義肢装具士のつらいこと・大変なこと・苦労
義肢装具士のつらいこと・大変なこと
患者さんとのコミュニケーションの難しさ
やりがいや魅力の多い義肢装具士の仕事ですが、逆につらいことや大変なこともあります。
まず、患者さんとのコミュニケーションを挙げることができます。
事故や病気などで、体の一部を失った、あるいは障害を負った患者さんは、身体だけではなく精神的にも大きなダメージを受けています。
残された機能だけで日常生活に復帰する自信をなくし、コミュニケーションを拒む人も少なくありません。
中にはショックから義肢や装具を使うことを拒み、義肢装具士につらく当たる人もいます。
義肢装具士はそういった決して前向きとはいえない精神状態にある人たちに対して粘り強く思いやりの気持ちを持って接しなければなりません。
義肢装具士も人間です。
使用者とのコミュニケーションが上手くいかず傷ついたり、患者さんの痛みに共感しすぎて心がつらくなることもあります。
良い義肢装具士であり続けるためには、高いコミュニケーション能力と、相手の感情に引きずられない強さが必要です。
長時間労働になることも
義肢装具士は義肢や装具を製作することが仕事ですから、ある意味ものづくりに励む職人という側面もあります。
製作が立て込んだり、リクエストや変更希望が多いような仕事の場合、通常よりも時間がかかることもあります。
しかし、患者さんや病院のスケジュールもありますから、納期を延ばすことが難しい場面も多々あるようです。
そのため、義肢や装具の製作状況や納期によっては労働時間が長くなり、帰宅が深夜に及ぶこともあります。
使用者との信頼関係を維持するためにも、いつもよりも余計に時間がかかる分は残業になってしまうこともあります。
案件が立て込んでいるような時期には長時間の作業に耐えて乗り切る必要があります。
完成まで何度でも微調整に対応する必要がある
義肢や装具の作成には専門的な技術と長い期間を要します。
患者さんが装着した時に違和感なく利用できなければ、日常生活のサポートにならないからです。
こういった器具は、初めて着用した時にはほとんどの使用者が違和感を訴えます。
小さな違和感でも、体の一部として使いこなすためには致命的です。
そのため、使用者にフィットするまで何度も修正を重ねなければなりません。
これは非常に根気が必要であり骨の折れる作業です。
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義肢装具士の悩み
「ものづくりが得意」だけでは足りない
プロの義肢装具士として働くということは、志を高く持てば持つほど、悩みも生じるというジレンマがあります。
特に、専門職の医療職者として、このような悩みを抱える人は多いようです。
義肢・装具の作成には専門的で高度な技術が必要不可欠です。
義肢装具士を志願する人の多くは手先が器用でものづくりが好きである傾向にありますが、それだけで務まる仕事ではない現実もあります。
目の前の患者さんの気持ちに寄り添い、必要としていることや困っていることを読み取り、それを実際の器具に落とし込むためには、コミュニケーション力や想像力が不可欠です。
黙々と目の前の作業に没頭したいタイプの人材の場合、最初は苦労することもあるでしょう。
自分ですべてをコントロールしなければいけない
一部の企業を除き、義肢装具士は患者さんのヒアリングや採寸から製作、完成後のアフターフォローまで、一連の業務をすべてひとりで担当する方式をとっています。
その場合、1日の中で病院やリハビリ施設への訪問と製作を両方こなさなければいけないような日もあります。
あるいは、何件かの製作が重なってしまうこともあります。
ずっと作業場にいるわけでも、外回りばかりしているわけでもないため、時間やスケジュールの調整は大変重要です。
自分の担当案件については基本的に自分で調整し、自律的に業務を進めることが求められるため、働き始めは戸惑い困難を感じる人も少なくありません。
義肢装具士を辞める理由で多いものは?
義肢装具士を辞める理由は人それぞれですが、中でも多い理由に、労働時間が長い、あるいはムラがあるというポイントがあります。
前にも書いたように、義肢装具士はひとつの案件をすべて1人で担当します。
そのため、案件のタイミングが重なってしまうと、一日で何件かの訪問と製作を行わなければいけない日、などということも生じてきます。
その場合は日中を訪問に充て、残業時間に制作せざるをえません。
このようにタイミングによっては拘束時間が長くなってしまう現実があり、体力的に辛くなってしまい、退職を考える義肢装具士は少なくありません。