電気工事士になるには

電気工事士になるまでの道のり

電気工事は、作業するために専門的な知識と技術が必要になるうえ、漏電や感電といった事故の危険性が高いこともあり、「免許制」となっています。

電気工事士になるには、まず年2回実施される「第二種電気工事士試験」を受けて合格し、国家資格を取得しなくてはなりません。

なお、同試験は「筆記試験」と「技能試験」の2段階選抜となっていますが、このうちの筆記試験については、高校や専門学校、大学などで指定された電気工学に関する科目を履修すると、試験自体が免除されます。

筆記試験・技能試験ともにパスしたあと、都道府県知事に申請して免状の交付を受けると、第二種電気工事士として働けるようになります。

資格を取得したら、就職活動を行って電気工事会社などに就職し、現場で実務経験を積みながら一人前の電気工事士を目指します。

電気工事士になるまでのルート

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電気工事士の資格・難易度

電気工事士は、経済産業省が認定団体、都道府県が免状交付団体となっている国家資格です。

「一般財団法人電気技術者試験センター」が実施する国家試験に合格することで、資格が得られます。

電気工事士の資格には、手掛けられる業務範囲の異なる「第一種」と「第二種」の2種類があり、第二種は試験合格後すぐ免状の交付を受けられる一方、第一種は、試験合格に加えて数年間の実務経験を積むことが交付の条件となります。

試験の難易度は、第一種試験の合格率は近年25%~35%前後、第二種試験の合格率は35%~45%前後で推移しています。

筆記試験・技能試験ともに、しっかりとした対策が必要になることは間違いないものの、合格率からみてもわかるように、そこまで難関というわけではありません。

とくに、第二種試験については電気工事業界の入門編的資格という意味合いも強く、独学だけで合格することも十分に可能です。

電気工事士試験の難易度・合格率

電気工事士資格の1種と2種の違いは?

第一種電気工事士と第二種電気工事士の仕事内容の違い

電気工事士として働くには、電気工事士の国家試験に合格したうえで、都道府県知事から免状の交付を受けることが必要です。

電気工事士の資格は、「第一種」と「第二種」の2種類があります。

第一種と第二種ではさまざまな違いがありますが、最も大きな違いは、手掛けることのできる工事の規模です。

<第一種資格>
第一種資格は、最大電力500キロワットまでの、大規模な電気工作物の工事を扱うことができます。

戸建やマンション、工場、ビル、大型商業施設など幅広い現場で活躍する人がいます。

<第二種資格>
第二種資格でできる作業は、600ボルト以下で受電する一般家庭用設備の工事に限定されます。

一般住宅や店舗などの小規模な工事のみを担当します。

第一種と第二種の資格の取り方の違い

電気工事士の資格試験は、第一種・第二種ともに受験資格は設けられておらず、誰でも受けることができます。

ただし、第二種資格については、試験合格後すぐに免状の交付を受けられるのに対し、第一種資格は、学歴に応じた年数の実務を経験することが免状交付の条件となっています。

電気科・電気工事科の大学や専門学校を卒業している人については3年以上、それ以外の人については5年以上、電気工事に従事したキャリアが必要です。

つまり、第一種試験は試験に合格しても、一定期間以上の実務経験がなければ資格は使えないということです。

このため、第一種資格を目指す人は、まずは第二種資格を取って就職し、数年の実務経験を積み、あらためて働きながら第一種試験を受ける流れを取ることが一般的です。

第一種と第二種の試験の難易度の違い

第一種も第二種も、試験では筆記試験と技能試験の2つが課され、両方の試験を突破すると合格となります。

第二種試験の合格率は、筆記試験が60%前後、技能試験が70%前後で、受験者全体に対する最終合格率はおよそ40%です。

筆記だけならまだしも、実技が求められることに難しさを感じる人も多いかもしれませんが、市販の練習用キットに1回取り組めばパスできるレベルです。

筆記・技能ともに、独学でも十分合格可能とされています。

これに対し、第一種試験は、筆記試験の合格率が50%前後、技能試験の合格率が60%前後、全体の合格率が30%前後となっています。

数字だけをみれば、第二種資格よりやや低い程度の水準ですが、手掛ける業務範囲が広いぶん、実際の難易度は第一種のほうがはるかに上です。

合格するには、電気工事士としてさまざまな現場を経験しつつ、コツコツと専門的な勉強に取り組むことが必要になるでしょう。

第一種と第二種の待遇面の違い

電気工事士全体の平均年収は、およそ400万円~500万円が相場とされています。

ただし、電気工事士の勤務先は、電気工事会社や設備会社、ビルメンテナンス会社、メーカーなど幅広く、その事業規模も個人経営のところから大企業までさまざまです。

資格別にみると、上述したように、より規模の大きな工事を扱える第一種電気工事士のほうが、大きな企業に就職しやすくなるぶん、第二種電気工事士より高給となりやすいでしょう。

事業所規模別の平均年収をみても、従業員1000人以上の企業は約560万円、それ以下の企業は約450万円と、およそ100万円ほどの大差がついており、第一種と第二種の差が表れているといえます。

また、同じ企業に勤める場合でも、資格手当や業務内容に違いにより、第一種保有者と第二種保有者では明確な差が付けられており、毎月5万円、年収ベースで60万円ほど開くこともあるようです。

電気工事士になるための学校の種類

電気工事士を目指せる学校としては、工業高校、高等専門学校、電気系専門学校、大学の工学部などが挙げられます。

これらの学校では、電気工事に必要な知識と技術を身につけられるうえ、上述したように筆記試験の免除認定を受けることも可能です。

電気工事士を目指すなら、電気関係の進路を選ぶことが望ましいでしょう。

ただし、電気工事士にとって学歴そのものは必須ではないため、まったく関係のない学校から、あるいはどこの学校にも通うことなく、自分で勉強して資格を取得し、電気工事士を目指すことも可能です。

その場合は、より効率的に学習を進めるために、民間の資格予備校や通信教育などを利用する人もいます。

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電気工事士に向いている人

電気工事士は、1日の大半を現場での電気工事作業に費やします。

そのため、現場での実作業に対して、どれだけ関心をもち、意欲的に取り組めるかということが重要になります。

車・バイクなどのメンテナンスや改造、コンピュータの組立や分解など、機械をいじるのが好きという人は、電気工事士に向いているでしょう。

また、電気工事士の世界は一般的に上限関係がかなり厳しく、また覚えることが多いために、下積み時代が長いという特徴があります。

このため、先輩や上司から厳しく叱られてもへこたれず、コツコツと地道に努力を続けられる、真面目で忍耐力のある人も電気工事士としての適性があるでしょう。

電気工事士に向いている人・適性・必要なスキル

電気工事士のキャリアプラン・キャリアパス

第二種免許を取得し、電気工事会社などに就職した電気工事士は、先輩や上司の指導の下、見習いとして働き始めます。

当面は資材運びや下準備などの雑用が仕事の中心となりますが、徐々に簡単な電気工事から任されるようになります。

数年程度の経験を積み、一通りの仕事を単独でできるようになった後は、引き続き同じ会社に勤め続ける人もいれば、より高待遇を目指して転職する人、あるいは独立して自分の事務所を開業する人もいます。

また、第一種電気工事士を筆頭に、「電気工事施工管理技士」や「電気主任技術者」など、上位の資格取得に励んで、仕事の幅を拡げるのに役立てる人も大勢います。

努力次第で、さまざまなキャリアの方向性が考えられるのが、電気工事士の大きな魅力のひとつです。

電気工事士を目指せる年齢は?

電気工事士試験には年齢制限がなく、何歳になっても試験を受けることが可能です。

第二種試験の調査結果をみると、受験者のなかで最も多いのは30代ですが、下は10代から上は60代まで、さまざまな年齢層の人が試験にチャレンジしています。

また、求人状況をみると、昨今は電気工事の需要が増大している一方、少子化の影響もあって働き手が不足しており、各社とも年齢制限は緩めです。

一般的な職業であれば、おおむね30歳前後が未経験でも就職できる目安となりますが、電気工事会社では「40代・未経験OK」という職場も散見されます。

ただし、年齢を重ねれば重ねるほど体力面が大きなネックとなってくるため、遅くとも30代前半のうちには、電気工事士のキャリアをスタートさせることが望ましいでしょう。

電気工事士は高卒から目指せる?

第二種電気工事士試験を受ける人の職業別割合は、学生が20%前後、社会人が80%前後となっています。

また、社会人受験者についてみると、最も多い最終学歴は「高卒」です。

つまり、電気工事士は高卒から目指す人の割合が大きい職業であり、大学などで専門的に学ばなくても、電気工事士になることは十分に可能といえます。

ただし、電気工事士試験では知識問題だけでなく、電気に関する計算問題も多数出題されます。

このため、高校時代に文系選択だった人、あるいは理系でも卒業から時間が経ちすぎていて自信がないという人については、通信講座などを受講して試験対策することをおすすめします。

電気工事士は女性でもなれる?

電気工事士の男女比について正確な統計はありませんが、一般的なイメージ通り、電気工事士はそのほとんどを男性が占めており、男性だけの会社や男性だけの現場も数多くあります。

工事関係の仕事は、体力的にどうしても男性のほうが有利になりがちです。

また、そもそも「電気」や「機械」という理系分野に興味のある女性は少なく、電気工事士を目指す女性はまれな存在といえるかもしれません。

かといって、女性は電気工事士になれないかというわけではなく、熱意さえあれば、女性でも採用するという職場は数多くあります。

女性は体力面で劣るかもしれませんが、そのぶん丁寧な仕事を心掛けたりするなど、自身の技術でカバーすることで、男性と同じように活躍することも可能です。

また、女性の単身世帯や高齢者世帯などの一般家庭のお客さま先で作業する際は、家のなかに男性が上がり込むことに抵抗を覚える依頼者も少なくありません。

女性であるということ自体が、お客さまに安心感を与えるのに役立つこともあるでしょう。

女性の電気工事士のキャリアパス・結婚後の生活

電気工事士の求人状況・就職先選びのポイント

電気工事士の就職先にはどんなところがある?

電気工事士の就職先として最もメジャーなのは、電気工事会社や設備施工会社です。

ただし、同じ電気工事会社でも手掛ける工事内容はさまざまで、個人経営の小さな工事業者から巨大資本をもつ電力会社のグループ企業まで、規模の大小も幅広い点が特徴です。

次に多いのはビル管理会社です。

ビル管理会社で働く電気工事士は、委託を受けたビルや商業施設、公共施設、病院などの設備監視や定期点検、故障や修理対応などを行います。

さらに、金属メーカーや化学メーカーといった大きな工場をもつ企業では、自社で電気工事士を抱えるケースもあり、社員として専属的に設備管理を行う電気工事士もいます。

それと同じように、テーマパークの運営企業に就職して、アトラクションのメンテナンスを行う人もおり、電気工事士の就職先はバラエティに富んでいるといえます。

電気工事士の求人の状況

現代社会において、電気は私たちの社会のいたるところで利用されており、電気工事を手掛けられる電気工事士の需要は、きわめて安定的です。

とくに最近は、太陽光発電設備や電気自動車、オール電化住宅、ガスで発電するエコキュートなど、これまでになかった電気設備も新たに生まれ続けています。

このため、電気工事士の求人数は現在進行形で増加している状況です。

また、職人の多くが高齢化を迎えている影響もあって、各企業は労働力確保のため、採用には積極的です。

資格があれば歓迎されますが、無資格・業界未経験であっても、やる気さえあれば採用されるチャンスは多いです。

ただし、電気工事会社は、上述したように上場クラスの大手から中小零細企業まで幅広いため、待遇や労働環境には大きな開きが生じています。

なかには、ブラック企業に近い過酷な労働を強いる業者も、残念ながらまだ一部存在しているようです。

単純に給料だけを比較するなど目先の情報に踊らされることなく、しっかりと各就職先を吟味することが大切です。

電気工事士の就職先の選び方

やりたい工事内容で選ぶ

電気工事のなかには、一般家庭における配線工事もあれば、店舗の設備工事、大規模建築物の新築工事、鉄道関連設備の工事もあります。

それぞれに専門的なスキルが求められるうえ、対象顧客もかなり異なるため、企業ごとに請け負う工事の種類や得意分野はある程度定まっています。

まずはどんな工事を手掛けたいかを考えて、就職先を絞り込んでいくとよいでしょう。

とくに、独立開業を視野に入れている場合は、将来のキャリアに役立つ経験を積める職場、コネクションを構築できる職場を選ぶべきです。

稼ぎやすさで選ぶ

電気工事会社によっては、給料の一部またはすべてに歩合制を取り入れているケースもあります。

稼ぎやすさを重視するなら、そうした企業で働くことも選択肢のひとつです。

歩合制の職場は、固定給の職場と比べると生活は不安定になりがちで、景気などの外部環境による影響も受けやすくなりますが、リスクを背負うぶん、高収入を得られるチャンスも高まります。

季節によって工事需要が大きく変動する空調設備関係の工事会社では、ハイシーズンには1ヵ月で100万円以上を稼ぐ電気工事士もいるようです。

ただし、そのような企業では個人の実力が試されるため、まだ実務経験のない新卒の時点では、避けたほうが無難かもしれません。

肉体的負担の軽さで選ぶ

電気工事は、屋外での仕事や重い資材を運ぶ仕事、長時間作業が必要になる仕事も多く、肉体労働的な側面も強いです。

給料面では多くを望めなくとも、体力的にあまりムリをしたくない、安定して働きたいという人については、ビル管理会社がおすすめです。

ビル管理会社では、体力を必要としない監視業務や、点検などのルーティンワークがおもな仕事になるため、あまり体力に自信がない人や、年齢を重ねた人でも働きやすい点が大きな魅力です。

「電気主任技術者」などの資格取得に励めば、監督や設備責任者に昇進して、給与アップを目指すことも可能です。

電気工事士の志望動機・面接

電気工事士は、覚えなければならない知識や技術が非常に多く、一通りのことをこなせるようになるには数年単位の修業期間が必要です。

見習い期間は、雑用仕事やサポートがメインであり、上司や先輩に厳しく怒られることもある一方、給料は多くを期待できないため、修業途中で嫌になって辞めてしまう人も少なくありません。

このため、電気工事士の志望動機については、簡単に仕事を辞めたりしないという、固い決意が感じられる内容にするとよいでしょう。

面接においても、仕事への熱意を示すとともに、明るくハキハキとした受け答え、礼儀正しい立ち居振る舞いを心掛けて、面接官に「この人となら一緒に働けそうだ」と思ってもらえるように努めましょう。

電気工事に関する知識や技術があるに越したことはありませんが、それよりも、社会人にふさわしい言動や態度を取れることのほうが、はるかに重要です。

電気工事士志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

電気工事士の求人情報は、一般の求人情報誌や求人サイト、工事関係業種専門の求人サイト、ハローワークなどで簡単に見つけることができます。

ただし、上述したように、電気工事士の就職先は玉石混交(よい企業も悪い企業もある)であるため、表面的な求人情報だけに頼るのはやや危険かもしれません。

学校の学生課や就職支援課に相談するか、あるいは先生やOB・OGに希望を伝えて、人づてで就職先を紹介してもらうほうが、安全なところに就職できる可能性は高いでしょう。

そういう手段が取れない場合は、採用情報に記載されている本社住所を訪ねてみるだけでも、おおよその職場の雰囲気はつかめるでしょう。