左官のやりがい・楽しさ・魅力
左官のやりがい・楽しさ
自分の手掛けた仕事が形になる
左官の仕事の楽しさは、なんといっても、自分の手掛けた仕事がすべて目に見えることです。
漆喰(しっくい)壁や珪藻土壁では、自分の鏝(こて)の最後の一動作まで、はっきりと模様となって壁に表れます。
左官の技巧次第で、壁の仕上がりの良しあしが変わってしまうのです。
左官が塗った壁は、その家で暮らす人々の生活や街の風景を彩り、長い年月にわたって残り続けます。
それだけに、左官には大きな責任がともないますし、自分の手掛けた仕事に何の言い訳もごまかしもききません。
そんなシビアな世界で勝負する左官だからこそ、仕事から得られるやりがいもまた非常に大きく、納得のいく仕事ができたときの達成感は格別といえるでしょう。
ひとつの道を極めていく面白さ
左官は、非常に高度な技術が求められる専門職であり、一人前になるまでにはおよそ10年かかるとされています。
一人前となってからも職人としての修業に終わりはなく、左官技術の探求の日々は、一生涯にわたって続きます。
そんな左官の仕事には、ひとつの道を極めるという、いうなれば「求道者(ぐどうしゃ)」としての面白さとやりがいがあるといえるでしょう。
長い時間を積み重ねて超一流となった左官のなかには、単なる建築施工のレベルを超えて、その作品が芸術として認められ、国内外に広く名声をとどろかせている人もいます。
左官に限った話ではありませんが、世間一般で職人と呼ばれる職業は、果てしない高みを目指して腕前を磨き続けること自体が、仕事へ取り組むモチベーションとなっています。
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左官の魅力
一生モノの技術を身につけられる
左官は、一人前になるまでに長い時間がかかるものの、身についた技術は生涯有効です。
左官が手掛ける自然素材の壁は、人の手による温かみと美しさ、そして吸湿性などの機能を兼ね備えた「高付加価値商品」であり、根強い需要があります。
しかし、左官の数は減少し続けていて、腕のよい職人は、全国各地どこでも引く手あまたとなっています。
左官は、手に職をつけたいという人にとっては、うってつけの仕事といえるでしょう。
見習いの時期はつらく厳しいですが、それを乗り越えさえすれば、一生続けていける仕事です。
技術の研鑽に励み続ければ、平均的なサラリーマンよりもはるかに高い収入を得ることもできるかもしれません。
自分のセンスを発揮できる
建築業界には、左官のほかにも大工や鳶(とび)職人など、さまざまな職種があり、それぞれちがった形でものづくりにたずさわっています。
それらの仕事は、「仕様や設計に基づいて、定められた規格のものをつくる」という作業がほとんどです。
大工や鳶(とび)職人の仕事は、自身が工夫したり、オリジナリティを発揮できる余地は少ないでしょう。
一方、左官の仕事は、使う塗料や施工する場所などはあらかじめ決まっているものの、デザインはそれぞれの職人にゆだねられています。
このため、自身のセンスや自分らしさを発揮して仕事しやすい点が、左官の魅力といえます。
世の中には数え切れないほどの仕事がありますが、自分らしさを表現できる職業は決して多くはありません。
「自己表現」というキーワードにひかれる人は、左官として楽しく働けるでしょう。