アニメーターの雇用形態
フリーランスが一般的
アニメーターの雇用形態は多くが業務委託(フリーランス)とされ、収入もどれだけの枚数や本数を描いたかによって決まります。
いわゆる出来高制や歩合制となっているため、正社員として勤め固定給を得られる人はほんのわずかです。
また製作費を抑えるために制作会社やプロダクションに所属していたとしても、最低限の基本給+歩合制としているところも多くなっており、一般的なサラリーマンのように企業に所属しているからと言って安定した収入を得られるとは限りません。
不安定な立場に置かれる新人アニメーター
2016年度に行われた「AEYAC 若年層アニメーター生活実態調査」によると、勤務形態では「個人事業主(スタジオ所属)」と回答した人が最も多く68.6%と過半数を占めています。
次いで多いのが「契約社員」の19.0%で「正社員」はわずか7.2%、「個人事業主(自宅作業)」は5.2%となっています。
収入に関しても「完全出来高」が 46.4%で最も多く、次いで「固定給+出来高」の39.3%固定給のみで収入を得ている人は13.3%しかいませんでした。
これにより、新人アニメーターの多くは非正規として働き、さらに作業量が賃金に直結するという非常に不安定な立場であることがわかります。
フルタイムで働きながら十分な賃金を得られていないアニメーターも多く、こうした不安定な雇用形態も日本のアニメーターの社会問題となっています。
→2016年度「AEYAC 若年層アニメーター生活実態調査」
正社員のアニメーター
アニメーターとして正社員で活躍できる人は、本当に限られた人のみです。
大手の会社では正社員のアニメーターを採用するところもありますが、中小の制作会社やプロダクションの場合はキーとなるアニメーターやキャラクターデザイン、作画監督のようなスキルがあり、アニメーターとして一定のレベルに達している人でなければ正社員として雇わないというところも少なくありません。
ただし、契約社員やフリーランスとして働いていたとしても、実力が認められれば正社員として働けるチャンスはあります。
また、契約している制作会社で直接正社員として採用されるのではなく、他社から引き抜きの声がかかる場合もあります。
契約社員のアニメーター
契約社員のアニメーターは、制作会社やプロダクションに所属し、基本的には社内で仕事をします。
作品ごとに仕事を請け負いますが、仕事量は一定の量が確保されているので、フリーランスとして働くよりは安定した立場になりますが、雇用期間が定められており延長されなければ働き続けることはできません。
さらに、基本給+出来高制としているところが多く、安定した収入に直結するものではないということを覚悟しておきましょう。
フリーランスのアニメーター
フリーランスのアニメーターの場合、作品ごとではなく各話数ごとに仕事を受けることが多く、制作状況により常に仕事があるとは限りません。
ひとつの仕事は短ければ一週間や数日の場合もあり、ときには1カットごと1日単位で契約することもあります。
多くの場合は制作会社やプロダクションと契約を結んで仕事をしますが、このように細切れの契約が多く実際には契約条件があいまいになっているという問題もあります。
待遇に関してもフリーランスの場合は残業代や深夜労働手当なども支給されないため、非常に厳しいものとなっています。