マスコミ業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
マスコミ業界とは
マスコミ業界とはテレビや雑誌、新聞、広告などのメディアを介して情報発信を行う企業全体のことをいいます。
そのため、マスコミ業界と一口に言ってもテレビ局などの放送業界、新聞業界、出版業界、広告業界など、さらに細かな業界に分類することができ、プロデューサーや記者、編集者などそこで働く人の職種も多岐に渡ります。
そして、テレビや広告など、マスコミ業界の仕事は世代や性別を超えて多くの人の目に触れ、多くの人に影響を与えることが可能です。
常に時代の最前線を行き、非常にやりがいもあり人気の高い業界ではありますが、一方で扱う情報の中には分単位、秒単位で変化し続けるものもあり、業界全体として勤務時間が不規則であるなど、ハード―ワークな仕事が多いことでも知られています。
近年はスマートフォンやタブレットといったモバイル端末の急速な普及によって、テレビの視聴率低下や新聞の発行部数の減少、雑誌の廃刊などが囁かれるようになっており、既存のビジネスモデルやインターネットとどう向き合っていくのかが課題となっています。
マスコミ業界の役割
例えばテレビやラジオは最新のニュースやエンタ―テインメントを多くの人に届けることができますし、新聞は独自の取材や解説によってニュースや時事問題を詳しく知ることができます。
また、雑誌や書籍からは専門性の高い情報をじっくりと得ることができ、広告からは商品の情報が得られたり、時に消費を促し経済に刺激を与えることもあります。
そして、ニュースを見て政治経済の動向を知る、天気予報を見て明日の行動を考える、広告を見て商品を買う…といったように、情報は私たちの生活に密接に関わり、私たちの行動や思想にも大きな影響を与えるものです。
媒体によってその特性は異なるものの、より多くの人々、あるいは特定の情報を求める人に対して、より正確な情報を速やかに届けることがマスコミ業界の社会的な役割であると言えるでしょう。
誤情報も含め、インターネットによりさまざまな情報を簡単に得られる現代だからこそ、インターネットよりも古い歴史を持つマスコミ業界には正確な情報発信をする責任が求められるのです。
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マスコミ業界の企業の種類とビジネスモデル
テレビ局
テレビ番組の放送や制作を行っており、大きく以下の4つに分類されます。
・公共放送(NHK)
・キー局…番組の全国放送を行う局(日本テレビ、フジテレビなど)
・ローカル局…一定の地域のみで放送を行う局(岩手めんこいテレビ、福岡放送など)
・BS・CS局…衛星放送などを提供する局(WOWOW、スカパー!など)
プロデュ―サーやディレクター、カメラマン、照明、音響、アナウンサーなど、その職種は多岐に渡ります。
なお、主な収入源はスポンサーからの出資やCMなどの広告によるものです。
新聞社
国内・国外の情報を新聞として発行しており、主な新聞の種類としては以下が挙げられます。
・全国紙…全国に発行・流通される(日本経済新聞、読売新聞など)
・地方紙…特定の地方で発行・流通される(北海道新聞、西日本新聞など)
・スポーツ紙…スポーツに関する記事を中心に扱う(スポーツ報知、デイリースポーツなど)
・業界紙…特定の業界に関する記事を中心に扱う(日本工業新聞、日本農業新聞など)
メインの職種は記者ですが、その他にも企画や制作、編集、広告営業、販売営業といった仕事があります。
購読料と新聞紙面の広告料が収入源の大部分を占めます。
出版社
紙媒体を中心に雑誌や書籍の出版を行っており、大手、中小さまざまな出版社が存在します。
国内においては、講談社、集英社、小学館が3大出版社として広く知られており、これら大手の出版社は扱うジャンルも多岐に渡ります。
一方、中小出版社については教育やカルチャーなど特定の分野を専門にしていることが多いのが特徴です。
出版社における主な職種は、企画や制作、編集、校正、営業ですが、外部の作家やライターやデザイナー、カメラマンなどとも一緒に仕事を行います。
広告代理店
主に広告主の要望に沿って広告の企画・制作を行ったり、テレビや新聞などの広告枠をメディアの代わりに販売する企業で、広告そのものを販売して得られる収益と広告枠の販売手数料として得られる収益が主な収入源です。
国内では電通と博報堂の2社が総合広告代理店として古くから知られていますが、近年ではサイバーエージェントやトランス・コスモスといったネット広告を専門とした広告代理店も急成長を遂げています。
なお、広告代理店の主な職種としては営業職のほかに、クリエイティブディレクターやアートディレクター、グラフィックデザイナー、CMプランナー、コピーライター、カメラマンなどがあります。
マスコミ業界の職種
マスコミ業界では放送、新聞、出版、広告というそれぞれの分野において、その分野特有の職種が存在します。
以下では、その代表的な職種をご紹介します。
テレビプロデューサー
テレビ番組の制作における総責任者のことで、企画の提案や予算管理、出演者のキャスティングなど全ての決定権を持ちます。
アシスタントディレクター(AD)やテレビディレクター、あるいはアシスタントプロデューサーを10年以上経験したのちにテレビプロデューサーとなるケースがほとんどです。
スポンサーや芸能事務所と交渉を行うこともあるため、豊富な人脈や高いコミュニケーション能力も求められます。
新聞記者
取材を行い、その内容をまとめて新聞記事にする仕事で、主に次の4種類があります。
・取材記者…事件や事故についての取材を行い、記事を執筆する
・整理記者…記事に見出しを付けたりレイアウトを行う
・校閲記者…誤字や脱字、記事内の数字や固有名詞に誤りがないかを確認する
・写真記者…写真撮影を行う
いずれも幅広い知識や教養、文章力とともに、昼夜問わず活動できるフットワークの軽さと体力が求められます。
編集者
雑誌や書籍などの企画や編集を行う仕事です。
大手出版社に勤務する場合は企画の考案や予算どり、取材先とのスケジュール調整といったディレクション的な業務がメインとなることも多いですが、中小出版社や編集プロダクションに勤務する場合は、取材や記事の執筆、デザインの編集などあらゆる業務を担当することも珍しくありません。
一度に複数の書籍を担当したり、常に締切を意識して動く必要もあるため、文章力や企画力のほかに、マルチタスク能力やスケジュール管理能力も欠かせない仕事です。
CMプランナー
クライアントの意向を汲みながら、CM(テレビコマーシャル)の企画を立案するともに、CM制作全体のプランニングを行う仕事です。
予算どりをはじめ、絵コンテの作成、アートディレクターやコピーライター、カメラマンなどのスタッフの選定、進行管理など、CMが完成するまでの全ての工程に関わります。
ほとんどの場合、最初からCMプランナーとして採用されるのではなく、広告代理店や広告制作会社に入社したのち、他職種でのキャリアを経てからCMプランナーに就くことが多いようです。
マスコミ業界のやりがい・魅力
多くの人の心を動かすことができる仕事
放送・新聞・出版・広告の全ての仕事に共通していることは「伝えること」です。
自分が発信した情報を多くの人に届けることができ、時として感動や喜びを与えることができるのはマスコミの仕事をする上での大きなやりがいといえます。
また、社会のリアルな現場を自分の肌で感じることができたり、時代の最前線に立ち会えること、さまざまな場所・多くの人に出会えることなどもマスコミ業界の魅力です。
テレビ局を中心に高給の傾向
世間では「高給取り」のイメージが強いマスコミ業界ですが、その中でもテレビ局は特に高収入であり、民法キー局の場合は30代で年収1,000万円を超えることも珍しくないと言われています。
その理由としては、新規参入が難しく価格競争が起こりにくい、労働時間が長く残業代が高額、下請けは多いが社員数は少ないことなどが考えられます。
なお、大手新聞社や大手出版社についても平均年収は900万円前後といわれています。
市場拡大が続く広告業界
デジタル化のあおりを受け、新聞業界・出版業界の市場規模が縮小傾向にある一方で、広告業界は緩やかながらも市場の拡大を続けており、その背景にあるのはインターネット広告の進化です。
かつて大衆に向けられていた広告は、今では個へ向けられることがスタンダードになりつつあります。
放送・新聞・出版が今後どのように追随していくのか、新たな市場やサービスの登場が期待されます。
マスコミ業界の雰囲気
勤務先によっても多少の差はあるものの、基本的に放送、新聞、出版、広告の各分野ともに締切がある仕事のため、締切の時間が近い場合には残業などで長時間勤務になることも少なくありません。
勤務時間がその日によって変化することはもちろん、取材やロケがある職種の場合には、一年じゅう国内外を飛び回ることもあります。
マスコミ業界の仕事では、このようなハードワークを乗り越えることができる体力・気力面でのタフさが求められるため、体育会系の雰囲気の職場が多いでしょう。
また、テレビ番組、新聞、雑誌・書籍、広告の全ての仕事に共通して、複数のメンバーでひとつのものを作り上げるという特性があるため、チームワークも欠かせません。
さらに、マスコミ業界の仕事はクリエイティブな側面も非常に強いため、服装や髪型などの外見的な部分も含め個性的な人が多いのも大きな特徴です。
マスコミ業界に就職するには
就職の状況
テレビ局、新聞社、出版社、広告代理店ともに、多くの場合大手企業は例年新卒採用の募集を行っていますが、各分野ともに少ない採用人数に対して応募者が多いため、倍率は非常に高くなる傾向にあります。
テレビ局の場合、就職倍率は職種によって差がありますが、キー局で200~3000倍、地方局でも200~2000倍といわれています。
さらに、新聞社も新聞記者が所属する部門は50~100倍、大手出版社では100~400倍以上、大手広告代理店では200倍以上と、いずれも非常に狭き門となっています。
とにかくマスコミ業界で働きたいというのであれば、大手だけにこだわるのではなく、中小企業も視野に入れながら就職活動を行いましょう。
就職に有利な学歴・大学学部
基本的にはテレビ局、新聞社、出版社、広告代理店ともに応募条件は大学卒または大学院卒であることが一般的です。
しかし、例えば番組制作会社や中小企業の広告代理店であれば、高卒や専門学校卒など学歴に関係なく採用を行っているケースもあります。
なお、就職に有利な学部については、次のように不問であることが多いですが、職種に応じた分野での勉強をしておくとやや有利でしょう。
・放送業界…基本的に不問。技術職の場合は理系出身者がやや多い程度
・新聞業界…やや文系が多い傾向も、基本的に不問。社会学部や経済学部、人間科学部出身者も多い
・出版業界…基本的に不問。多くの出版社が東京を拠点としてるため、東京の大学が有利ともいわれている
・広告業界…デザイン系の職種であれば芸術学部
就職の志望動機で多いものは
マスコミ業界にはさまざまな職種があるものの、その業務内容はやはり一般的なデスクワークと比較すると一風変わったものも多く、業界の雰囲気も独特なものがあります。
そのため、マスコミ業界を志望する人の志望動機としては、「感動や喜びを与えることができる仕事だから」「クリエイティブでやりがいがありそうだから」「まだ社会に知られていないことを自分の手で多くの人に伝えることができるから」「芸能人や著名人と一緒に仕事ができるから」などといった回答が多く見られます。
しかし、マスコミ業界への就職は非常に狭き門となっているため、応募の際には「なぜその企業なのか」「なぜその職種なのか」「どうのように活躍したいか」といった説得力のある理由も必要です。
マスコミ業界ではそれぞれの企業に独自のカラーがあるケースが多いため、その企業のカラーに合った志望動機を考えましょう。
マスコミ業界の転職状況
転職の状況
マスコミ業界への転職を目指す場合、大手企業については非常に難しいというのが実情です。
しかし、例えばいわゆる「下請け」と呼ばれる番組制作会社や、業界紙を発行する新聞社、中小規模の出版社や広告代理店などであれば経験者だけではなく未経験者可の募集を行っていることも少なくありません。
募集されている企業や職種は常に変化しているため、マスコミ業界への転職を希望する場合には求人サイトなどの情報をこまめにチェックしておくほか、マスコミ業界を専門に扱う転職サービスを利用してみるのひとつの手です。
転職の志望動機で多いものは
テレビ、新聞、雑誌や書籍、広告と、マスコミ業界で扱う商品や情報、媒体は私たちの生活に馴染み深いものが多く、子供の頃からマスコミという業界に憧れを持ち続けている人も多いものです。
そのため、経験者・未経験者ともに「やっぱりテレビが好き」「やっぱり本が好きだからあきらめられなかった」といった志望理由も多く見られます。
反対に、安定した環境で働きたいといった理由でマスコミ業界を志望する人は極めて少ない傾向にあります。
転職で募集が多い職種
マスコミ業界に転職を希望する場合、その募集職種は次のように非常に多岐にわたります。
・放送業界…音声やカメラなどの技術スタッフ、編集、ディレクター、報道記者、保守、法人営業、人事労務など
・新聞業界…社内SE、取材記者、編集記者、法人・個人営業、人事など
・出版業界…編集者、書店営業、ライター、校正者など
・広告業界…広告営業、企画営業、グラフィックデザイナーなど
一見専門的な職種であっても、未経験者も応募可能な求人もあるため、募集内容を細かくチェックすることをおすすめします。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
番組制作会社の制作スタッフや、広告代理店の営業職の場合は、人物ややる気を重視した募集も多く見られますが、社外での仕事も多いため普通自動車運転免許を取得していることを条件としている企業は多いようです。
また、「40歳以下」など、若年層の長期キャリア形成を図ることを目的として若年層の応募者を歓迎する企業も少なくありません。
なお、新聞者の記者や出版社の編集者に関しては、経験者が優遇される傾向にあります。
マスコミ業界の有名・人気企業紹介
TBSホールディングス
1951年設立。連結売上高3,485億3900万円(2016年3月期)、従業員数93人(2019年3月時点)。
正式名称は「株式会社東京放送ホールディングス」で、TBSテレビ、TBSラジオ、BS-TBSを傘下に収める。
系列のテレビ局が全国25カ所以上あり、そのネットワークの強さを活かした報道には定評がある。
毎日新聞社
1918年設立。売上高1,101億8,100万円、従業員数約3,000人(2016年度)。
前身である東京日日新聞は日刊誌として最も歴史の古い1872年の創刊で、1875年には世界初となる戸別配達を開始する。
中立的な新聞ともいわれており、新聞協会賞を受賞するなど取材力の高さにも定評がある。
小学館
1922年創業。売上高945億6,200万円(2018年2月期)、従業員数708名(2019年3月時点)。
日本の大手出版社の一つで、教育書や漫画、文芸書、辞書など幅広いジャンルの雑誌や書籍を出版している。
同社の顔としても知られる学年別学習雑誌は少子化の影響などを受け、現在は「小学一年生」のみが刊行されている。
電通
1901年創業。連結売上高5兆3,572億7,800万円(2018年12月期)、連結従業員数62,608人(2018年12月時点)。
日本最大手、世界では第5位の規模を誇る広告代理店。
体育会系の社風で、テレビ広告をはじめとするマスメディアやグローバル展開に強みを持つ。
マスコミ業界業界の現状と課題・今後の展望
競争環境
「Netflix」や「Fulu」などの動画配信サービスや「AbemaTV」といったインターネットテレビ局が躍進しているものの、インターネット、そしてスマートフォン・タブレット端末の普及により、テレビ業界、新聞業界、出版業界ともに売上は右肩下がりの状況が続いています。
一方、広告業界についてはスマートフォンやタブレット端末と連動した広告を打ち出すことで市場規模を拡大しており、「電通」や「博報堂」を代表する広告代理店だけではなく、ネット広告を専門に扱う企業の成長も目覚ましい状況です。
最新の動向
放送業界では、Twitterと連動して視聴者の生の声をリアルタイムで放送したり、インターネットや地上デジタルテレビ放送の機能を利用した視聴者参加型の番組制作・放送が積極的に行われています。
また、新聞業界や出版業界では、スマートフォンなどのモバイル端末で新聞や雑誌、書籍を読むことのできる電子版サービスの提供が活発で、雑誌については定額・読み放題サービスへの参入も多く見られます。
広告業界では一人ひとりの趣味や嗜好に合わせてインターネット広告を表示させる「アドテクノロジー」が急速に発展しています。
業界としての将来性
広告業界はインターネット広告などデジタル化の波を見事に味方につけ、市場規模を順調に拡大させており、今後もその需要はますます高まることが予想されます。
このことからも、やはり、放送業界、新聞業界、出版業界については、デジタル化にどのように対応し、どう展開させていくかが今後の発展あるいは衰退への道を決める大きなカギとなるでしょう。
現状として、すでに新聞や書籍の電子化やオンデマンドサービスなどは存在するものの、いずれも新たな市場と呼べるまでには発展していないのが現状であり、マスコミ業界これまで培ってきたコンテンツや情報、ノウハウを活かした新たな市場の誕生が待たれるところです。
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