貿易事務への転職・未経験採用はある?
貿易事務への転職状況は?
貿易事務は、「派遣社員」での採用形態が多く、当初から正社員を求めている企業は、採用対象を新卒か経験者に限定している場合が多いです。
総合求人検索サイトでは、半数以上が派遣社員での募集ですが、正社員登用前提での派遣社員採用も多く見られます。
そのため、未経験から貿易事務のポジションに就きたいのであれば、まず派遣社員としてスタートを切り、その後採用先で正社員登用のチャンスをつかむか、経験者として転職するのがいいでしょう。
逆に、貿易事務として非正規で働いていて、正社員になりたい場合は、培った経験を武器に正社員として転職をする人が多いようです。
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貿易事務への転職の志望動機で多いものは?
経験者の場合
貿易事務経験者が転職する理由で多いのが「キャリアアップのため」というものです。
たとえば専門性を高めるために「通関士」の資格を取得し、通関業者に転職したり、業務の幅を広げるためにコレポン業務に携われる企業に転職したりするケースが多いです。
経験やスキルをアピールして、より高い年収、働きやすい環境を求め転職する人も多いです。
また、貿易事務は女性が多い職種です。
結婚・出産・育児などのライフステージの変化に応じて、働き方を変えるために転職をする人も多くいます。
未経験者の場合
英語力を生かしたい、日本にいながら国際的な業務を行いたいという理由で転職活動をする人が多いようです。
貿易事務の日常業務は定型的なものが多く、英語力が必ずしも求められるというわけではありません。
しかし、海外企業とのやりとりなどでは英語力があることは大きな武器となることも多く、強みを生かしながら働くことができ、やりがいを感じられるはずです。
また、貿易事務は事務職のなかでも専門性が高い職種です。
一般事務職と比べて、給与が高めに設定されているうえ、業務範囲やレベルに応じて給与が変わるため、経験を積み、知識を増やすことで給与アップを目指すことも可能です。
キャリアを積むために「営業事務」や「一般事務」から転職する人も多いです。
未経験・社会人から貿易事務になるには?
まずは現場に飛び込む
貿易事務とはまったく関係のない仕事から転職したい場合、未経験可の求人募集を探すとよいでしょう。
未経験可の求人は、圧倒的に派遣社員採用が多いです。
貿易事務とまったく関係のない職業から正社員として転職したい場合、正社員登用前提の派遣社員求人に応募する方法もありますが、こちらもある程度関連した業務の経験者が好まれる傾向があります。
回り道にはなってしまいますが、まずは派遣社員として数年経験を積んだうえで、経験者として正社員求人に応募するのが確実な方法でしょう。
ただし「未経験可」とはいっても、ある程度の英語力と事務経験を求められる求人が多くなっています。
英語力については独学で勉強することもできるため、コツコツ準備をしておくのがいいでしょう。
入社後
たとえ「貿易実務検定」を取得していたとしても、実際の業務では覚えること、学ぶことがたくさんあります。
通常は、職場の同僚に仕事の流れを教えてもらいながら業務を進める「OJT(On-the-Job Training)」という指導方法で、仕事を覚えていくことが多いです。
未経験からスタートする場合、最初は受発注業務や輸出入関連の書類作成といった簡単な業務から担当し、クレーム処理など多くの実務を経験して専門性を高めていくことができます。
立場によって任される仕事は変わってきますが、まずは書類作成やデータ入力などの定型業務をしっかりこなせるようになることが大事です。
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貿易事務への転職に必要な資格・有利な資格
通関士
「通関士」は、輸出入の際に生じる税関手続きのための資格です。
通関書類の審査と審査後の記名捺印は、通関士資格を持っている人でなければできないため、船舶会社や航空会社の物流部門など、流通業の就職に強い特徴があります。
また、電気機器や自動車メーカーなどで、海外の下請け工場から直接製品の部品などを仕入れるために通関部署を設けている企業も多いので、重宝される資格といえます。
貿易実務検定試験
「貿易実務検定試験」は、業界で幅広い層が受験するメジャーな民間資格です。
貿易実務のエキスパートとしての実務・知識を客観的に見ることができる資格として人気です。
貿易事務は経験がものをいうため、資格があることで採用に有利に働くとは必ずしもいえません。
しかし、同条件の求人者がいた場合には、採用の決め手となる場合もあります。
また未経験の場合、貿易事務へのやる気をアピールするひとつの材料となります。
英語系資格
貿易事務に直接関係のある資格ではありませんが、「TOEIC」や「実用尾英語検定」など、ビジネス英語能力を証明する資格を持っていると、大きなアピールポイントになります。
仕事内容によって求められる英語力は大きく異なりますが、海外とのコレポン(連絡調整)業務を任されるのであれば、TOEICスコア735点以上、ペーパーワークが主であれば600点以上が目安とされています。
この点数はあくまで参考値で、点数が高いほどアピール度が大きくなると考えておきましょう。
IATA/FIATAディプロマ
「IATA/FIATAディプロマ」は、日本では「国際航空貨物取扱士資格」と呼ばれる国際資格です。
試験はすべて英語で行われ、日常会話レベルの英語力が必要です。
航空貨物運送の知識・スキルを保有している証明として、航空会社、航空貨物代理店、航空フォワーダー(利用航空運送事業者、航空混載業者)などへの就職に役立つとされています。
貿易事務への転職に役立つ職務経験
貿易事務の経験者であれば、その経験を武器に有利に転職活動を行えるでしょう。
求められる経験・スキルについては、基本的な書類作成レベル、貿易手続き担当レベル、あるいは非定型業務(都度異なる方法や対応が求められる応用的な業務)担当レベルと、さまざまです。
自分がどのような業務を担当していたかを説明できるようにしましょう。
未経験の場合、事務職からの転職が多いです。
決められた期日までに正確な事務処理を遂行する力は貿易事務でも必要なため、経験を生かすことが可能です。
ほかにも、営業職に就いていた人は、実務で培ったコミュニケーション能力や調整能力をアピールして、貿易事務への適性を示すことができます。
貿易事務への転職面接で気をつけること
経験者でも未経験者でも、転職面接では前職の退職理由を必ずといっていいほど聞かれます。
このとき、前の会社や職種の悪い面や不満をハッキリと伝えることは避けるのがベターです。
むしろ、前職で学んだこと、培ったことを積極的にアピールし、それを貿易事務として生かしながら、さらにキャリアアップしたいという前向きな考えを伝えるほうがよいでしょう。
また、転職者の場合、新卒と異なり社会人経験を有しています。
「育ててもらう」という意識ではなく、現在持っているスキルを新しい職場でどう生かし、どのように会社の利益に貢献できるかという意識で面接に臨みましょう。
貿易事務に転職可能な年齢は何歳くらいまで?
経験者であれば、その経験をもとに40歳くらいまで転職できることも珍しくありません。
ただ、未経験者の場合、年齢は若いほど転職に有利になる傾向があります。
女性の場合、結婚や育児でキャリアが中断することもあるため、25歳くらいまでには、なんらかの形で貿易事務業務に関わりたいところです。
未経験から貿易事務の転職での志望動機
未経験で貿易事務に転職を希望する場合、なぜ貿易事務に興味があるかを具体的に述べましょう。
そして、貿易事務として何をしたいか、どのように会社に貢献していきたいかを採用担当者に伝えましょう。
未経験者の場合、前職で身につけたスキルや経験、自分の適性を、貿易事務としてどう生かせるか伝えることが重要です。
たとえば、「前職で身につけた調整力・折衝力を生かしたい」「語学スキルを生かしたい」など、自分に合った経験・スキルを適切にアピールすることで、採用側が抱える「未経験者への不安」を払拭することにもつながるでしょう。
最後になぜその会社を選んだかということを、社風、商品・サービスという面から具体的に伝えることが大切です。