建築設備士になるには

建築設備士の資格を取得する

建築設備士になるには、国土交通大臣登録試験実施機関の「建築技術教育普及センター」が行う建築設備士試験に合格する必要があります。

建築設備士試験には受験資格があり、実務経験が必要になります。

受験資格を満たす方法はいくつかあり、大きく下記のように分かれます。

学歴+実務経験

最終卒業学校または資格と、必要な実務経験年数の組み合わせは下記の通りです。

なお、課程については正規の建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の過程と定められています。

・大学:卒業後2年以上
・短期大学、高等専門学校、旧専門学校:卒業後4年以上
・高等学校、旧中等学校:卒業後6年以上

このほか、専修学校、職業能力開発総合大学校または職業能力開発大学校、職業訓練短期大学校など、いくつかの学校の卒業・修了後に実務経験を満たすことでも受験資格が得られます。

資格+実務経験

・一級建築士
・一級電気工事施工管理技士
・一級管工事施工管理技士
・空気調和・衛生工学会設備士
・第1種、第2種、第3種電気主任技術者

上記いずれかの資格を持っている場合は、通算で2年以上の実務経験が必要となります。

その他

資格や学歴などを満たさない場合でも、建築設備に関する実務経験が9年以上あれば受験資格を満たします。

受験資格についての詳細は、建築技術教育普及センターのページをご確認ください。

建築技術教育普及センター

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建築設備士試験の難易度、合格率

過去の合格率

建築設備士試験の過去の合格率は、下記の通りです。

平成29年

<第一次試験>
実受験者数:2,907
合格者数:841
合格率:28.9%

<第二次試験>
実受験者数:1,112
合格者数:580
合格率:52.2%

<総合>
実受験者数:3,205
合格者数:580
合格率:18.1%

平成28年

<第一次試験>
実受験者数:2,677
合格者数:737
合格率:27.5%

<第二次試験>
実受験者数:1,071
合格者数:601
合格率:56.1%

<総合>
実受験者数:3,046
合格者数:601
合格率:19.7%

平成27年

<第一次試験>
実受験者数:2,589
合格者数:831
合格率:32.1%

<第二次試験>
実受験者数:1,061
合格者数:554
合格率:52.2%

<総合>
実受験者数:2,862
合格者数:554
合格率:19.4%

平成26年

<第一次試験>
実受験者数:2,367
合格者数:652
合格率:27.5%

<第二次試験>
実受験者数:852
合格者数:449
合格率:52.7%

<総合>
実受験者数:2,596
合格者数:449
合格率:17.3%

平成25年

<第一次試験>
実受験者数:2,284
合格者数:539
合格率:23.6%

<第二次試験>
実受験者数:823
合格者数:432
合格率:52.5%

<総合>
実受験者数:2,595
合格者数:432
合格率:16.6%

難易度はどれくらい?

建築設備士試験の合格者の属性を見ると、勤務先は建設会社、設備設計事務所、建築設計事務所、空調・衛生設備工事会社などさまざまで、年代も20代~50歳以上まで幅広く構成されていることがわかります。

受験者によって実務経験やスキルは異なるため、一概に簡単・難しいということは難しいですが、経験者が受験する資格試験でありながら毎年全体の合格率が20%前後ということを考えると、決して易しくはないといえるでしょう。

第一次試験は基礎的な問題が多く出題され、二級建築士程度の難易度といわれています。

一方、設計製図の問題が出される第二次試験については、各学会が実施する事前講習に参加するなどの準備をしていなければパスすることは難しいといわれています。

どのような学校に通うべき?

上記のように、建築設備士試験の受験資格を満たすための学校はさまざまあるため、どのような学校で学べばいいのか迷ってしまう人もいるかもしれません。

基本的には「建築」「機械」「電気」に関する課程を修められる学校で学び、実務経験を積めば試験の受験資格が得られます。

専門学校や短大を出れば大学卒の人よりも早く就職することは可能ですが、その分、求められる実務経験の年数が増えるといった点に注意が必要です。

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独学で建築設備士に合格できる?

事前準備は必要

建築設備士の試験は、学科の第一次試験と、設計製図の第二次試験の2段階で成り立っています。

第一次試験をパスすることで第二次試験を受験でき、両方に合格すれば建築設備士の資格者となることができます。

この試験は受験のために実務経験が必要になるため、受験者の大半は、受験時点で建築や建築設備業界で働いている人となっています。

しかし、毎年合格率は20%程度と決して高くなく、それなりの難易度であることがわかります。

独学は不可能ではありませんが、事前の計画的な準備が必要になると考えておいたほうがよいでしょう。

第一次試験と第二次試験の対策

建築設備士の試験は、第一次試験と第二次試験それぞれ対策を行っておくことが重要です。

第一次試験

第一次試験は学科であり、難易度はそこまで高くありません。

二級建築士程度の出題内容となっているため、二級建築士の問題集を使ってひと通り解けるようにしておけば合格できるでしょう。

対策としては、二級建築士や建築設備士の過去問題を積極的に解くのが一番だといわれています。

第二次試験

第二次試験は難しく、とくに独学での対策がしづらいという特徴があります。

この試験対策用の問題集や参考書もほとんど出ていないため、試験対策機関が実施する講習会へ参加することをおすすめします。

第二次試験は記述式となるため、建築設備の知識を持っているだけでなく、要点を文章でまとめる能力も必要になります。

サポートを受けて効率的に勉強することも検討を

建築設備士試験に合格している人の多くは、第二次試験については講習会に参加しているようです。

第一次試験については、十分に独学での合格も可能といえますが、継続的に勉強していく意思は必要です。

自主的に勉強することが難しいのであれば、民間の資格スクールの講座を受講するのもよいでしょう。

そこではポイントを絞った教材が用意されていますし、模擬試験なども受けることができ、効率的に勉強したい人にはおすすめです。

就職先を探す

建築設備士のおもな就職先は、建設会社、設備工事会社、設計事務所、ビルメンテナンス会社、不動産会社、その他建築設備関連のメーカーとなります。

この仕事は技術職となるため、学歴よりも経験や知識、技術が求められやすいとされています。

まずはこれらの会社でさまざまな現場に出ながら実務経験を積み、資格取得を目指すのが一般的なルートとなります。

女性の建築設備士の働き方

女性でも働ける仕事?

建築設備士に限らず、建築業界の技術者や建築設備士として働いているのは圧倒的に男性が多いことで知られています。

女性もいないわけではありませんが、やはり男性中心の職場が多いことは確かであり、このような仕事に就くことをためらってしまう女性もいるかもしれません。

しかし、時代とともに女性の建築業界への進出は勢いを増しており、女性の建築設備士も増加しているようです。

国家資格を持って、手に職をつけて働きたいと考える女性が増えていることもあって、今後はさらに女性の活躍が目立つようになるものと考えられます。

女性を積極的に採用する企業も

なお、建築系の仕事では、技術者の高齢化や人手不足の状態が続いており、どの企業も若い人材の確保に注力したいと考えているようです。

しかし、日本では人口減少も続いていくことが見込まれるなか、今後は女性の技術者の割合を増やしていこうという動きが強まっています。

残業時間を減らしたり、休みをきちんととれるような職場環境づくりに取り組む企業も増えています。

なお、建築設備業界で働く女性を支援する団体も発足しており、女性が働きやすい環境は徐々に整いつつあるといえるでしょう。

あまり数の多くない女性の建築設備士同士が横のつながりを持つ場もできています。

結婚・出産後も働ける?

女性にとって何よりも気になるのは、結婚や出産後に仕事を続けていけるかどうかということかもしれません。

こればかりは勤務先によって異なるといえますが、企業によっては育児中の時短勤務が認められていたリ、有給を積極的に取得できるような環境があります。

また正社員ではなく、派遣社員やパートなどの形で、限られた時間だけ働ける職場を探すという方法もあります。

なお、一度は仕事の現場から離れたとしても、建築設備士の国家資格を生かして再就職することも可能です。

管理職の女性も増えているなか、女性建築設備士が第一線でキャリアを築いていくことは十分に可能だといえます。

建築設備士の就職、求人、募集の状況

求人を出している企業は多い

建築設備士は、建設会社や設計事務所、設備工事会社、ビルメンテンナンス会社など、建設や建設設備関連のさまざまな会社で活躍することができます。

大手の建設会社や設計事務所になると、社内に設備部門や設備設計部門を置くところが多く、そうしたところで建築設備士の有資格者が積極的に採用されています。

とくに大規模な建築物や特殊な建築物など、高度な技術が求められる建築物に携わる場合には、現場においては建築設備の専門家である建築設備士の意見を反映しながら設計や工事監理などが行われています。

大手のゼネコンでも建築設備士は多数活躍しています。

スキルアップのために資格を取得

建築設備に関連する仕事をするうえで、必ずしも建築設備士の資格が求められるわけではありません。

そもそも、建築設備士は実務経験がないと取得できない国家資格であるため、大学や専門学校などの学校を出たばかりの人は、まず先に挙げたような会社へ就職し、キャリアを重ねていくなかで建築設備士の試験を受けることになるでしょう。

会社によっては資格を取ることが昇進の条件になっているようなこともありますし、それ以外に自身のスキルアップのため、あるいは携わることができる業務の幅を広げるために取得を目指す人が多いようです。

建築士の資格と併せ持つ人も

なかには建築設備士と建築士の資格を併せ持って働く人もいます。

建築設備士の資格を取得後、4年以上の実務経験を積むことによって「一級建築士」の受験資格が与えられるため、建築士を目指すファーストステップとして建築設備士になるうようなケースもあるようです。

建築設備士と一級建築士はどちらも難易度がそれなりに高く、楽に取得できる資格ではありませんが、両方の専門知識を持っていれば、広く建築設計に携わっていくことができます。

将来的には自ら建築設計事務所を立ち上げて働くようなことも可能です。