野菜ソムリエの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「野菜ソムリエ」とは

野菜ソムリエの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

野菜と果物のスペシャリスト。おいしい食べ方やレシピを考案し、人々に広く伝えていく。

野菜ソムリエとは、野菜や果物に関する、あらゆる知識を学んだスペシャリストです。

野菜ソムリエは、職業ではなく資格の名前であり「日本野菜ソムリエ協会」が主催している民間資格です。

取得するためには専門の講座を受ける必要があります。

初級・中級・上級の3つに分かれており、まずは初級からのスタートになります。

その後、希望に応じてステップアップしますが、上級まで取得している人はまだまだ少ないようです。

活動の仕方は人それぞれで、収入などは仕事の仕方や量により異なります。

八百屋やスーパーなどの青果販売や、カフェ・レストランでのレシピ作り、企業での商品開発など、「食」に関するさまざまな仕事に生かすことができる資格です。

食に関する関心が高まるなか食材の安心・安全性が問われ、近年は「食育」など食の大切さが見直されています。

食品や飲食店などでは、野菜ソムリエを売りにおいしさと食の安心・安全をアピールする企業も増えてきており、今後仕事はさらに増えていくと考えられます。

「野菜ソムリエ」の仕事紹介

野菜ソムリエの仕事内容

野菜や果物の知識を持ち、その魅力を世の中の人に伝える

野菜ソムリエは民間資格

野菜ソムリエは、資格の名前で職業の名前ではありません

2001年に「日本野菜ソムリエ協会」が始めた民間資格で、はじめは「ベジタブル&フルーツマイスター」という名前でしたが、現在は野菜ソムリエという名前で統一されています。

芸能人が所得していることも多く、耳にしたことがある方も多いでしょう。

協会の養成講座を受講したり、自分で勉強したりして、野菜や果物に関する豊富な知識を学んだ人だけが取得できる資格です。

あくまで資格の名前ではありますが、有資格者は野菜・果物の知識を生かして幅広いジャンルで活躍しています。

活躍の仕方は人それぞれ

野菜ソムリエの資格を取得した人は、さまざまな場所で働くことができます。

野菜ソムリエは、野菜・果物に興味を持ち、関連知識を持った人材を多数育てていくことで、食を通じた感動を世の中に広めること、また食をきっかけに人と人、文化、社会をつなぐことを目的としています。

レストランなどの飲食店、フードライターやフードコーディネーターなど食の専門家、青果店など野菜やフルーツを扱うお店など、野菜ソムリエの資格を生かせる場所は数多くあります。

また、食に関する仕事に従事していない人でも、自身や家族の身体づくり、健康管理などを目的に野菜ソムリエになるケースも少なくありません。

野菜ソムリエはまだ比較的歴史の新しい資格ですが、人々の健康志向が高まるなか、メディアで取り上げられることも増え、知名度は上がっています。

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野菜ソムリエになるには

協会の主催する養成講座を受講するのが一般的

養成講座を受講して資格を取得する

野菜ソムリエは、「日本野菜ソムリエ協会」が独自に認定している民間資格です。

取得するためには、協会が開催している養成講座の受講が必要です。

野菜ソムリエは、レベル別に3種類に分かれています。

初級の「野菜ソムリエ(旧ジュニア野菜ソムリエ)」、中級の「野菜ソムリエプロ(旧野菜ソムリエ)」、そして上級の「野菜ソムリエ上級プロ(旧シニア野菜ソムリエ)」です。

初めての人は、まず「野菜ソムリエ」からスタートし、さらに上を目指す場合は、「野菜ソムリエプロ」、「野菜ソムリエ上級プロ」と進みます。

「野菜ソムリエ」という初級の資格は、「野菜が好き」「野菜の知識を深めたい」「自分や家族の食生活を見直したい」など、もっと野菜のことを知りたいという気持ちで取得する人も多くいます。

資格を取得する方法

養成講座の受講にあたっては年齢や学歴の制限はないため、何歳の人でも、また中卒や高卒の人でも野菜ソムリエを目指すことは可能です。

実際、50代や60代になって野菜ソムリエの資格取得を目指して勉強をしている人もいますし、その資格を強みにセカンドキャリアを築く人もいます。

なお、野菜ソムリエの養成講座は、現在では日本全国のほとんどの都道府県で開かれていますが、都市部のほうが場所・日程を多く選べるようになっています。

また、通信制で学べる養成講座もあるため、社会人など長時間講座を受講するのが難しい場合は検討してみるとよいでしょう。

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野菜ソムリエの学校・学費

通学性・通信制・半通学制の3種類から選ぶ

野菜ソムリエは民間資格であり、資格取得のために通わなくてはならないのは、日本野菜ソムリエ協会が主催する養成講座のみです。

特別な学校を卒業している必要はなく、中卒や高卒の人でも野菜ソムリエを目指すことは可能です。

野菜ソムリエ講座は、すべてのカリキュラムを終えた後、課題を提出し、修了試験に合格すると、晴れて野菜ソムリエとしてデビューできます。

野菜ソムリエの初級コース「野菜ソムリエ」の講座の受講方法は、「通学制」と「通信制」、さらに「半通学制」の3種類があります。

受講費は、いずれの場合も同じ148,000円(入会金・初回試験料込 ※2020年)です。

自分のライフスタイルや、講座の開講場所によっていずれかを選ぶ人が多いようです。

どの場合も、合格率にさほど変化はありません。

野菜ソムリエの資格・試験の難易度

講座終了後の課題提出と試験が必須

野菜ソムリエの受験資格

野菜ソムリエの試験を受けるには、それぞれの養成講座を修了していることが必須です。

それ以外にはとくに受験資格は存在しておらず、年齢・性別・職業等に関わらず、どのような人でも受験することができます。

野菜ソムリエプロの場合も同様で、「野菜ソムリエ」の資格を取得せず、この「野菜ソムリエプロ」からスタートすることも可能です。

ただし、すでに「野菜ソムリエ(旧ジュニア野菜ソムリエ)」の資格を取得している場合、養成講座の一部科目の受講が免除されます。

野菜ソムリエ上級プロを受験するには、「野菜ソムリエプロ」の有資格者であることが必須です。

養成講座の受講にあたっては活動報告書を提出し、実績がすでにあると審査によって認められる人、または日本野菜ソムリエ協会が推薦する人のみです。

野菜ソムリエの合格率

「野菜ソムリエ」試験の合格率は、約85%と発表されています。

講座のテキストをしっかり学習すれば、ほとんどの人が合格できるラインで、500点満点中350点が合格基準点となっています。

その上位資格となる「野菜ソムリエプロ」の検定試験は、約30%の合格率とされています。

記述式の筆記試験にパスした後、二次の口答試験(プレゼン・面接)が行われ、採点基準の7割を満たせば合格になるようです。

日本野菜ソムリエ協会では試験対策のためのイベントや練習問題の公表なども行っていますので、しっかりと準備をすれば合格は十分に可能です。

関連記事野菜ソムリエ試験の難易度・合格率はどれくらい?

野菜ソムリエの給料・年収

資格の活かし方により年収は全く異なる

野菜ソムリエというだけで給料は得られない

野菜ソムリエは、資格がそのまま収入に直結するものではありません。

各社の求人を見ても、「野菜ソムリエ」という職種で採用されるケースはほとんどありません

「管理栄養士」「調理師・シェフ」「農家」「マーケティングプランナー」など飲食ビジネスに関わる本業を持つ人が、野菜ソムリエとして得た知識を生かしていくケースが目立ちます。

そのため、野菜ソムリエの資格を仕事にどう生かすかによって全く収入が異なります。

飲食店の店員であったり、青果店の従業員であったりと会社勤めの場合は、その企業の社員としての給与が支払われます。

資格を持っていることにより、優遇されたり資格手当が付いたりする企業もあるので、そうした求人を当たって見るとよいでしょう。

独立してビジネスをする人も

野菜ソムリエのなかには、独立してビジネスを立ち上げる人も多いです。

フリーランスの「料理研究家」として食に関する情報を発信したり、ネットを活用して新しい時代に即した農業ビジネスを展開したりと、その種類は多岐にわたっています。

野菜ソムリエになったからといっていきなり収入があるわけではないため、食品や飲食業界で経験を積んでから、自分ならではのビジネスを立ち上げるという人も多いです。

こうした場合は自営業となり、働いた分だけ収入が増えるというしくみであり、収入の額はより大きな差がつきます。

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野菜ソムリエの現状と将来性・今後の見通し

食の安心・安全を伝えるプロの必要性が高まる

食に関する関心が高まり、近年は「食育」など食の大切さが見直されています。

特に野菜や果物などの生鮮食品は、子どもから大人まで口にし、家庭に身近なものであることから、その安心・安全性が問われる食材です。

世間の健康志向の高まりも追い風となり、食品や飲食店などでは、野菜ソムリエを売りに、おいしさと食の安心・安全をアピールする企業も増えています。

野菜ソムリエはあくまでも民間資格であるため、求人を見ても「有資格者募集」といった表示までは、なかなか見かけないのが現状です。

しかし、こうした現状を受け、野菜ソムリエたちがその知識を生かして働くことのできる仕事は、今後さらに増えていくのではないかと考えられます。

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野菜ソムリエの就職先・活躍の場

食に関するさまざまな場所に活躍のチャンスが

野菜ソムリエは、資格を取得しただけでは職を得ることは難しく、その資格の活かし方は、まさに自分次第といえます。

代表的な活躍の場としては、料理教室、テレビや雑誌、Webなどのメディア、食品メーカーや飲食店、農家や青果店などがあげられます。

そのほか、調理師や管理栄養士など、他の資格や知識と合わせて生かしている人や、食育、医療、美容などの分野で野菜ソムリエとしての知識を生かしながら働く人もいます。

資格さえあれば簡単に企業に就職・転職ができるものではない一方、自分がどのような情報を伝えたいか、どのようにして野菜の知識を生かしたいかによって、さまざまな職業で生かすことができます。

野菜ソムリエの1日

スケジュールは仕事によってさまざま

野菜ソムリエの働き方は、企業や団体などの組織に所属、フリーランスでの活動、独立開業など人によってさまざまです。

働き方はもちろん、野菜ソムリエとして「どんな活動をするのか?」によっても、1日のスケジュールや生活スタイルは変わってきます。

<料理教室の講師として働く野菜ソムリエの1日>

7:30 起床、栄養を意識した朝食をとる
9:00 出勤
10:30 午前の料理教室
12:00 作った料理を試食し、生徒の質問に答える
14:00 午後の料理教室
15:30 後片付け
17:00 帰宅後、今後の料理教室のレシピ考案
19:00 新しいレシピの研究を兼ねて夕食作り
20:00 翌日の準備をしてから就寝

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野菜ソムリエのやりがい、楽しさ

野菜のおいしさや魅力を多くの人に伝えること

普段何気なく手に取っている野菜ですが、選び方や保存方法、調理の仕方によって、さらにおいしく野菜を味わうことができます。

野菜の魅力を伝えることができたり、野菜嫌いの人に野菜がおいしいと思ってもらえたりするとき、何より喜びを感じる瞬間です。

また、野菜ソムリエは地域や社会、さまざまな分野で自らの知識と強みを生かして活躍します。

生産者や地域の人々の思いを、消費者に伝える橋渡し役ともいえ、野菜の魅力を伝えることで、普段はなかなかつながりを持つことができない生産者と知り合うことができるのも野菜ソムリエの魅力です。

さらに他の野菜ソムリエたちと情報交換・共有をしながら人脈を広げていけば、ますます活動範囲は広がるでしょう。

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野菜ソムリエのつらいこと、大変なこと

資格の生かし方は本人にゆだねられている

資格の生かし方は本人にゆだねられている

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野菜ソムリエに向いている人・適性

野菜が好きで食に関わった仕事がしたい人

野菜ソムリエの資格は、野菜や果物に興味のある人はもちろんですが、日々の生活でも役立つ資格なので、主婦にも人気のある資格です。

野菜・果物を通じて健康的な食生活を送りたいという気持ちさえあれば、どのような人でも野菜ソムリエの資格を取得することができます。

将来農業関係や食品関係に関わりたい人、調理師や管理栄養士など食に関わる仕事につきたい人にもおすすめです。

また、近年「食育」の大切さが見直されていることから、食の安全や教育に関心がある人、毎日の生活に知識を生かしたい人も向いているでしょう。

野菜に関することだけでなく、生産や流通に関わる勉強もあるので、野菜に関わるビジネスにチャレンジしたいという人にもぴったりです。

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野菜ソムリエ志望動機・目指すきっかけ

野菜・果物のことをもっと知りたいという思い

野菜ソムリエを目指す人の志望動機はさまざまですが、多くの人は「野菜や果物のことをもっと知りたい」「食に関してもっと学びたい」という好奇心から野菜ソムリエを目指しています。

野菜ソムリエを目指す場合、資格取得のために試験で志望動機が問われることはないため、志望動機について深く考える必要はあまりなく、興味関心のみで取得することも可能です。

ただ、「野菜ソムリエプロ」を目指す場合は、二次試験でプレゼンテーションや面接が求められますので、そこでは志望動機を問われることがあるようです。

なぜ野菜ソムリエになりたいのか、そして実際に野菜ソムリエの資格取得後に何をしたいのかは、しっかりと考えておく必要があるでしょう。

野菜ソムリエの雇用形態・働き方

働き方によって変わるライフスタイル

野菜ソムリエの働き方は、人によってさまざまです。

企業や団体に勤める場合は、基本的に各企業が定める勤務時間で働き、朝出社し夕方退社するというライフスタイルになります。

フリーランスで活動する場合は、仕事量や時間の使い方を自分でスケジューリングしながら働きます。

仕事によって流動的に働くため不規則な生活となりがちな一方で、自分の都合の良い時間だけ働くという働き方をすることもできます。

育児や家事の合間の、空いた時間だけ働くという主婦の野菜ソムリエも増えてきています。

また、サラリーマンや農家など本業を持ちながら、休みの日や夜などに働くという野菜ソムリエもおり、自分に合った働きかたをすることが可能です。

野菜ソムリエの勤務時間・休日・生活

働き方によって勤務時間や休日は変わってくる

野菜ソムリエの勤務時間や休日は、自身の働き方によって大きく異なります。

企業や団体に勤める場合は、基本的に週4~8日など規定された休日通りに休みます。

フリーランスで活動する場合は、自分で仕事量を調整しながら、自分で休みの日を決めます。

スケジュールを調整すれば自分の都合で休みを取ることはできますが、その反面仕事が忙しいと何日も休めない状況になることもあります。

ただ野菜ソムリエの資格を取得する人は、もともと野菜や果物など食に関する興味関心が強く、仕事とプライベートの境目がない場合もよくみられます。

休日でも、料理番組や雑誌をチェックしたり、スーパーで売られている野菜をチェックしたりと、野菜ソムリエの仕事が頭から離れないという人も多いです。

野菜ソムリエの求人・就職状況・需要

「資格があるだけ」で就職は難しい

野菜ソムリエの認知度が急速に高まり、野菜ソムリエの資格を取得している人は増えつつあります。

しかし、野菜ソムリエを優遇する求人はまだそれほど多くはありません。

野菜ソムリエは、野菜・果物のプロフェッショナルとしては認められますが、野菜ソムリエの資格がなければできない業務というものはありません

ただし野菜ソムリエは、食に関する仕事をする上で大きな「強み」となることは間違いありません。

野菜ソムリエの資格を取得し「こんな仕事をしたい」「こんな風に知識を生かしたい」という明確なビジョンがあり、それを言葉で伝えることができれば、面接ではおおいに有利となるでしょう。

野菜ソムリエの転職状況・未経験採用

社会人になってから野菜ソムリエを目指す人は多い

サラリーマンやOL、主婦など社会人を経験してから野菜ソムリエを目指す人は多いです。

また、何かしらの職につき、仕事をする上で「野菜ソムリエの資格が欲しい」と野菜ソムリエを目指す人もいます。

仕事を続けながらでも勉強はすることは十分できますし、認知度が高まっていることもあって年々受験希望者は増えています。

しかし、野菜ソムリエを取得したあとにどう生かすかは自分自身で、資格があるからといってすぐに就職できるものではありません。

「野菜ソムリエ」という求人はまだほとんどありませんので、自分がどのように働きたいのか明確なビジョンを持ったうえで受講しなくてはならないでしょう。

独学で野菜ソムリエの資格は取得できる?

独学では資格を取得できない

独学で野菜ソムリエの資格を取得したいと考える人も多いかもしれませんが、残念ながら、完全な独学で野菜ソムリエになることは不可能です。

資格を得るためには、日本野菜ソムリエ協会が主催する野菜ソムリエ講座を受けて、修了し、試験に合格する必要があります。

この試験は講座の受講生のみに受験資格が与えられることから、独学で野菜ソムリエになることはできません。

資格を得るためには養成講座の受講が必須ですが、単に野菜ソムリエに関連する勉強をしたい場合、あるいは養成講座で学んだ知識をさらに定着させたい場合などは、独学で勉強をすることもできます。

野菜ソムリエに関連する書籍がいくつも出版されているため、自分である程度の知識を身につけることは可能です。

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