海運会社の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

海運会社社員の仕事とは

海運会社とは?

海運会社」とは、船を使い、海上での輸送サービスを提供する会社です。

国内外の食品・製鉄・自動車メーカー、原材料やエネルギーを取り扱う企業などに対し、輸送サービスを提供しています。

海運会社が運ぶものは、石油や石炭、非金属鉱物、金属、セメント、化学薬品、骨材、自動車などの機械、生鮮食料品や日用品まで多岐にわたります。

海運会社では、365日24時間、各地の港と港を結びながら貨物を必要な場所へと運び続けています。

ただ運ぶだけではなく、貨物の品質を保つこと、そして安全で効率的に運ぶことも使命としています。

海上輸送の際には「船」を使用することになりますが、自社で建造した船を使うこともあれば、船主から借りた船を使うこともあります。

運ぶ貨物の種類ごとに、コンテナ船・油送船・LNG船といった、それぞれに適した専用船があります。

旅客船業として、フェリーなどを使って「人」を運ぶこともあります。

海運会社の仕事とは

海運会社は「海」という広いフィールドでビジネスを手掛けています。

資源の豊富な国から工業が盛んな国へ、農産品の生産国から消費地へと、ありとあらゆるものが海運会社の船によって動かされています。

しかし、船は決して自由自在に操れるわけではありません。

鉄道業界や航空業界に独自の法律があるように、海運業界でも安全・安心に船を動かすための法律が存在します。

海運会社は法律にしたがい、きちんと運航管理を行いながら効率的な航海を実現します。

荷主や船主のほか、関係官庁や世界の港湾当局、港湾関係会社、水先案内人など、各所との連携や協力が必要となります。

海運会社の社員たちは、こうした調整や手続きを行いながら、日本と世界の物流を支えています。

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海運会社の種類・分類

内航海運と外航海運

海運会社の事業は、大きく「内航海運」と「外航海運」で分けることができます。

・内航海運:日本国内の港から港へ貨物を運ぶ海運会社
・外航海運:日本と外国の港を結び、グローバルに貨物を運ぶ海運会社

日本には数多くの海運会社があり、内航海運のみを強みとする会社、外航海運のみを専門としている会社も存在します。

また、大手の海運会社では、その両方を手掛けています。

その他の分け方

海運業界に属する会社を細かく分けていくと、以下のようになります。

<海運業界の会社の種類>
・船主(船主会社):船を所有し、航海を予定する海運会社に対して船を貸し出す会社
・船舶管理会社:船舶の保守・整備の手配や、船用品の手配を行う会社
・船舶運航会社:荷主との調整をしながら運航スケジュールに従って実際に運航する会社
・船員配乗会社:船員の管理を行う会社
・船舶代理店:受注した船用品を実際に発注して船に届けたり、入出港手続きや税関手続きなどを行う会社
・造船会社:新たな船を製造するメーカー

このように、海運の一部の業務のみに特化した会社というのも存在します。

なお大手の海運会社では、これらの役割をすべて自社でまかなっていることもあります。

海運会社社員の業務内容の種類・分類

陸上職(事務系)

「陸上職(事務系)」には、営業、運航管理、企画、法務、人事、財務・経理、システム開発など、さまざまな仕事があります。

なかでも「運航管理」は、海運会社にとって生命線といえる仕事です。

それぞれの顧客が抱えるニーズをとらえながら、船や顧客、国内外の代理店、船主といった関係者と連絡をとり、貨物の安全かつ効率的な輸送を実現します。

また、どうすれば自社の利益を最大化できるかという点を考えることも重要なミッションです。

海外赴任をし、現地の新規顧客開拓や既存契約のオペレーションなどにたずさわる人もいます。

陸上職(事務系)の採用は、文系・理系問わず、全学部全学科の学生が採用対象となるのが一般的です。

陸上職(技術系)

「陸上職(技術系)」は、技術部門です。

新たに船を造る際の仕様検討から建造管理、船の保守管理、新技術の開発など、テクニカルな業務を行うことになります。

船というのは巨大な乗り物であり、船体・貨物・機関・電気といった複雑な構造で成り立っており、それぞれに専門的な知識が求められます。

何年もの時間をかけて動くビッグプロジェクトも多く、多くの技術者が協力して研究や開発を進めています。

陸上職(技術系)の採用は、理系学生のみを対象とする会社が多く、とくに学生時代に電気・機械・船舶工学などを専攻した人が活躍しています。

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海運会社の役割

周囲を海に囲まれ、資源や生活物資の大半を海外からの輸入に依存する日本にとって、海運はなくてはならない産業のひとつです。

世界中で運ばれる貨物の約97%を海運がになっているともいわれています。

巨大な物流の流れを支え、日本の輸出入を足元から支えることが、海運会社の社会的な役割です。

物資を、安全かつ正確に、そしてスピーディに届けること目標に海運会社は事業を行っています。

また船というのは、トラックで輸送した場合に比べ二酸化炭素排出量が少ないため、環境にやさしい輸送方法です。

地球環境の改善に向けて、より海運を普及させると共に、さらなるエコロジーな海運技術を築きあげることも海運会社が実現させるべきミッションです。

海運会社に特有の職種

航海士

航海士」は、船に乗車し、船舶の運航を管理する海上の専門職です。

船の操縦、荷物の運搬、船員の指示管理など業務は多岐にわたります。

航海当直に加え、防火設備や救命設備の保守・整備、航海計画の立案、海図の管理、航海機器の整備や管理などにもたずさわります。

「船長」という職種は、航海士の上位職にあたります。

航海士になるには、国家資格である「海技士(航海)」の取得が必要です。

航海士の仕事

機関士

「機関士」は、船に乗車し、エンジニアとして各機関の管理を行う海上の専門職です。

エンジン、ボイラー、発電機などの運転管理や保守整備に携わり、万が一機器の損傷や事故があった際は速やかに対処します。

機関士になるには、国家資格である「海技士(機関)」の取得が必要です。

参考:関東運輸局 海技士国家試験日程

海上職採用について

これら航海士や機関士として働きたい場合、「海上職」としての選考に応募します。

海上職採用は、前述した陸上職(事務系)や陸上職(技術系)とは別のコースとして用意されています。

海上職は新卒採用であっても「三級海技士免状(航海・機関)を取得していること」などが条件として設定されている場合は、海洋系の大学で基礎となる教育を受けて置く必要があります。

ただし、自社で養成コースを用意している海運会社であれば、一般大学卒業の学生であっても応募できることもあります。

海運会社の有名な企業

有名企業

海運会社の有名企業としては、次のような会社が挙げられます。

<海運系の有名企業>
・国内大手:日本郵船、商船三井、川崎汽船、飯野海運
・内航海運大手:鶴見サンマリン、NSユナイテッド海運
・海外大手:マースクライン(デンマーク)、MSC(スイス)、CMA CGM(フランス)

国内では、「日本郵船」「商船三井」「川崎汽船」の3社が「三大海運会社」と呼ばれ、海運業界を代表する企業です。

このクラスになると企業規模も大きく、内航海運と外航海運の両方を手掛けています。

また大手の場合は、海運の他にも、陸上輸送事業(陸運)、海洋事業、不動産事業、客船の運航サービスなど、幅広い事業を展開しています。

「鶴見サンマリン」や「NSユナイテッド海運」などは、内航海運で有名な企業です。

この他にも内航海運のみを専門としている会社はまだまだありますが、内航海運と外航海運の両方を手掛けている会社に比べると規模の小さい会社が目立ちます。

また、「〇〇タンカー株式会社」、「〇〇フェリー株式会社」といったように、タンカーやフェリーなど特定の船舶を専門とする海運会社もあります。

海外海運会社

世界的にみると「マースクライン(デンマーク)」「MSC(スイス)」「CMA CGM(フランス)」が大きなシェアを持っています。

これらの海運会社は、国内においても日本支社として採用を行っています。

海外海運会社の多くは、利益第一主義や実力主義など、外資系企業ならではの価値観が根づいています。

その分、実力のある人であれば評価されやすく、若くして高収入や高い役職を目指すことも不可能ではありません。

海運会社の仕事の流れ

海運会社にはさまざまな職種があり、仕事の流れは、それぞれちがいます。

たとえば営業職であれば、物資を輸送したいクライアント企業を訪問し、契約や運航スケジュールの調整などを行います。

技術系の職種であれば、開発プロジェクトを組み、何カ月や何年もの長期に渡って、新技術の開発に携わることもあります。

航海士や機関士といった海上職では、1度の航海で何週間や何カ月もの間、船上での共同生活をおくることもあります。

そのように職種によって、仕事の進め方や、ひとつの仕事を完結させるまでに掛かる期間は変わります。