青年海外協力隊になるには? 合格するためには何が必要?
青年海外協力隊になるまでの道のり
まずは説明会・イベントに参加
青年海外協力隊は、「独立行政法人国際協力機構(JICA)」という組織によって運営される国際的なボランティアです。
JICAの国際ボランティア事業である「JICA海外協力隊」のなかに、青年海外協力隊が含まれています。
JICA海外協力隊は、大きく「一般案件」と「シニア案件」の2種類に分かれます。
どちらの案件も基本的に20歳~69歳の人が応募可能です。
ただし、一般案件は広い職種で応募できるのに対し、シニア案件は一定以上(実務経験15年以上など)の経験・技能等が求められます。
また、一般案件で派遣される隊員のうち、20歳から45歳までの人が「青年海外協力隊」と呼ばれます。
「青年海外協力隊になって、海外で活動したい」と思ったなら、まずはJICA主催の応募説明会やイベントに参加しましょう。
体験談やイベントは全国各地で行われており、会場によっては語学力アップの秘訣や、現役隊員から生中継で話を聞くなどの特別企画がある場合もあります。
青年海外協力隊を含む、JICA海外協力隊の募集職種はさまざまなので、まずは説明会で活動の理解を含め、自分に適した職種を探しましょう。
応募・選考プロセス
応募の意志が固まったら、JICA海外協力隊応募者用マイページへ登録します。
マイページでは、応募・選考プロセスの詳細を確認できます。
選考試験は一次・二次選考に加え、適性検査(Web版、自宅受験)が実施される予定です。
一次選考
人物審査、健康診査、語学力審査
二次選考
面接(職種によっては試験や作品の提出もあり)
この選考をパスした人のなかから合格者が決まります。
合格後には派遣前訓練を受けて、しっかりと準備を整えてから現地へ向かいます。
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青年海外協力隊の資格・難易度
職種によって求められるスキル・資格は異なる
青年海外協力隊になるには、特別な資格は必要ありません。
青年海外協力隊はJICA海外協力隊の一般案件に該当しますので、実務経験がなくても応募可能です。
ただし、実際にどのような知識・スキルが求められるかは職種や要請内容によって異なります。
JICA海外協力隊の職種は120ほどあり、文系学生や営業職の人が応募できる職種もあれば、看護師など免許が必要になる職種もあります。
応募する職種のイメージがわかない場合は、今後の進路や専門性につながるような職種を選び、その職種に応募するための準備をしておくことが推奨されています。
一定レベルの語学力は必要になる
海外協力隊の応募にあたって一定の語学力が求められます。
英語の場合は中学卒業程度レベルで、英検3級もしくはTOEICスコア330点です。
長期の海外協力隊に参加する場合は、派遣前に訓練が実施されます。
先に挙げた英語力の目安は、訓練で語学力を習得する素地があるかどうかを確認するためのものとなっているそうです。
応募時点では特別に高いレベルの英語力は必要ないものの、中学校英語に自信がない人は、自主的に復習しておくとよいでしょう。
また、英語以外の外国語を使う派遣先もありますが、要請によって求められるレベルはさまざまです。
詳しくは、JICA海外協力隊のWebサイトや説明会などで、事前に確認しておきましょう。
JICA海外協力隊公式Webサイト
青年海外協力隊に必要な資格は?(年齢・学歴・語学力)
青年海外協力隊員に合格するためには
青年海外協力隊に合格するためには十分な対策が必須
JICAの青年海外協力隊は、海外ボランティアや国際協力に関心がある若者から人気を集めています。
比較的知名度も高いため、簡単には合格できないという声も聞かれます。
最近はやや志望者が減りつつあるようですが、だからといって簡単に合格できるわけではありません。
定員割れを落としている要請でも不合格になる場合があるため、しっかりと目的意識をもって、選考に向けた対策をしておく必要があります。
知識・スキル・経験×熱意で合格が決まる
青年海外協力隊に合格するには、まず、自分がどのような活動をしたいのかをよく考えましょう。
JICA海外協力隊には約120もの仕事があります。
自分の知識・スキル・経験、そして得意なことや関心のある分野を洗い出して、自分らしさを存分に発揮できる要請に応募しましょう。
理系の知識、専門職としての社会人経験などが有利になりがちな青年海外協力隊ですが、特別な知識や資格を持たない文系の学生や営業職などの人でも、合格できる可能性は十分にあります。
最終的に重視されるのは、「熱意」です。
どれだけ素晴らしい知識や経験を持っていても、派遣先での活動は決して楽でないからこそ、熱意のない人が不合格になることは十分に考えられます。
目指す職種があれば、早めに準備をしておく
青年海外協力隊としてどうしてもやりたい仕事や目指す職種が決まっているのなら、早いうちに準備をしておきましょう。
青年海外協力隊の要請には、特別な経験や資格が必要とされない職種もありますが、関連する知識・スキルを持っていれば、やはり有利になります。
また、目指す職種によっては、特定の資格・免許が必須となるものもあります。
たとえば看護師や助産師、作業療法士、理学療法士などの職種は、それぞれの資格を持っていることが応募条件となる場合があるため、注意してください。
また、小学校での教員補助活動では教職課程を修了していると選考で有利になったり、スポーツ指導では一定の実務経験がある人のみ応募できたりするなどのケースもあります。
コミュニティ活性化といった仕事でも、大学で人間科学や国際関係学を専攻していた経歴が有利にはたらく場合があります。
青年海外協力隊としてどうしても携わりたい活動があれば、応募を決めた時点から大学で関連課目を履修したり、独自に勉強するとよいでしょう。
説明会やイベントには積極的に参加する
応募したい職種が決まったら、どうして青年海外協力隊員になりたいのか、またなぜその職種を選んだのか、しっかりと動機付けを考えることが重要です。
青年海外協力隊の応募用紙には、ボランティア活動に参加する動機や豊富、目標、その職種にどう貢献できるのかを書く項目があります。
ここではっきりと自分の意思をアピールしましょう。
また、ボランティアから帰国した人の体験談や報告書などを読んでどう思ったか、という項目もあります。
インターネットで実際に隊員として活動した人の体験談を読んだり、JICAの説明会やイベントへ積極的に参加して、元隊員の生の声を聞いておくことも役立つでしょう。
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青年海外協力隊になるための学校の種類
青年海外協力隊への応募にあたって、学歴制限はありません。
「20歳以上(応募締切日時点で19歳でも応募が可能な場合あり)」という条件を満たしていれば、どのような学歴であっても応募はできます。
ただし、「看護師」や「小学校教諭免許」のような特別な資格・免許が必要となる要請に応募したい場合には、それらを取得できる大学や専門学校などで勉強しなくてはなりません。
資格・免許がいらない要請であれば、文系・理系問わず、いろいろな学校で学んだ人が応募できるものもあります。
JICAの海外協力隊には、個々の知識・技能・スキルを生かせる職種がたくさんあります。
自分が本当に学びたいことを学べる学校で専門性を身につけておくと、協力隊でも自分の力を生かしやすくなるはずです。
語学力は高いに越したことはありませんので、語学をまじめに勉強しておくのもよいでしょう。
青年海外協力隊に向いている人
国際的な協力に関心があること
青年海外協力隊は、海外のなかでも、さまざまな課題を抱える国に派遣されて活動します。
日本とはまったく違う価値観や文化のなかで生きる人の暮らしをよりよいものにしていくという、大事な役割を担います。
海外協力隊はあくまでもボランティアの活動なので、いくらがんばっても高い給料がもらえるわけではありません。
だからこそ、とにかく「国際的な協力をしたい、世界で困っている人の力になりたい」という強い熱意がある人に向いています。
環境に適応できること
グローバル化が進んでいるとはいっても、海外で2年間暮らすのは大変なことです。
ましてや青年海外協力隊の場合、発展途上国で慣れない言語を使いながら現地の人と働くという条件が重なります。
途上国は、日本ほど衛生環境がよくない場合が多く、インターネット環境もまともに整っていないような地域もあります。
また、現地の人たちは仕事の進め方も生活習慣もまったく異なります。
そういった不便や違いに耐えられる人、むしろそういった普段では体験できない環境を楽しめる人が、協力隊員に向いているといえます。
青年海外協力隊のキャリアプラン・キャリアパス
派遣前には訓練が実施される
青年海外協力隊に応募し合格すると、派遣前の訓練を受けることになります。
長期参加の場合、訓練期間は70日間の合宿制で行われます。
訓練内容は少人数の「語学訓練」、テロなどを想定した「安全管理」、異文化に対応するための「国際理解」、現地の課題を見つけて改善する力を得る「地域実践」などが中心です。
とくに語学訓練の時間が多く設けられていますので、現地で生活するのに最低限必要な語学力は、ここでしっかり身につけることが重要です。
基本的に派遣前研修終了から2週間ほど後が派遣開始日となります。
現職を辞めての参加を希望している人は、応募から派遣決定までのスケジュールをしっかりと把握し、現在の職場に迷惑がかからないよう、注意をする必要があります。
また、大学を休学しての参加を考えている人は、休学届けを出すタイミング、単位取得のタイミングなどをよく考えましょう。
帰国後の進路は進学・就職など人によってさまざま
青年海外協力隊は、長期派遣であれば、基本的に任期は2年です。
任期が終わって帰国してからは、おのおのの希望の道へ進むことになります。
大学などにあらためて進学・復学する人もいれば、民間企業や公務員へ就職する人、あるいは起業する人など、さまざまなケースがあります。
JICAでも帰国後の進路に関する相談や支援を行っていますので、心配な人はぜひ活用するとよいでしょう。
青年海外協力隊を目指せる年齢は?
青年海外協力隊には、20歳~45歳の人が応募できます。
また、JICA海外協力隊の一般案件全体では、20歳~69歳が応募可能です。
体がバリバリ動いて健康であれば、幅広い年代の人にとってJICA海外協力隊で活動できるチャンスを得られます。
ただし、慣れない土地での生活は思っている以上に心身ともに負担がかかります。
できるだけ若いうちのほうが、海外生活に順応しやすいかもしれません。
職種選びの方法とポイント
青年海外協力隊の職種選びをするときは、まず自分のこれまでの経験を振り返り、身につけた知識・スキルがどんな仕事に生かせるか考えてみましょう。
たとえば、以下のようなポイントが考えられます。
- 高校や大学で学んだこと
- 得意な科目
- アルバイトや部活動、ボランティア活動で得たスキル
- とくに興味・関心のある課題
- 特技
など、さまざまな角度から考えてみると、自分に合う仕事を見つけやすいはずです。
青年海外協力隊の活動先となる発展途上国は、多岐にわたる課題を抱えています。
すでに社会人経験がある人は、営業力、マーケティング力、指導力、企画力など、とくに自信のあるスキルを生かせる職種から探していくのもおすすめです。
また、看護師や助産師、教員、獣医師など、専門的な資格・免許を持っている場合は、それを生かせる職種に応募することも可能です。