パタンナーの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
本記事では、パタンナーの業務内容やその役割、勤務先などを紹介します。
パタンナーの仕事とは
ファッション・アパレル業界で作られる最終的な服飾製品は立体物です。
ですが、それを最初に企画する段階では紙の上に描く平面のデザインでしかありません。
平面で企画・デザインされたものから立体の洋服を作るときには、衣装の型を書いた型紙が必要となります。
その型紙を作り、さらに実際の量産製品にするための作業全般を担当するのが、パタンナーです。
20代で正社員への就職・転職
パタンナーの業務の流れ
サンプル制作
ファッションデザイナーは、紙など平面の上でデザインをおこします。
そのデザイン画から最初に作られる型紙のことを「ファーストパターン」といいます。
ファーストパターンは企画の第一段階でもあるため、とても重要な作業です。
ここでの認識のズレなどは製品の出来に大きく影響を及ぼすため、キャリアの長いパタンナーやパターン専門業者などが担当します。
こうしてできたファーストパターンから作られる試作品がサンプルと呼ばれます。
サンプルのチェック
サンプルは、主に展示会や営業マンなどによるプレゼンのためにつくられます。
新商品の企画を伝えるために作られるものなので、コンセプトを的確に表現する能力が求められます。
デザイナーが意図していることが型紙になり、そしてサンプル品にもそれが反映されているかどうかをチェックするのもパタンナーの仕事です。
パターンの作製
無事に企画が通ったらいよいよ製品が量産段階に入り、最終的な量産に使用される型紙(工業パターン)を作製します。
工業パターンは標準的なサイズでのみ作製されますが、実際の製品は大きいものから小さなものまで、多くのサイズ展開をします。
標準的なサイズで作製されたパターンから各種サイズ用のものを作製することを「グレーディング」といいます。
近年ではコンピューター(アパレルCAD)の普及が進んでいるので、CADシステムを使ってグレーディングを行うことがほとんどです。
製図に必要な道具
パタンナーがパターンを引いていくときに必須とされるのが、以下の道具です。
- 定規(方眼定規、カーブ定規、直角定規など)
- テープメジャー(テープ状になっているものさし)
- 鉛筆
- ホルダー(鉛筆の芯を入れて使用する筆記具)
- 重り
- カッター
- ハサミ(糸切り用、布切り用、紙切り用)
- リッパー(ミシン目をほどく際に使用)
- ヤスリ
- チャコ(布などに印をつける為に使用)
ただし現代のパターン製作現場では、「CAD」というソフトの利用が増え、定規も鉛筆も使う機会が減ってきています。
小さなアパレル会社では手書きのほうがやりやすいという理由から、いまだにアナログでの作業を好むパタンナーもいます。
さまざまな道具の使い方を理解したうえで、必要に応じてCADも使えるパタンナーになれば、仕事の幅は広がるでしょう。
パタンナーの役割
型紙の制作
パタンナーの一番の役割は型紙製作です。
デザイナーが描いた企画をいかにして形にするか、その命運を握る大切な作業です。
現在はCADで仕事ができることからもわかるように、その作業内容は建築や工業の製図に似ています。
型紙の製作には、素材や縫い代などの詳細な指示も含まれるので、型紙だけでなくファッション・アパレル全般の知識が求められます。
企画会議と進捗管理
ものづくりの現場は、打ち合わせや会議の連続です。
それぞれの持ち場を担当する人同士で共有しなければならない情報が多く、ときには会議が深夜に及ぶこともあります。
企画会議では企画内容のすり合わせだけでなく、それぞれの企画やプロジェクトがどの程度まで進んでいるのかという進捗管理も含まれます。
納期がある仕事なので、進捗管理もパタンナーの腕の見せ所です。
市場調査・資料集め
流行に敏感になることは、パタンナーだけでなくアパレル系職種全般に求められる資質です。
ときには百貨店やファッションビルなどを見て回り、どんなコーディネートがディスプレイされているか、来店客はどんな商品に興味を持っているかという現場を実際に見ることも大切な仕事です。
20代で正社員への就職・転職
パタンナーの勤務先の種類
パタンナーが活躍する場所は、パターン製作をしているアパレル等の企業です。
- アパレルメーカー
- ファッション系のデザイン会社
- 縫製工場
レディースからメンズ、子供服までアパレルメーカーの種類は幅広く、服装の種類もさまざまです。
フォーマルからカジュアル、スポーツブランドなど、一口にパタンナーといっても就職するメーカーによって担当する仕事が大きく異なります。
規模は大手から個人経営まで幅広く、近年では日本国内でデザインされたものを中国や東南アジアの工場で製品化するところも少なくないので、海外の現地工場に勤務するパタンナーもいます。
パタンナーと関連した職業
パタンナーと似た仕事にデザイナーがあります。
デザイナーはデザインを専門に担当し、パタンナーは型紙を作る仕事を専門に行いますが、両者は共同で作業を進めます。
パタンナーはデザイナーの考えていることを型紙に具現化していきますが、それにはデザイナーの意図を正確に理解することが必要です。
着心地やシルエットなども考えて作成することが必要であり、ちょっとしたズレでデザインが変わってきてしまうので精度の高さも求められます。
デザイナーがどれだけ素晴らしい製品を企画しても、それを実際の形にするのはパタンナーですので、最終的な製品の善し悪しはパタンナーの技術次第と言われるほど、ファッション・アパレル業界では重要な職種です。
パタンナーによって服の出来が変わってくるため、技術力のあるパタンナーは業界で引く手あまたです。
パタンナーの仕事内容のまとめ
平面で企画・デザインされたものから型紙を起こし、さらに実際の量産製品にするための作業全般を担当するのがパタンナーです。
その作業内容は建築や工業の製図に似ています。
手書きで型紙を起こすパタンナーもいますが、必要に応じてCADも使えるパタンナーになれば仕事の幅は広がるでしょう。
パタンナーはアパレルメーカーやデザイン会社、縫製工場などで活躍していますが、国内のみならず海外の現地工場で働く人もいます。
似た職業のデザイナーとは共同で作業を進めます。
最終的な製品の善し悪しはパタンナーの技術次第ともいわれるこの世界では、デザイナーの意図を正確に汲むことができるパタンナーは引く手あまたです。