自動車整備士3級の難易度・受験資格
3級整備士試験の概要と試験形態
「自動車整備士試験(自動車整備士技能検定)」は、国土交通省が実施する整備士向けの試験であり、1級・2級・3級・特殊整備士の大きく4つに区分されます。
3級整備士試験は、その中では最も難易度的に低い、エントリークラスの資格試験です。
3級整備士試験は「学科試験(記述式)」+「実技試験」の2段構成となっており、両方の試験に合格すると、晴れて3級自動車整備士の資格取得となります。
なお、実技試験に関しては、以下2つのいずれか方法で免除することが可能です。
<3級整備士試験の実技試験免除方法>
1.国土交通大臣が「1種養成施設」として指定している自動車整備学校(基本的には工業高校の自動車科)に進学し、「3整備士養成課程」を受講し卒業する
2.実務経験を積んだ上で、国土交通大臣が指定する「2種養成施設」で免除講習を受ける
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3級自動車整備士の難易度
学科試験の難易度
まず3級整備士の学科試験を受験するにあたって、目安として高校1年生程度の基礎学力・基礎知識が必要になってきます。
学科試験の勉強は「独学」も可能であり、市販の教科書(参考書)、過去問題集などを利用して勉強していく形となります。
学習方法としては、これまで自動車や整備についてまったく学んだことがない人の場合は、時間は掛かりますが教科書をベースにじっくりと理解していく、教科書型の学習方法が向いているといわれています。
一方で、すでにある程度の基礎知識がある人の場合は、過去問題集を使った反復学習で、効率化を図る方法もあります。
もちろん時間があるのであれば、教科書と過去問題集両方を使って勉強するのがベストです。
3級整備士試験の学科試験の合格率は、例年50%~60%で推移しており、約2人に1人が不合格となっている状況です。
ただし3級整備士試験は、仕事をしながらであまり勉強時間を設けらないまま受験する人や、とりあえず受験するような人も多いため、合格率の数字だけでは判断できない部分もあります。
一般的な基礎学力がある人が、相応の勉強時間を取れれば、独学でも十分合格できるレベルの難易度といえるでしょう。
実技試験の難易度
実技試験では、点検や分解作業などの実技的な試験が行われます。
<3級整備士試験の実技試験の内容>
1.簡単な基本工作
2.分解、組立て、簡単な点検及び調整
3.簡単な修理
4.簡単な整備用の試験機、計量器及び工具の取扱い
出典:国土交通省 自動車整備士技能検定「試験の内容について」より
試験内容として国土交通省より事前に公表されているのは上記の内容のみであり、具体的にどのような実技試験が行われるかは、試験当日になってみないとわかりません。
「問題の内容自体が分かりにくい」「普段使わない工具を使う問題が出ると難しい」「試験なので緊張する」などの理由から、日々整備の現場で働いている人であってもうまくいかずに不合格となることも多いようです。
当日にならないと試験内容がわからない分、日頃から幅広い整備の経験を積み、臨機応変に対応できる技術を磨いておく必要があります。
なお、どうしても合格が難しい場合は、国土交通大臣が指定する「2種養成施設」で免除講習を受け、実技試験を免除してしまうのも一つの方法でしょう。
3級整備士試験の受験資格
3級整備士試験は、誰でもすぐに受験できる試験ではなく、受験するには「受験資格」を得る必要があります。
受験資格を得る方法としては、「1.学校に通う」「2.実務経験を積む」の大きく2パターンあります。
学校に通う
国土交通大臣が「1種養成施設」として指定している自動車整備学校(大学・短大・専門学校・工業高校など)に進学し、「3級養成課程」を受講すると、卒業時に3級整備士試験の受験資格が得られ、かつ実技試験が免除となります。
最短コースとしては、中学卒業後に工業高校の自動車科などに進学し、3級養成課程を受講すると、高校卒業の段階で3級整備士試験の受験資格が得られることになります。
なお、3級養成課程を用意している学校のほとんどは工業高校の自動車科です。
大学・短大・専門学校の場合は、さらに上位の2級養成課程や1級養成課程を用意している形となります。
大学・短大・専門学校に通うのであれば、2級養成課程や1級養成課程に進むのが基本であり、たとえば2級養成課程に進むと卒業時に2級整備士試験の受験資格が得られますので、下位となる3級整備士試験を受験する必要はなくなります。
実務経験を積む
未経験のまま整備現場で働き、1年以上の実務経験を積むと、3級整備士試験の試験資格が得られます。
ただし実務経験で受験する場合は、学校に通った場合のように実技試験は免除になりません。
なお、3級整備士試験に合格し、その後3年以上の実務経験を積むと、2級整備士試験の受験資格が得られます。
さらに2級整備士試験に合格し、その後再び3年以上の実務経験を積むと、最終的に1級整備士試験の受験資格も得られます。
時間は掛かりますが、学校には一切通わずに、実務経験のみで3級→2級→1級まで目指すことも可能となっています。