産業カウンセラーに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
産業カウンセラーに向いている性格・適性
人の悩みに寄り添うことができる人
産業カウンセラーは、その名称からも想像できるかもしれませんが「カウンセラー」の一種です。
カウンセリングでは、相談者と1対1で向き合い、相手の抱えている悩みや不安を引き出します。
相手は産業カウンセラーの表情や仕草、相槌といった一つひとつにも敏感に反応するため、心の底から相手に共感する気持ちが必須です。
もし上から目線で対応したり、話をつまらなさそうに聞いていれば、相談者はカウンセラーに不信感を抱き、本当に言いたいことが言いづらくなってしまうでしょう。
そうなれば、カウンセリングを成功に導いていくのは難しいです。
こうしたことからも、産業カウンセラーは困っている人や悩んでいる人を本気で助けたいと思えるような人に、向いている職業だといえるでしょう。
客観性と信念をもって仕事に向き合える人
産業カウンセラーのもとに寄せられる相談には、社内における上司からのパワハラや男性社員からのセクハラのような問題も含まれます。
組織としては、このような問題はできるだけ表沙汰にしたくないですし、できればなかったことにしたいと考えているようなケースもあります。
こうした状況の中で、産業カウンセラーが相談者に寄り添って誰もが納得できるような問題解決の道を示すというのはとても難しいことです。
ときには板挟みになり、自分がどのような立場に立てばよいのかわからなくなることもあるかもしれません。
そんなとき、正しい解決方法を探るためには、客観的かつ冷静な視点を忘れずに、専門家としての立場で物事を考えていくことが大切です。
私情を一切挟まずにカウンセリングをするのは、じつは決して簡単なことではありません。
社会に興味を持てる人
産業カウンセラーの活躍の場は、「産業」を取り巻く労働の現場です。
この仕事をするには世の中にどのような仕事があり、企業があり、組織があるのかをよく知っていることが大切ですし、雇用の動向や問題についても学び続けなければいけません。
社会に対して興味や関心があり、そこで自分なりの関わり方を見つけていきたいという意欲がある人が活躍できる仕事です。
20代で正社員への就職・転職
産業カウンセラーに必要なスキル・能力
「傾聴」のスキル
産業カウンセラーは、たくさんの人から相談を受けます。
企業の経営者、ビジネスパーソン、派遣社員のOL、人事担当者など、さまざまな立場の人が悩みや課題を解決するために産業カウンセラーのもとを訪れます。
彼らに共通するのは「自分の話を聞いてほしい」という思いです。
ですから産業カウンセラーは、まずしっかり耳を傾けて、相談者がどんなことを望んでいるのかを聞き出します。
これは、専門用語でいう「傾聴」というプロセスで、カウンセリングをおこなう上でもとくに大切です。
この「傾聴」を丁寧に行えるような、聞き上手で包容力のある人は、産業カウンセラーに向いているといえるでしょう。
もちろん、傾聴のスキルは産業カウンセラーになるための養成講座や学校などで勉強できるため、現時点で専門的なスキルがなくても問題はありません。
メンタルヘルスの専門知識
産業カウンセラーは、働く人のストレスケアや悩みの解決方法、つまりは「メンタルヘルス」の正しい専門知識を習得しておく必要があります。
職場で起こりやすい問題やトラブルの例も理解し、相談者本人がストレスをうまく解消させていけるようにサポートします。
また、ときには同僚や上司・部下との上手なコミュニケーションの取り方をアドバイスしたり、会社に対して従業員がより働きやすい職場環境づくりを提案したりすることもあります。
傾聴を含めたカウンセリング技術を修得すると同時に、勉強をしてたくさんの専門知識を身につけることが大切です。
産業カウンセラーに向いていないのはどんな人?
繰り返しになりますが、産業カウンセラーは「労働の現場」で起こりうる問題に対して心理学的なアプローチで解決していく仕事です。
産業カウンセラーが相談を受ける対象者は、会社で働く従業員や経営者が中心で、相談内容も職場での問題や仕事に対する悩み・不安などが主となります。
カウンセラーにもさまざまな種類があるため、本当に働く人を対象としたカウンセリングがしたいのかを、よく考えておくべきでしょう。
たとえば教育現場で学生を対象にする「スクールカウンセラー」、医療や福祉の場で精神面の障害や高齢の人を対象にする「ソーシャルワーカー」などの職業もあります。
また、働く人を対象にする場合でも、「人の生き方」や「キャリアに関するカウンセリングを専門におこなう「キャリアコンサルタント(キャリアカウンセラー)」という職業もあります。
産業カウンセラーのように「産業領域」を専門にするということは、それに関する高度な専門知識が求められます。
もし、その領域にさほど興味がもてないのであれば、別の領域で活躍するカウンセラーにも目を向けてみるとよいでしょう。