乗り物、家電や工業用の機械など、多様な製品を扱うメーカーが存在しています。
モノづくりを行うメーカーにおいて、新しい要素や技術を研究し、その内容を実際の開発作業へとつなげていく仕事は、まさに「会社の核」といえるものです。
大きなメーカーになればなるほど、立派な設備を備えた研究所をつくり、高額な研究開発費をかけているケースが珍しくありません。
また、そうした企業では、理系大学院卒の専門知識を備えた優秀な人材を多数抱え、日々の研究開発活動に力を入れて、競争力を高めている企業が多く見られます。
研究開発の1日
研究所にこもって実験や分析を繰り返す
研究開発職に就く人は、1日の大半の時間を研究所で過ごします。
白衣を着て実験を行い、その結果を分析して調査報告書やレポートにまとめたりします。
ときには生産部門や営業部門など、社内の他部門と連携して仕事を進めることもあります。
<食品メーカーで働く研究開発職の1日>
研究開発のやりがい、楽しさ
モノづくりの根幹を担う仕事に携われる
研究開発職の最大のやりがいは、モノづくりの根幹を担う仕事に最前線で携われることだといえるでしょう。
メーカーによって研究開発の内容には違いがありますが、研究開発は「ゼロからイチ」を生み出していく仕事でもあり、自社の技術発展に貢献できるやりがいがあります。
また、自分の興味関心のある分野に徹底的に向き合えることも楽しい部分です。
会社員の研究開発者は、仕事を続けて高い能力が認められれば、幹部人材に抜擢されるチャンスもあります。
自分の頑張り次第で、研究開発の知見と専門性を生かしながら、地位を高めたり大きな収入を得たりできるかもしれません。
研究開発のつらいこと、大変なこと
社内では異色の存在になることも
研究開発職は、自社の技術力を高めたり、業界全体の技術革新に貢献したりする重要な役割を担うものの、直接的に「利益を生み出す」ポジションではありません。
セールス(営業)のように、生産された「もの」や「サービス」を売ってお金を得る仕事をしているわけではないため、人によっては、やや肩身の狭い思いを感じるかもしれません。
とはいえ、研究開発は誰にでも簡単にできる仕事ではありませんし、高度な専門知識も必要です。
実際には誇りをもって働いている人が大勢いますが、どのメーカーでも、研究開発部門は良くも悪くも他部門とは異なる「異色」の存在として認識されやすいです。
その点に、孤立感や少し寂しい気持ちを抱く人もいるようです。
研究開発に向いている人・適性
集中力が高く研究に没頭できる人
研究開発職は、多くの場合、ひたすら研究活動に没頭します。
実際に手を動かしてモノづくりを行う「開発職」に近い仕事に携わるケースもゼロではありませんが、それよりも白衣を着て研究室にこもり、実験を繰り返すような仕事に携わることが多いのが研究開発職です。
そのため、とことん研究に情熱を注げるタイプであることが研究開発の適性であり、必須条件ともいえるでしょう。
また、研究開発職は広く浅くよりも、深く狭くの専門性が問われやすいため、明確に「この分野に関する研究がしたい」という思いを持てるかどうかも大事な要素になってきます。
研究開発志望動機・目指すきっかけ
学生時代の学びが将来の希望につながる
研究開発を目指す人は、基本的には理系分野で、学生時代から研究を続けてきた人ばかりです。
大学、大学院での研究内容を生かせる企業へ就職するケースが大半なので、早いうちから将来進みたい業界や方向性がある程度固まっている人も多いです。
研究に興味をもつ人の多くが、昔から一つの物事をとことん究めるのが好きだったり、まだ世の中にないものを発見したいという気持ちを抱いていたりします。
化学系、機械系、素材系など、業界・業種によって具体的な志望動機は変わってきますが、各企業が作る製品に強い関心をもっている人が多いのが特徴です。
研究開発の雇用形態・働き方
正社員としてフルタイム勤務をする人が多い
研究開発職として働く人は、その多くが正社員として雇用されています。
同じ企業内でも、研究開発は比較的待遇がよく、安定した働き方をしている人が多いようです。
ただし、企業によっては契約社員、派遣社員の研究開発職を募集するケースもあります。
パート・アルバイトの募集はほとんどありませんが、もともと正社員の研究開発として働いていた社員が、出産などをきっかけにパート勤務へと雇用形態を変えることもあります。
いずれの場合でも、研究開発職では理系の人材が求められ、とくに大学や大学院で、各企業の事業に関連する勉強や研究を行っていた人を対象とすることがほとんどです。
研究開発の勤務時間・休日・生活
他職種より朝がやや早めになることも
研究開発職の勤務時間は企業によって異なりますが、8:00~17:00もしくは9:00~18:00前後が一般的とされています。
他のオフィスワークをする部門や職種に比べると、研究開発職が所属する研究所では、30分から1時間ほど早い始業時間に設置されていることも多いです。
企業によっては柔軟なワークスタイルを実現するために、フレックスタイム制が導入されています。
休日は基本的に完全週休二日制で、きちんと休めますが、研究が大詰めの時期には休日出勤をしなくてはならないこともあります。
残業は通常時はそこまで多くなく、月間10~20時間以内の企業もあります。
繁忙期は一時的に残業が増えることはありますが、毎日実験とレポート、論文などに追われていた学生時代に比べると、楽だと感じる人もいるようです。
研究開発の求人・就職状況・需要
安定した需要があるが採用人数はさほど多くない
研究開発職は、多くのメーカーにとって重要な職種です。
そのため常に安定した需要はありますが、たいていは理系人材に絞った選考が行われますし、募集人数はそこまで多いわけではありません。
また、学生時代の専攻内容が進路に大きく影響することが特徴です。
同じ研究開発職であっても、所属する企業によって専門分野が大きく異なるため、自分の知識や技術力、興味関心を生かせるかどうかのマッチングが重視されます。
とくに大手企業の研究開発を志望する場合は、非常に優秀な大学院卒の人材が多く志望するため、狭き門になります。
高校生の時点で将来働きたい業界や就職先がある程度決まっているのであれば、それを見越した進学先選びをしたほうがよいでしょう。
研究開発の転職状況・未経験採用
高度な専門知識を備えている人は高く評価される
研究開発は、他職種に比べると転職者向けの求人がそこまで多いわけではありません。
それまでも研究者として活躍していた人が、同業界の別企業へ転職するケースなどはたまにあります。
しかし研究開発は比較的待遇がよく、また特定の分野における専門性が重視されることから、同じ会社で長く働き続ける人が多いです。
とはいえ、研究開発の知見や経験がある人は、他社の研究開発職としてもスキルを発揮できる可能性は十分にあるでしょう。
一方、未経験者や、研究開発とはまったく異なる職種(営業、企画など)から研究開発職へ転職するのは、ほぼ不可能と考えておいたほうがよいでしょう。