女性の自動車整備士のキャリアパス・結婚後の生活

女性の自動車整備士の現状

女性でも整備士になれる?

男性に車好きな人が多いせいか、自動車整備士について、世間一般では「男性の仕事」というイメージを抱く人が少なからず存在します。

しかし、整備の現場では女性の自動車整備士も多く活躍しており、女性だからできない仕事ではありません。

とくに近年はコンピュータや機械を使って整備できる部分も増えているため、昔ほどの不安はいらないといわれています。

自動車整備士を目指す若い女性も毎年一定数おり、昨今は女性整備士向けのコースを用意した整備士学校や、女性寮やメイクルームなど女性のための施設を用意した学校も増えてきています。

そのような学校に通えば、同じ夢をもつ女性の同級生たちと一緒に、整備について学べるでしょう。

女性整備士の現状データ

一般財団法人日本自動車整備振興会連合会が公表する「平成30年度 自動車分解整備業実態調査結果の概要について」において、総整備士数(有資格者)は338,438 人、うち女性整備士10,605人となっており、女性の占める割合は「3.1%」となっています。

ここ近年は緩やかに女性整備士の数が増加している傾向です(ただし直近の平成30年度は女性整備士が若干減少)。

とはいっても、女性の割合は3.1%とまだまだ少なく、その大半は男性の整備士が占めています。

職場は男性がほとんど、女性整備士はいても1~2人というパターンが一般的でしょう。

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女性の自動車整備士の強み・弱み

女性整備士の強み

自動車の整備には、丁寧で確実な作業が求められます。

とくに、エンジン分解などの複雑な作業においては、細心の注意を払い一つひとつの作業を丁寧に行う必要があります。

したがって、大雑把な性格の人は不向きであり、丁寧で慎重な女性ならではの性格が生きやすいです。

女性は手足が細いため、狭い箇所の整備が行いやすいという強みもあります。

また、一般的に男性よりも女性の方がコミュニケーション力や気配りに長けているといわれます。

整備士の仕事は、お客さまとのやり取りをしたり、同僚整備士と協力し作業をすることもあるため、そのようなコミュニケーションの面で女性は男性よりも力を発揮しやすいでしょう。

加えて男性が圧倒的に多い業界であることから、女性の整備士というだけで、お客さまから親近感を持たれたり、職場の人間から喜ばれることもあるでしょう。

女性整備士の弱み

整備の現場は女性には不向きな部分も多く、次のようなことが弱みとなることがあります。

<女性整備士ならではの弱み>
・整備士は重いパーツを運んだりすることも多いため、女性は身体的に不利になりやすい
・真夏の蒸し暑さや真冬の極寒の中で長時間の作業をすることもあり、体力が問われる
・オイルなどで顔や手足が汚れるのは日常茶飯事、見た目を気にしていられない
・男性中心の職場のため、女性用トイレや更衣室が用意されていない職場もある
など

最も大きな壁となってくるのは、身体的・体力的な面です。

なかには男性顔負けの筋力や持久力をもつ女性もいますが、多くの女性は、男性から比べると体力的に劣るのが一般的です。

自動車整備学校にも女性の学生が入学しますが、現実を知って途中で挫折してしまう人もいるようです。

男性であっても体力を要する決して楽な仕事ではないため、女性の場合は、入社前に身体を鍛え基礎体力を高めておくことも必要になってくるでしょう。

女性の自動車整備士の結婚後の働き方・雇用形態

女性の整備しは、結婚や出産後も継続して仕事を続ける人もいますが、そのまま家庭に入り、整備士の仕事には復職しない人もいます。

というのも、自動車整備士の仕事柄、家事や育児と両立が難しい部分が多いことが挙げられます。

とくに個人の整備工場や小さな町工場などでは「育児支援」や「復職支援」など、家庭をもつ女性向けの制度が十分に用意されていない職場も多いです。

そのようなことから、結婚や出産を機に辞めていく女性整備士も一定数いるようです。

しかし昨今は、国を挙げての女性整備士確保に向けた対策も進んでいるため、以前に比べると少しずつ女性の働きやすい環境が整ってきています(詳細は後述します)。

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女性の自動車整備士は子育てしながら働ける?

女性整備士が子育てをしながら働く上で、次のような部分が課題となってきます。

<子育てをしながら働く上での課題>
・日頃から体力を使う仕事であるため、家事や子育てとの両立は肉体的にハードになる
・残業は1日1~2時間が平均的。帰宅時間が19時以降になることもあるため、場合によっては子どもを託児所などに預ける必要がある
・サービス業でもあるため土日・祝日は出勤が基本であり、子どもの学校の休みと合わせにくい
・育児支援、復職支援、時短勤務など、女性向けの制度がまだまだ充実していない
など

なお国土交通省が公表する「自動車整備業における女性が働きやすい環境づくりのためのガイドラインを策定しました!!」内のアンケート結果によれば、健康上の理由や出産・介護等により長期休職に入った女性整備士のうち約20%は、「体力的に厳しいと感じた」といった理由で復職を断念しているようです。

もちろん子育てと両立しながら、整備士として第一線で活躍している女性もいますが、両立する上での課題も多い職業であることは頭に入れておく必要があるでしょう。

女性も働きやすい環境づくりが進んでいる

昨今は、日本全体で自動車整備士不足が深刻化しており、女性人材の手も借りたい状況です。

平成26年には国土交通省により「自動車整備人材の確保・育成に関する検討会」が設立され、国と整備事業者とが一体となった人材確保のための対策を進めており、そのなかには女性整備士を確保するための対策も盛り込まれています。

<女性整備士確保のための対策>
・女性も使いやすい工具・機器の調査(国土交通省、業界団体)
・シフト制等による希望に応じた勤務時間・休日の確保(整備事業者)
・比較的簡易なものから工場内の環境改善の実施(整備事業者)
・女性も作業しやすい設備・機器等の環境整備(整備事業者)
出典:国土交通省「自動車整備業における女性が働きやすい環境づくりのためのガイドラインを策定しました!!」

このように、業界を挙げての女性でも働きやすい環境づくりが進んでいるため、今後はまた事情が変わってくるかもしれません。

自動車整備士は女性が一生働ける仕事?

自動車整備士は、ファッションモデルのように若い女性としての見た目や感性が必要となる職業ではなく、腕や技術こそが重要です。

したがって、経験を積めば手に職となり、長い間続けやすい職種といえます。

また整備士資格を取得すれば、将来的に自営業者として、整備工場を運営するなどの道も切り開けてもきます。

ただし、注意したいのは身体的な面です。

整備士は重い部品を運んだり、冷暖房の完備されていない整備場で長時間作業したりと、身体的にハードな側面があります。

50代、60代と年齢が高まってくると、とくに女性の場合は体力的に追いつかなくなることも増えてくるため、長く続けるには日ごろから身体づくりや体調管理を心掛ける必要がでてくるでしょう。