左官の道具にはどんなものがある?

左官の道具にはどんなものがある?

左官が使う道具には、「鏝(こて)」と「鏝板」をはじめとしてさまざまな種類の道具があります。

たとえば、塗りに関する道具は、「刷毛」「竹ぼうき」「スポンジ」「ローラー」などです。

左官仕事は非常に繊細で、材料を薄く塗りすぎると乾いたときに下地が露出したり、厚く塗りすぎるとひび割れを起こします。

左官職人はそれぞれのジャンルごとに使い慣れた自分専用の道具をもっていて、職人同士で道具類を貸し借りすることはありません。

どんなときでも精度の高い仕事ができるよう、左官職人はそれぞれの道具に対して、強いこだわりと愛着を持っています。

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左官の代表的な道具

鏝(こて)

鏝は、左官業における最も代表的な道具であり、職人にとって生命線といえるものです。

鉄製、ステンレス製、木製、ゴム製、プラスチック製など、さまざまな材質のものがあり、その形状も、先の尖ったものや丸いもの、四角いもの、長細いもの、くしの入ったものなど、バラエティに富んでいます。

鏝の種類は数えればきりがありません。

代表的な鏝は、漆喰やモルタルを塗りひろげる際に使用する「中塗り鏝」や「仕上げ鏝」でしょう。

手の届きにくい所を塗ったり、細かい細工をするときは、鏝首と呼ばれる持ち手が根本についている「柳葉鏝」や「鶴首鏝」を使います。

また、壁を施工する場合に使うのは桃型の「レンガ鏝」や三角形の「ブロック鏝」など、床を施工するときに使うのは、角型で厚みのある「土間鏝」です。

左官職人は、数十本単位で数種類の鏝を持っていて、塗る材料や作業か所、工程などに応じて鏝を使い分けています。

鏝板

鏝板は、適量の材料をすくい取って鏝で塗るために手元に盛る道具です。

油絵や水彩画を描く際、絵の具を乗せるパレットが欠かせないのと同じように、左官職人にとって鏝板は欠かすことのできない大事な道具です。

木製のものが一般的ですが、軽量で扱いやすいプラスチック製や、耐久性に優れたステンレス製のものもあります。

トロフネ

トロフネは、名前の通り、ちょうど舟のような形のプラスチック製の四角形の容器です。

セメントやコンクリートなどを練るときに用いられ、「練り鍬(クワ)」と呼ばれる専用の道具とセットになっています。

バケツで代用するときもありますが、トロフネを使えば、大量の材料を効率よく均等に混ぜ合わせることができます。

なお、近年は職人の負担を軽減するために、機械式のミキサーを導入している企業もあるようです。

ローラー

左官が使うローラーは、平面ではなく、スタンプのようなデコボコが付いています。

表面が乾燥する前の壁にローラーを転がすと、伝統的なパターンからレンガ調や木目調まで、さまざまな表情がつきます。

転がして使うだけとはいえ、継ぎ目などが目立たないよう自然な模様にするためには、熟練の技術が必要とされるでしょう。

トンボ

コンクリートなどを平らに仕上げるための「土間打ち」という作業に用いられる道具が「トンボ」です。

昆虫のトンボのような形をしていることから、この名前がつけられました。

丈夫で軽いアルミ製のものが主流で、スクリードと呼ばれることもあります。

土間打ち道具には、ほかにも土間鏝やレーキ、タンパー、平面鍬、土間引きブラシなどがあり、なかには電動式のものもあります。