宇宙飛行士の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
宇宙飛行士の平均年収・給料の統計データ
日本人が宇宙飛行士になるには、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が実施する宇宙飛行士選抜試験を受けて、JAXAに採用されることが、現状唯一の方法です。
宇宙飛行士の給料は、JAXAの職員給与規定が適用されるため、世の中の一般的な会社員の平均年収よりは高めとなっているものの、ほかの職業と比べて飛びぬけて高給というわけではありません。
宇宙飛行士というと、選ばれし人だけが就くことのできる憧れの職業ということもあって、何千万円ももらえると想像する人もいるかもしれませんが、経済面については一般的な水準といえます。
宇宙飛行士の平均年収・月収・ボーナス
JAXAは、組織形態としては国が運営する独立行政法人であるため、常勤職員の給料は、原則として内閣府などの公務員の給料に準じる形となります。
JAXA発表の資料によると、常勤職員の給料は864万円となっています。(平成30年)
→参考:国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の役職員の報酬・給与等について
宇宙飛行士は、JAXA常勤職員のなかの研究職に該当し、研究職の平均年収は869万円となっています。
なお、元宇宙飛行士の山崎直子さんは、ご自身の著書のなかで年収800万円、毛利衛さんも同じく年収1000万円ほどと記されていました。
やはり宇宙飛行士であっても、給与体系はほかの職員とほぼ同じであるようです。
宇宙飛行士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
宇宙飛行士の平均年収を800万円、ボーナスを月給の4ヵ月分とすると、平均月収は約50万円、ボーナスは約200万円という計算になります。
そこから社会保険料や年金、住民税、所得税などを差し引いた手取りは、独身者の場合で月額約38万円~40万円、ボーナスが約143万円です。
ただ、宇宙飛行士は、訓練などで世界各地を転々とするケースが多く、拘束時間が非常に長いため、お金があっても使う機会があまりないかもしれません。
宇宙飛行士の初任給はどれくらい?
JAXAの採用情報によれば、採用された職員の初任給は、最終学歴や社会人経験などによって決まるとされています。
たとえば、博士課程まで修了し、社会人経験が3年ある人の場合、初年度の年収は約622万円です。
世間一般の水準からすれば、初任給としては非常に高いほうですが、きわめて熾烈な採用争いや、求められる学歴や職歴の高さを考えると、それに見合った金額とはいえないかもしれません。
なお、JAXAの年収試算ホームページから、初年度の年収を概算で出すことが可能です。興味のある人は一度計算してみるとよいでしょう。
→参考:JAXA年収試算
宇宙飛行士の福利厚生の特徴は?
JAXAでは、独立行政法人らしく、公務員と同じように非常に手厚い福利厚生となっています。
住居手当や通勤手当などの各種手当や、産休や育休、介護休などの休暇制度が整っているのはいうまでもなく、科学技術企業年金基金や共済会など、独自の保障制度も各種用意されています。
独身寮や世帯向けの宿舎もありますし、スポーツクラブなども利用できるようです。
また、職員専用の「ほしのこ保育園」も施設内にあり、育児や子育てと仕事を両立できる環境が整備されています。
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宇宙飛行士の給料・年収の特徴
前職より給料が下がる人が多い
数百倍におよぶ競争を勝ち抜き、見事宇宙飛行士に選ばれた人の前職をみると、医師やパイロットをはじめ、研究者やエンジニアなど、高給を得られる職業に就いていた人が目立ちます。
このため、宇宙飛行士になったことで、むしろ給料としては下がったというケースも珍しくないようです。
宇宙飛行士に選ばれるだけのきわめて優秀なスキルがあれば、ほかの職業に就いていたほうが高収入が得られるとしても、何ら不思議ではないでしょう。
宇宙飛行士を目指す人は、少なくともお金を求めるわけではないようです。
宇宙滞在期間中は収入が倍増する
これだけ科学技術が発展した現代においても、宇宙空間はまだまだ人類にとって未知の領域であり、ほんの些細なミスやアクシデントが死に直結することもあります。
こうしたミッションの危険度の高さを考慮して、スペースシャトルやISS(国際宇宙ステーション)の滞在期間中の宇宙飛行士については、「宇宙飛行士手当」が支給されます。
この手当は、JAXA職員としての本給の10割程度であり、単純計算で収入は倍増することになります。
ただし、宇宙飛行士が実際に宇宙へのミッションを任命されるのは、生涯に数回、1回あたり半年~1年程度であり、収入が倍増する期間は限られています。
なお、宇宙空間でなくても、宇宙飛行士としての語学力やスキルが求められる訓練期間中については、その難易度に応じて2割~5割程度の宇宙飛行士手当が支給されます。
世界的にみても給与水準は同じ
宇宙飛行士というと、真っ先にNASA(アメリカ航空宇宙局)を思い浮かべる人も多いかもしれません。
アメリカ国籍がないと、NASAの宇宙飛行士になることはできませんが、参考までにNASAのアメリカ人宇宙飛行士の給料についてみると、年収は日本円で680万円~1050万円が相場とされています。
つまり、JAXA所属の宇宙飛行士と比べても収入はほぼ同水準であり、日本人宇宙飛行士だけがとくに待遇が低いというわけではないようです。
宇宙飛行士が収入を上げるためには?
宇宙飛行士が収入を上げる方法としては、JAXAに長年勤めて、管理職に昇進する方法が挙げられます。
50代前後になり、本部課長や本部部長クラスの役職に就くと、年収は1000万円以上に達するようです。
また、宇宙飛行士としてのキャリアを生かして、JAXA退職後に講演会を開催したり、宇宙飛行士としての体験を綴った著書を出版したりすることで収入を上げる方法も考えられます。