貿易事務の1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説

貿易事務の1日の流れ

家電メーカー勤務の正社員の1日

9:00 出社
海外の協力工場とは時差があるため、メールでやりとりをすることが多いです。

出社後は海外工場からのeメールをチェックして、必要があれば返信。

同時に、その日一日のタスクを整理します。

10:00 書類確認
国内工場での生産に必要な部品のインボイス(貨物の明細書兼代金請求書)がメールで送られてくるため、内容をチェックして、国内工場の担当者に転送します。

また海外自社工場で製造した電化製品のインボイスが送られてきた場合、同様に内容をチェックして、納期管理担当者へ送付します。

11:00 貨物状況の確認
船や飛行機など商品を積載した輸送に遅れが生じていないかを確認します。

このとき遅れがあれば、関係各所とスケジュールを再調整する必要があります。

12:00 昼休憩
休憩時間は1時間あります。

繁忙期はデスクでランチをとりながら電話・メール対応したり、昼休憩を早めに切り上げ業務にあたることもあります。

13:00 トラブルへの対応
東京港入港予定の船が、急遽横浜港先港になるとの情報が入り、当初予定していた納入用トラックをキャンセルします。

また急遽、東京湾から最短で納入できるトラックを確保する必要がでたため、取引先の運送会社数社に交渉し、トラックを手配します。

15:30 ミーティング
物流改善を目指したミーティングに参加します。

「海外工場に近い港を使えば、物流コストが抑えられる。しかし、輸送の安定性はどうか、輸送日数がかかりすぎではないか」など意見を交わします。

貿易取引により発生する金、物、書類の流れを正確に理解しておかなければいけないほか、実務ベースでの発言を心がけます。

17:00 納品指示など
国際宅配便に納品指示をするほか、必要なメール、FAX、電話で調整をします。
18:00 貿易書類作成
明日、銀行に持参し開設する予定のLC開設依頼書を作成するほか、通関書類の作成などの貿易書類を作成します。
19:00 退社
繁忙期やトラブルは発生したときは、22時くらいまで残業することもあります。

商社で働く派遣社員の1日

8:00 出社
出社し、メールチェックを行います。

FAXでやりとりを行う関係企業もあるほか、電話連絡が必要なこともあります。

10:00 商品の受発注手配
国内の取引先からの注文を取りまとめて、海外の取引先に見積依頼・発注をしたり、海外の取引先から届いた貿易書類の内容チェックとファイリング業務をしたりします。

基本的には正社員と同じ仕事内容を行うものの、イレギュラーな事態が発生したり、金額が変わったりする時は、正社員に判断を仰ぎます。

12:00 休憩
昼休憩を同僚ととります。

仕事が立て込んだときには、手軽に社内で済ませることも多いです。

13:00 書類作成
見積書や請求書などの作成を行います。

港に貨物が届いたと連絡があったときは、注文内容と同じかを確認し、納品手配もします。

15:00 社内業務
郵送物の発送や仕訳、書類ファイリング、伝票処理などの社内業務を行います。
17:00 退社
派遣会社との契約で残業は基本的には発生しないので、大きなトラブルがない限りは定時に退社します。

何かトラブルがあるときは上司に報告をし、引き継ぎます。

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貿易事務の業務スケジュール

勤務時間

貿易事務に就いている人の勤務時間は、勤務先の各企業が定める就業時間に準じます。

一般的な企業と同じく、だいたい9時から18時までを基本として、勤務先によって30分ほど始業と就業が前後することもあります。

また、貿易事務の職場の特徴として、主要な取引先との時差を考慮し、勤務時間が調整されることがあります。

一例を挙げると、ヨーロッパとの取引で時差が8時間ある場合、先方の始業時間の朝9時は日本ではすでに夕方17時です。

そのため、ヨーロッパとの取引をおもに行っている企業では、始業を10時とし、就業を19時とすることで、なるべく残業時間を増やさずに取引先との接触時間を長くする、といったケースが見られます。

1日の休憩時間は45分から1時間ほどで、合計就労時間は8時間前後が平均的でしょう。

残業時間

職場により異なる

残業時間については、勤務先の規模・業績・人員数により大きく違います。

人員数と仕事量のバランスが取れており、残業が少ない職場がある一方、貿易事務ができる人材が不足している職場では、自然と残業時間が増えてしまう傾向にあります。

なぜなら、貿易事務は期日に間に合うように書類を作成、申請する必要があるなど、期日に追われる業務が多いからです。

さらに、貿易取引には、船便の遅れ、海外工場の生産不備など突発的トラブルがよく発生します。

貿易事務は、円滑に取引が行われるように常にスピードや柔軟な対応が求められるため、残業をせざるを得ないことも多いです。

また、人員がしっかり配置されている大企業でも、複数の取引先との調整が発生することで午後に仕事が集中してしまい、結果残業が多くなるケースもあるようです。

月末や期末、年度末などは、決算に絡んだ経理業務が増えるため、どんな職場でも残業時間が増える傾向があります。

時差が原因の残業もある

輸出入取引をスムーズに行うためには、取引先や関係機関と連絡をとりながら進める必要があります。

海外企業とコミュニケーションをとる場合には、時差の関係から、日本時間の定時後に連絡をしなければならなかったり、やっと仕事を終えて帰ろうというときに連絡がきたりすることもあります。

急ぎの案件も多く、どうしても残業して対応しなければならないことも出てきます。

残業が難しい場合、派遣社員も選択肢に

貿易事務は業務上、残業が必要なケースが多いため、家庭の事情などで残業ができない人にとっては難しい面もあるでしょう。

ただし、貿易事務は女性の割合が多く、女性の働きやすい環境づくりを推し進めている企業も増えているため、自分の働き方に合った職場を検討することも重要です。

派遣企業を通しての就業であれば、さほど残業をせずに働ける可能性もあります。

自分の条件に合った求人を探してみるといいでしょう。

休日

貿易事務の休日の日数は職場により異なりますが、土日祝日、年末年始などは比較的しっかり休める職場が多い傾向です。

一方、急ぎの案件が発生した場合や、中小規模の会社で担当する業務範囲が広い場合は、休日出勤をして対応しなければならないケースもあります。

また日本の大型連休中であっても、取引先の海外企業では通常稼働している場合、休日であっても対応しなければならないことも珍しくないようです。

夏季休暇については、関連各所が通常営業しているときに社内全員で休業してしまうと取引が滞ってしまうため、各人が時期をずらして休みを取るのが一般的です。

この件については、オフシーズンに海外旅行ができることから、貿易事務の仕事に就く人の間では歓迎されることもあります。

貿易事務は忙しい? 激務?

職場にもよりますが、貿易事務として働いている人のなかには激務と感じる人も多いようです。

ただ、激務といっても出張が多い、肉体的にハードという意味ではありません

貿易事務の仕事は、自分一人で仕事が完結することはなく、社内や取引先、契約業者との連携が必須になります。

そのうえ海外を相手にしているだけに、文化、商慣習、天候などにより予定外のトラブルも発生しやすく、仕事のスケジュールが立てにくくなります。

それでも期日や納期に遅れた場合、莫大な損害が発生したり、企業の信用問題に発展したりするケースもあるため、迅速に問題を解決する必要があります。

繁忙期やトラブルが発生した時は、休憩時間も返上して業務にあたったり、残業をせざるをえなかったりすることもあります。

貿易事務の休日の過ごし方

貿易事務として働く人の多くは、仕事とプライベートをきっちり分け、休日は自分の趣味・家族との時間にあてることが多いようです。

一方で、貿易事務に必須となる語学力を高めるために、英会話スクールに通ったり、中国語などにチャレンジしたりする人もいます。

また、貿易事務検定など資格の勉強をし、キャリアアップに向け努力している人もいます。

ちなみに、貿易事務として働く人は、「海外が好き」「海外に関わる仕事がしたい」という理由から仕事に就いた人もいます。

そのような人は、まとまった休みがとれたら海外旅行に出かけることも多いです。