配管工の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
配管工の仕事とは
配管工は、住宅や店舗、ビルなど、さまざまな建築物における「配管工事」を手掛ける建設関係の技術職です。
わたしたちが建物の中で水やガスを使うためには、建物の外にある公共配管から屋内の各種設備まで、給水管や排水管、ガス管などを引き込んでくることが必要になります。
配管工は、私たちが安全かつ安心に各種インフラを使用できるよう、そうした引込工事や接続工事、設備設置工事を専門的に手掛けています。
また、配管を新設するだけでなく、老朽化した既存配管を修理したり、不具合が生じないよう定期的に点検するなど、配管のメンテナンスを行うことも配管工の重要な仕事の一部です。
なお、こうした業務には専門的な技術と知識が必要になるため、実際に配管工事を手掛けるのは、ある程度キャリアを積んでからです。
新人や若手の配管工は、掘削作業や埋戻し作業、資材の運搬作業などがおもな仕事になります。
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配管工の業務の内容
配管新設業務
配管新設業務とは、建物図面などを参照しながら、公共配管から屋内設備までの配管ルートを設計し、管径や材質の異なる管のなかから最適な部材を選択して、配管を施工することです。
配管を新設する際には、直線の菅、直角に曲がっている菅、分岐している菅など、多様な形状の菅を組み合わせることが必要で、ときには「切断」や「溶接」などの加工作業が発生することもあります。
また、ひとくちに配管といっても、給排水用、ガス用、冷媒用、消防用、医療用など、さまざまな種類があり、扱う配管によって異なる知識やスキルが必要です。
さらに、配管工は配管をつくるだけでなく、洗面化粧台やユニットバス、トイレ、エアコンなど、設備自体の設置工事まで手掛けるケースが一般的です。
このため、配管工は各種配管工事のスキルに加え、設備に関する専門知識や、水平を取るための技術、陶器をはじめとする壊れものを扱う器用さなど、さまざまなスキルが複合的に求められる職業といえます。
既存配管のメンテナンス業務
水やガスといったインフラは、使用頻度が非常に高いこともあって、年月とともに、各種配管は徐々に劣化していきます。
配管工は、既存建物における古くなった配管や、道路に埋設されている公共配管について、錆びた部分や穴の開いた部分を交換したり、詰まりを取り除いたりといった修理業務も担います。
また、一度水漏れやガス漏れが発生すると、工事が完了するまで各種設備が使用できなくなるため、日常生活に大きな弊害が生じることになります。
まして公共配管ともなると、その被害は甚大です。
このため、そもそも修理が必要にならないように、既存配管の定期的な点検業務を行うことも配管工の仕事です。
なお、修理や点検などのメンテナンスを手掛ける配管工は、すぐに現場に駆けつけることが必要になる関係上、お盆や年末年始といった長期休暇でも、ゆっくり休めないことが多いようです。
配管工の役割
配管工の社会的な役割は、配管工事を行うことで、わたしたちが現代生活を送るうえで不可欠な各種インフラ設備を、いつでも安全に、かつ便利に使用できるようにすることです。
扱うものがインフラであるだけに、その社会的責任は重大で、万一にも中身が漏れたりすることのないよう確実に施工しなければなりません。
このため、実際に配管工事を手掛けるようになるには、しっかりと経験を積み、確かな技術を備えることが必要です。
見習いの配管工は、地下に埋められた配管まで穴を掘ったり、作業が完了した後に穴を埋め戻したり、あるいは資材を運搬する、現場を清掃するなど、配管工事に関する周辺業務を手掛けます。
配管工はキャリアに応じて、組織内における役割と仕事内容が明確に分担されている職業といえるでしょう。
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配管工の勤務先・有名な企業
配管工の主要な勤務先としては、設備会社や建設会社、リフォーム会社など、管工事を手掛ける企業(管工事施工会社)です。
管工事施工会社のほとんどは中小企業で、一般家庭向け、工場向け、病院向け、官公庁向けなど、工事内容をある程度絞って事業を運営しているケースが一般的です。
また、依頼者から直接工事を受注するのではなく、ゼネコンやサブコン、ハウスメーカーなどの二次受け、三次受けとして、建設工事全体のなかの配管工事だけを請け負うという、大企業の下請け企業が目立ちます。
ただし、なかにはさまざまな管工事を手掛けるともに、製品開発など複数の事業を展開する大手企業も一部あります。
有名どころとしては、売上高3000億円で業界をけん引する「高砂熱学工業」、空調設備事業が軸の「大気社」、三井グループの「三機工業」、省エネ技術に強みのある「ダイダン」などがあります。
配管工の仕事の流れ
配管工の仕事は、クライアントから配管工事を受注するところからスタートします。
工事内容や納期、予算などをヒアリングするとともに、現場の設計図などを取り寄せ、必要な菅や設備などの資材を発注します。
工事日が確定したら材料や機材を現場に運び込んで、まずは現場で実際の寸法や角度を計測し、パイプを切断したり、曲げたりといった加工作業を行います。
そして、一通りの配管を組み立て、ねじで止めたり、溶接したりして、接続作業を行います。
すべての接続が終わったら、実際に設備を稼働させて、きちんと設備が使用できるか、途中で中身が漏れたりしていないかなど確認作業を行います。
クライアントの検品作業が済んだら、工事の請求書を発行して、配管工の一連の仕事は完了となります。
こうした配管工事は、床下や壁の裏側、建物と建物の間など、非常に狭い現場で行われることが多いです。
配管工と関連した職業
建築士
「建築士」は、あらゆる建物を設計したり、建築現場を監督したりする仕事で、建設業界の代表的な職業のひとつです。
建物を新築する際には、建築士が設計図面や設備図面を引き、それを基にして、配管工が実際の配管工事や設備設置工事を手掛けます。
建築士として働くためには、試験を受けて国家資格を取得することが必要ですが、近年は各種建築設備の高度化・複雑化が進んでおり、建築士資格だけでは対応が難しいケースも増えています。
そうしたケースに対応できるよう、建築士に対して設備面のアドバイスを行う「建築設備士」という別の資格も存在します。
建築設備士は、ちょうど建築士と配管工の中間に位置し、両者をつなぐ資格といえます。
電気工事士
「電気工事士」は、さまざまな電気設備を設計したり、電気工事を施工したりする仕事です。
電気配線を扱う電気工事士と、水道配管やガス配管を扱う配管工は、ともに生活の基盤となるインフラを扱う技術職という共通点があります。
新築工事をはじめとして、両者が同じ現場で働くケースはよくありますし、働き方や生活スタイルなども似通っています。
ただし、配管工になるにあたって資格は必須ではない一方、電気工事士になるには、電気工事士の国家資格を取得しなければならないという点が、両者の大きな違いといえます。
管工事施工管理技士
「管工事施工管理技士」は、水道管工事やガス管工事といった管工事を行う際、施工計画を立案したり、現場作業員を指揮したりして工事全体を統括する仕事です。
管工事施工管理技士になるには、実務経験を満たしたうえで国家試験に合格することが必要で、資格取得の難易度はかなり高めです。
ただ、現場での実作業に従事する配管工にとって、管工事施工管理技士の資格を取って監督に昇進するのは、最もオーソドックスなキャリアアッププランといえます。
なお、施工管理技士資格には、管工事以外にも「建設機械」「建築」「土木工事」「電気工事」「造園」「電気通信」の種類があり、それぞれ監督できる工事内容が異なります。