ペット業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





ペット業界とは

ペット業界は、企業ごとに主に3つの市場に分かれています。

  1. 生体・サービス(生体販売、ペット保険、医療、サロンなどのサービス)
  2. ペットフード類
  3. ペット用品(ペットシート、シャンプー、猫砂、関連グッズなど)

市場に占める内訳は、1.生体・サービスが50%、2.ペットフード類が30%、3.ペット用品が20%で、それぞれの市場で国内企業と外資系企業が混在しているのが特徴です。

たとえばペット関連では「ジャペル」「エコートレーディング」、ペットフードの国内企業は「ユニ・チャーム」「はごろもフーズ」、外資系は「マースジャパン」「日本ヒルズ・コルゲート」などが上位を占めています。

またペット用品の上位企業は「アイリスオーヤマ」「ライオン商事」「花王」などです。

ペット業界は毎年1%のスピードで緩やかに成長していて、2018年10月現在、全国の犬・猫の飼育は1850万頭以上と推計されています。

一般社団法人ペットフード協会「平成30年 全国犬猫飼育実態調査」

この数は、なんと日本の15歳未満の子供よりも多く、65歳以上の高齢者よりも少ない規模感です。

飼育頭数自体は減りつつありますが、ペットの長寿化などの影響で、一頭に使われるお金は増加傾向にあります。

近年は既存のサービスに加えて、「ペットシッター」や「老犬ホーム」など新しい事業が増えてきたことから、活躍できるチャンスが広がっている業界といえるでしょう。

ペット業界の役割

ペット業界の代表的な企業は、ペットの生体販売、ペット保険などのサービス、ペットフードの製造など各分野での専門事業を手がけています。

どの企業にも共通しているのが、ペットとの共生を推進することです。

ペットと暮らすことは、リラックスできる癒し効果ががあり、高齢者の医療費削減効果もあるといわれています。

また動物介在教育も注目されていて、子供が犬に読み聞かせをすると子供の読む力が高まるという教育的側面や、命の大切さや思いやりの気持ちを育む側面もあることが、ペットと人が共生する意義といえるでしょう。

近年はペットと暮らすための家、遠出するための自動車産業、滞在を楽しめるホテル、高齢者とペットが一緒に暮らせる高齢者向け老人ホームなど、ニーズに合わせたサービスが広がっています。

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ペット業界の企業の種類とビジネスモデル

ペットフード関連の企業

ペットフードのメーカーには、たくさんの企業がありますが、国内企業・外資系企業が混在している状況です。

シェア1位を誇るのは、日本だけでなく世界最大手のペットフードメーカーの「マースグループ」で、P&Gからも事業を買収し、拡大しています。

そのほか外資系企業で代表的なのは、「日本ヒルズ・コルゲート」「ネスレビュリナペットケア」「ロイヤルカナンジャパポン」などです。

国内企業は、シェア第2位を誇る「ユニ・チャーム」のほか、「日清ペットフード」「はごろもフーズ」「中部飼料」「アイシア」などがあります。

犬・猫の飼育頭数は減少に伴い、ペットフードの出荷量も減少てしていますが、健康志向の高まりやペットの家族化などの影響を受けて、高単価のペットフードが消費者から求められています。

そのためペットフードの市場規模は、上昇傾向にあります。

ペット用品関連の企業

ペット用品は、時代のニーズに合わせた「ペットの室内飼育化」と「猫人気」に向けた商品開発が行われています。

最大手は、大手トイレタリーメーカーの「ユニ・チャーム」です。

トイレシートや猫用消臭ビーズなどのペット用品のニーズが高まりに合わせて、トイレタリーメーカーの「ライオン商事」「ジョンソントレーディング」も参入しています。

また専業メーカーの代表企業は「マルカン」「ドギーマンハヤシ」「常陸化工」、そのほか専業技術を生かして参入している企業は「アイリスオーヤマ」「シーズイシハラ」などです。

近年の室内飼育に伴い、ニオイ取り、毛の付着しづらい商品、デンタルケア、洗濯グッズなどが高い人気を集めていて、今後も拡大が予想されています。

ペット卸売業の企業

ペット卸売業は、ペットフードやペット用品などあのメーカーと小売業者の橋渡しをして、売買をスムーズにする業者のことです。

現在は、大手5社の「ジャペル」「エコートレーディング」「三井食品」「ラブリー・ペット商事」「リョーショクペットケア」が独占しています。

ペットショップだけでなく、ホームセンターやスーパーマーケットなどチャネルが多様化しているのが特徴です。

ペット業界の職種

ひとくちにペット業界と言っても、幅広い職種が存在します。

ここでは、ペット業界特有な職種のうち、代表的なものをピックアップしました。

ペットショップ店員

ペットショップで犬や猫、鳥類、トカゲなどの生体管理、フードやペット用品の販売、接客、店舗運営などを行う仕事です。

生体管理ではペットの食事、排泄物の処理などのお世話から、健康管理を行います。

接客時にはそのペットを飼うときのアドバイスや、予防接種やペット保険についても説明するので、接客マナーはもちろん、動物に対する愛情と幅広い知識が必要でしょう。

販売に関する仕事では、ペットのえさ、おやつ、関連グッズまで幅広い商品を扱い、仕入れ、棚卸し、売上計算まで担当することもあります。

トリマー

犬や猫専門の美容師で、毛や肌、爪のお手入れを行うことでかわいく、健康に過ごすお手伝いをする仕事です。

飼い主に対してしつけやお手入れのアドバイスをすることも多いので、獣医学、ペットの行動学、栄養学など幅広い知識があるとよいでしょう。

専門学校で必要な勉強をして民間資格を持っていくと有利ですが、専門の免許や資格は必要ありません。

そのため店舗で働きながら、資格取得を目指すことも可能です。

ペットショップによっては、ホテルを併設している場合もあり、健康管理やお世話も行います。

ブリーダー

血統や資質を考慮しながら、特定の犬・猫を繁殖・販売する専門家です。

特別な資格は必要ありませんが、しつけなどの基本的な知識から、遺伝性疾患が出ないための専門知識が求められます。

近年ではペットショップを介さずに、ホームページを使って消費者へ直接販売するブリーダーも増えています。

ペット関連企業

ペット業界への就職先として、人気の高いのがペット関連企業への就職です。

一般的な企業と同じような働きか方に近く、営業、事務、研究・開発、マーケティング広報など幅広い職種に携わることができるでしょう。

ペット業界のやりがい・魅力

ペット業界のやりがい

ペット業界で働きたい人は「動物が好き」という人が集まっているので、ペットたちに囲まれて仕事ができたり、ペットのための商品に携われることに、満足感を感じている人が多いようです。

働きながら動物の体調の変化に気づけるようになったり、仕事を続けるうちに知識を身につけられることは、成長を感じられやりがいにつながります。

ただしペットショップの場合は、なかなか人が定着せず、特にハードな大型店舗は入れ替わりが激しいともいわれています。

その理由は生体管理や掃除ができなくなるので急に休むことができなかったりと、待遇面で恵まれないことが多いからのようです。

年齢構成は若手メインとなり、店長や責任者クラスは年内の方が多い傾向があります。

一方ペット関連企業は、一般的な企業のように福利厚生や待遇が整えられていることが多いです。

営業、研究開発、メーケティング、広報など幅広い仕事に携わるチャンスがあるので、多くの人と関わりながら仕事をしたい人は、大きなやりがいを感じらるでしょう。

安定した需要が期待できる仕事

ペット業界では今後も市場の拡大が予想されているので、安定した仕事が期待できるでしょう。

現在ペットの飼育頭数は減っている傾向にありますが、ペットの長寿化に合わせた健康志向に伴い、1頭あたりの消費額は上昇しています。

ペットフードはより素材や味、栄養にこだわった高級化が進められ、ペットの室内飼育率の上昇に伴って、トイレシートやニオイケアグッズなどの販売額が拡大しているのです。

専門知識を活かし、ペット業界に参入する異業種の企業も増えているので、ペット業界に関わるチャンスは増えそうです。

ペット業界の雰囲気

ペット業界で働く人は、働く企業や店舗にもよりますが、女性の比率が大きいです。

動物好きな人が集まっているので、明るく優しい雰囲気の中で仕事ができるでしょう。

職場でも犬や猫など動物話題が豊富に飛び交い、疲れていても自然と笑顔になってしまうのは、大きな魅力です。

中には自社で動物とのふれあいスペースを設けている企業もあるので、癒され効果は抜群でしょう。

もちろんペット業界で活躍する男性も多く、トリマーやブリーダーを目指す人も大勢います。

特にペット業界の大手企業では、企画、営業、マーケティングなど多くの職種に携われる機会もあり、海外事業展開をしている国内企業では、海外で働くチャンスも得られるかもしれません。

店舗では多くのお客さまや業者関係者と、規模の大きな企業では多くの職種の人と関わる機会が多い仕事です。

ペット業界に就職するには

就職の状況

ペット業界は人気の業界として注目度が低いものの、昔から学生に根強い人気のある業界です。

多くの大手企業では、毎年新卒採用が行われています。

営業や企画、マーケティング、通販サイト、広報、人事などに関わる職種は「営業・事務系」として、研究開発、生産技術品質管理、システム開発などは「技術系」として、分けて採用される場合が多いです。

またそのほとんどが、「大卒以上」の学歴が求められます。

近年のペット業界は全体として成長傾向にあるので、人材採用が大きく減ることは考えにくいでしょう。

また異業種からの参入も増えているため、視野を広げると、専門企業以外にもペット事業に携わることができる企業は多いといえます。

就職に有利な学歴・大学学部

ペット業界には企業や店舗が幅広くあるので、どのような企業に就職し、どんな仕事をしたいかによって選択肢が変わります。

たとえば大手企業へは、基本的に「大卒」が必須の学歴です。

企業によっては、「ネスレ」のように、必要な資格が「入社までに普通運転免許が取得できること」のみの場合がありますので、希望の企業の採用情報を見てみることをおすすめします。

またペットショップスタッフでは、高卒以上でも積極的に受け入れている企業もあるようです。

ペット業界への就職に必要な資格は特に必要ありませんが、大学では「畜産学」「獣医学」「生物学などの学科、専門学校では「トリマー」「ペットビジネス」などを学んでいると熱意が伝わり、有利になるでしょう。

就職の志望動機で多いものは

ペット業界への志望動機で多いものは、「ペットが大好き」という気持ちです。

ただしペット業界を目指す多くの人が動物に対する愛情を持っているので、ペットが好きだけでは、採用してもらうのは難しいでしょう。

そこで業界研究をしっかりとしていること、楽しさだけではなく大変さも理解していることを伝えることが必要です。

たとえばなぜペット業界を目指しているのか、入社後に実現したいことを織り交ぜることで、強い意志を伝えられます。

また企業ごとに特色が強いため、なぜその企業を選んだのか、その企業でどのように貢献できるのかを志望動機に入れ込むことで、アピールにもなるでしょう。

ペット業界を目指すのに資格は特に必要ありませんが、ペット関連の資格を書いておくと、即戦力としてアピールできて効果的です。

ペット業界の転職状況

転職の状況

ペット業界の求人は、多くの企業の業績が上向きで、各社が事業拡大をはかっているので、採用活動が積極化することが予想されているため、転職しやすい状況といえるでしょう。

一般的にペット総合関連企業への転職が人気を集めていて、転職サイトでも求人の数が多く、種類も豊富に揃っています。

ただし首都圏勤務の求人もありますが、関西への勤務または転勤が必要な場合が多いので、条件が厳しい方もいるかもしれません。

また多くの方が希望するので、転職のハードルは高まっているといえます。

転職の志望動機で多いものは

ペット業界への志望動機で多いものは、「動物が大好き」という気持ちです。

ただしこの気持ちはペット業界で働く人にとって大前提になってしまうため、未経験からの転職や人気企業への志望動機には少し弱いでしょう。

そのため「店舗が清潔だったから」「スタッフの印象が良く、丁寧に対応している」などその企業や店舗を選んだ理由や魅力を伝えられると熱意が伝わります。

また「ニーズに合わせた商品開発を行いたい」「動物と人間が暮らしやすい社会を作りたい」など、その企業で社会にどう貢献していきたいのかビジョンを伝えるのも好印象でしょう。

転職で募集が多い職種

転職で募集が多い職種は、ペット総合関連企業の求人、またはペットショップの店員です。

ペット総合関連企業の求人は、企業によりますが「営業・事務」または「研究・開発」に分かれていることが多いです。

ペットショップの店員の募集は数も多いのに対して、応募数が少ないのでチャンスではありますが、離職率が高いのも事実です。

ペットショップの本社勤務を希望する方もいいでしょうが、求人数自体が多くありません。

また地域によってはコンビニや歯医者よりも動物病院の方が多いといわれていることから、「受付」の求人も多いです。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

ペット業界は、未経験でも転職可能だといわれています。

ただし中途採用は即戦力が期待されているので、異業種でもその分野のスキルを身につけている人が優遇されるでしょう。

しかし研究職の場合は、「実務経験」が問われることもあるので、企業ごとに募集要項の確認が必要です。

ペットショップでは、未経験でも接客経験やコミュニケーションスキルをアピールすることができます。

現場では比較的若手スタッフが多く、リーダー職になれる中高年の採用ニーズが高まっているため、ミドル世代の方にはチャンスです。

また動物病院の受付は女性が優遇されやすく、基本的なPCスキルや事務処理能力があれば、転職も難しくないでしょう。

ペット業界の有名・人気企業紹介

マース

MARS(マース)は世界最大手のペットフードメーカーで、従業員は8万人以上、世界78ヶ国で事業展開している企業です。

ペットフードには「シーザー」「アイムス」「ペディグリー」「ニュートロ」などの多数のブランドを有しています。

そのほかチョコレート事業で、M&M’S、スニッカーズもブランド展開しています。

Mars Japan Limitedホームページ

ユニ・チャーム

ユニ・チャームは、ペット用品ではシェア第1位、ペットフードでは第2位のシェアを誇る企業です。

ペットフードでは「グラン・デリ」「ベストバランス」「銀のスプーン」などのブランド展開しています。

そのほか紙おむつの「moomy」「オヤスミマン」、生理用品の「ソフィ」、マスクの「超快適」シリーズなど、日用品から介護用品まで幅広い商品展開を行っています。

ユニ・チャーム ホームページ

アイリスオーヤマ

アイリスオーヤマは、ペット用品メーカーとして高いシェアを誇る企業です。

人気のトイレシートやペット用ウェットティッシュをはじめ、1週間取り替えいらずのネコトイレや、ドッグフード、ペットウェアまで幅広いラインナップを取り揃えています。

アイリスオーヤマ ホームページ

ペット業界の現状と課題・今後の展望

競争環境

ペット業界は、外資系企業と国内企業が多数混在している状態です。

特にペットフード市場ではの最大手は外資系企業の「マース」で、圧倒的な地位を誇っています。

そのほか「日本ヒルズ・コルゲート」「ネスレ」「いなばペットフード」などの国内企業も有力で、上位企業で売り上げのおよそ60%を占める上位集中型の構造が、競争環境の特徴です。

近年はサービス市場が拡大

ペット業界では、ペットフードやペット用品といった必需品のほかに、サービス市場が拡大してきています。

「ペットの家族化」「ペットの高齢化」の影響から「ペット保険」なども普及し、加えてしつけ教室、ペットホテル、老犬ホーム、ペットシッターなどの新興市場が登場しました。

ほかにもペットと暮らせる住宅、一緒に泊まれるできるホテル、レンタルペット、同伴カフェ、テーマパーク、洋服など、これまではなかった嗜好へのニーズに合わせたサービスが増えています。

住宅や車産業など、ペット業界以外からの新規参入もしやすく、多くの企業が事業展開を始めているのが特徴です。

さらに小売のチャネルが拡大していて、ネットで直接買えるEC(物販)サイトの利用者も増えていおり、今後も市場の拡大が見込まれています。

今後も安定した成長が見込める業界

ペットの飼育頭数は減っているものの、「ペットの家族化」と「ペットの高齢化」の影響で、1頭あたりの消費額は増えているのが現状です。

また「室内飼育化」が増えている影響から、消臭効果の高いペットシーツなど、企業独自の特徴的な日用品のニーズも高まりつつあります。

サービス内容も多岐にわたり、多くの企業や他業種からの参入や事業展開が見受けられるので、今後も安定した成長と活躍できるチャンスが見込める業界といえるでしょう。

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