アートディレクターになるには? 必要な資格はある?
アートディレクターになるまでの道のり
アートディレクターは広告やセールスプロモーションツールなどのグラフィック制作における、ビジュアル面の責任者として活躍します。
ほとんどの場合、「グラフィックデザイナー」として経験を積んだ後にアートディレクターになる道が開けます。
とくに資格を持ったり特殊な学校に通ったりする必要はなく、男女、年齢を問わずに就ける職種ではありますが、未経験者がいきなりアートディレクターになるには厳しいのが現実です。
まずは広告業界に入り、グラフィックデザイナーとして経験を積んでいくのが一般的な道になります。
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アートディレクターになるために必要な資格はある?
アートディレクターになるうえで必須の資格はありません。
広告業界で働くクリエイターに共通することですが、資格などの勉強の類より、制作の現場で培った実力やクリエイティブセンス、これまでの実績で評価が決まります。
ほとんどのアートディレクターがグラフィックデザイナーからステップアップしており、デザイナーになるにも、もちろん資格は必要ありません。
美術大学やデザイン専門学校で基礎知識とスキルを身に付け、あとはグラフィックデザイナーのアシスタントや見習いとして社会に出た後に、現場で実力を培っていくことになります。
ただ、グラフィックデザイナーやアートディレクターに関連する民間資格として、以下のようなものがあります。
・参考:アドビ認定アソシエイト(ACA)
・参考:Photoshopクリエイター能力認定試験
・参考:Illustratorクリエイター能力認定試験
・参考:DTPエキスパート
自分のスキルレベルがどのくらいであるかを客観的に知る目的としては、資格取得にチャレンジするのもひとつの手です。
アートディレクターになるための学校の種類
アートディレクターの前身であるグラフィックデザイナーになるためには、美術大学のほか、専門学校のグラフィックデザイン科などで学ぶのが近道です。
こうした学校では、ビジュアルデザインの知識や構図、配色などの基礎から学べるほか、グラフィックデザインの実務に必要な「Illustrator」や「Photoshop」などのグラフィックソフトの扱い方も学びます。
たいていの専門学校では2年間、美術系の大学では4年間の専門教育を受けてから、グラフィックデザイナーとして広告代理店への就職を目指すのがよいでしょう。
なお、大手広告代理店では新卒採用の場合、4年制大学または大学院の卒業・修了見込み者のみを応募資格にしている場合があります。
就職先の選択肢を広げたいと考えるのであれば、大学進学を考えるほうがよいでしょう。
アートディレクターになるための大学
芸術大学の美術学科や、美術大学からデザイナーを目指していく人は多くいます。
美術系の大学といってもいろいろな学科があり、油絵や版画などを中心にファインアート分野の勉強を行っていくこともできれば、デジタルやメディアを使った最先端のアートに触れることもできます。
同じ美術系大学といっても、どのような分野の知識・技術を磨いていきたいのか、よく考えて、進学先を決めたほうがよいでしょう。
なお、大手広告代理店の多くは「4年制大卒以上」を新卒の応募資格とする企業が多いため、大学を出ておくと就職先の選択肢は広がります。
アートディレクターになるための専門学校
デザイン系専門学校でも、グラフィックデザインを学ぶことが可能です。
美術系の大学に比べると、授業は理論よりも「実践的なスキル」を身につけることに主眼を置く傾向があります。
たとえばグラフィックデザインの現場で使う専用ソフトを使いこなすスキルや、色彩、レイアウトなどについての知識も、実習を中心に行いながら身につけていくのが特徴です。
デザイン系の専門学校は全国にたくさんあり、学校ごとにカリキュラムの特色が異なります。
なかにはWebや映像などのデザインを学べる学校もありますので、よく比較検討してみることをおすすめします。
アートディレクターになるためのスクール
グラフィックデザインが学べる民間のスクールもあります。
スクールによって修学期間やカリキュラムには違いがありますが、全体としてはデザイン専門学校で学ぶことを、もう少し簡素化したカリキュラムが多いようです。
IllustratorやPhotoshopなど、グラフィックソフトの技術を基礎から効率的に学びたい人にはスクールでも十分かもしれません。
しかし、スクールによってレベルには大きな差があり、スクールに通うだけでグラフィックデザイナーの即戦力として通用するスキルを身につけるのは、難しい場合があります。
スクールを活用しながら、自分でも勉強を重ねたり、グラフィックデザイナーのアシスタントとなって、現場で知識・技術を積み上げていったりする努力が必要になるでしょう。
アートディレクターになるための通信講座
通信講座やWebを活用したオンラインスクールで、グラフィックデザインを学ぶこともできます。
時間や場所にしばられることなく独学できるので、仕事をしている人や副業のためのスキルを身につけたい人にはおすすめです。
ただしスクールと同じように、通信講座を受けただけで就職・転職がしやすくなるわけではありませので、学んだことをどう生かすかしっかり考えていくことが大事です。
独学でアートディレクターになれる?
グラフィックデザイナーになれば、現場でさまざまなプロジェクトに関わりながら、その先のアートディレクターにも求められるデザインの知識・スキルを深めていけます。
すぐれたアートディレクターになるには、グラフィックデザイナー時代に、いかに幅広い視点や豊かな感性をもって、仕事に取り組んでいくかが大切です。
いずれにせよ、現場に入らないと始まりません。
もし独学でアートディレクターを目指していきたいのであれば、未経験者を採用している制作会社等を探してみましょう。
熱意が認められればグラフィックデザイナーのアシスタントとして働ける可能性はあります。
アートディレクターの学校選びのポイントは?
アートディレクターとして働く人は、比較的、美術系の大学出身者が多いようです。
大学では4年間という時間をかけて、美術の基礎からしっかりと固めていきますので、正しい知識と理論を身につけたい人には向いています。
しかし、実践を重視するデザイン専門学校でグラフィックデザインを学び、就職する人も大勢います。
最も大切なのは、いざ現場に入ってからどのように知識とスキルを磨き続けるかです。
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アートディレクターに向いている人
新たな物事に広く興味を持てる人
アートディレクターは、広告業界のことはもちろんですが、それ以外にも、いろいろなものに興味関心をもつことが大事です。
世の中の流行やニーズを把握することは、広告制作に欠かせません。
常にアンテナを張って新たな情報をキャッチアップし、幅広い知識を吸収することに喜びを感じる人がこの仕事に向いています。
さまざまな立場の人をまとめるのが得意な人
アートディレクターの仕事では、クライアントをはじめ、社内のたくさんの制作スタッフと関わります。
相手の立場や思いをよく理解したうえで、自分の伝えたいことを正しく伝えていける人は、アートディレクターの適性があるでしょう。
また、アートディレクターはクリエイターを束ねる立場になるため、人とコミュニケーションをとるのが上手でリーダーシップのある人に向いています。
アートディレクターのキャリアプラン・キャリアパス
グラフィックデザイナーとして勤務している間に、自分がアートディレクターに向いているか否か、どういうキャリアパスを望むのか判断できるでしょう。
デザインを組み立てること自体にやりがいを感じる人、パソコンに向かってもくもくと作業をするのが好きな人は、グラフィックデザイナーの職務を貫くほうが向いているかもしれません。
一方、企画に踏み込んだり提案することに意義を見出す人や、コピーやイラストなどにもトータルにかかわりたい人は、制作の現場監督であるアートディレクター向きの人材だといえるでしょう。
アートディレクターのなかには、引き続きグラフィックデザイナーとしての役割も兼務するタイプの人もいます。
広告業界で働きながら、将来の自身のキャリアパスをイメージしていくことが大事です。
アートディレクターがさらにキャリアを積むと、プロジェクト全体の総責任者であるクリエイティブディレクターになる道や、独立して仕事をする道なども開けてきます。
アートディレクターを目指せる年齢は?
アートディレクターになるのに年齢制限はありません。
とはいえ、グラフィックデザイナーから経験を積んでいくとなると、できるだけ若いうちに業界で働き始めるほうが、早くアートディレクターになれるチャンスがあるでしょう。
広告業界は人気があり、業界で活躍したいと熱意をもつ若者は山ほどいます。
そのなかでアートディレクターとしての立ち位置をしっかりと築くためには、30代後半や40代を超えてからスタートするのは、少々厳しいかもしれません。
アートディレクターは女性でもなれる?
アートディレクターは、男女関係なく働ける職種です。
広告業界全般で見ると男性の割合のほうが大きいといわれますが、だからといって女性はアートディレクターになれないわけではありません。
とくに近年伸び続けているインターネット広告業界は、平均年齢が若めで、女性の活躍も目立ちます。
広告業界でキャリアを積み、グラフィックデザイナーの上級職としてアートディレクターになり、第一線で働く女性は増えています。
ただし広告の仕事は忙しくなりがちなので、結婚・出産などのライフイベントと仕事を両立させるには、勤務先選びや働き方をしっかり考えていくことが重要です。