動物園や水族館にはどんな役割がある?

動物園や水族館の役割

日本の動物園や水族館には、大きく分けて4つの役割があります。

・レクリエーション
・調査研究
・教育
・種の保存

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

レクリエーション

展示されている動物や魚たちを目でみたり、ショーを楽しんだりすることがレクリエーションです。

「動物園」や「水族館」と聞いたときに、レクリエーションを想像した人も多いでしょう。

生き物を見ながら家族や友人と過ごす楽しい時間の中で、命の大切さを感じてもらうための場が、動物園や水族館です。

動物飼育員は動物や生き物たちが、お客さまに見られることでストレスを感じないよう、快適に過ごせる空間づくりや世話に気を配っています。

また多くの人に楽しんでもらえるように、展示方法や看板に工夫をこらしたり、ショーの練習やツアーガイドをしたりと、よりレクリエーションの質を高める努力も欠かせません。

教育

動物園や水族館は、教育面からも大きな役割を持ちます。

動物や生き物たちの鳴き声やニオイ、大きさは、実際目の前で見て初めてわかることも多いのです。

テレビや本だけでは得られない体験は、動物の生態に興味を持ったり、生き物が住む環境問題にも目を向けるきっかけになるでしょう。

動物園や水族館では生き物を展示をするだけでなく、飼育員がガイドをしてより詳しく説明したりしています。

中には動物教室や野外観察会を開いて、実際に野生動物が住む場所に出かけ、環境教育を行っていることもあるので、より身近に動物たちを感じることができるでしょう。

動物園や水族館では、野生動物の保護や環境問題を考える学びの場として、関心を持つきっかけを社会に提供しています。

調査研究

さらに動物や生き物たちの調査研究を行うことも、大きな役割の一つです。

動物飼育員たちは、毎日動物や生き物たちの世話をしながら注意深く観察をし、生態や繁殖に関する研究を行っているのです。

一昔前までは、動物園や水族館の生き物は野生の生き物を捕まえて飼育していましたが、野生動物たちの数が減少していることから、飼育している動物を増やす努力も行われています。

日々の調査研究により、近年では野生のものよりも長生きしたり、子どもも増えるようになってきました。

種の保存

動物園や水族館が特に注力しているのは、繁殖行動を促し、新しい動物を誕生させていく「種の保存」です。

動物園や水族館では珍しい生き物を見ることができますが、珍しいとは生き物の数自体が少なくなっているともいえます。

そのため希少な野生動物の保護に取り組むことも、動物園や水族館の大きな役割です。

しかし、動物の繁殖は簡単なことではありません。

オスとメスの相性もありますし、動物によって習性も異なるため、動物飼育員がさまざまなサポートをする必要があります。

またいざ新しい命が誕生したとしても、子どもが健康なまま成長するとは限りません。

親が面倒をみないようであれば、飼育員が代わりに手をかけてやったり、病気になれば治療をするなど、動物を管理していくには地道な努力と気遣いが求められるのです。

さらに全国の動物園では、連携して種の保存に向けた取り組みも行われています。

たとえば「ブリーディングローン」という制度では、繁殖に適した動物を動物園同士がお互いに貸し借りすることで、繁殖率の向上につなげているのです。

ただしいくら繁殖に適した動物がいたとしても、人間が管理する動物園で生きる動物である以上、動物飼育員が繁殖時期を見極め、適切な体調管理をしなければ、よい成果には結びつきません。

だからこそ飼育員に求められる責任は重大で、確かな飼育技術を身につけたスタッフが活躍することが、動物を守り、動物園・水族館の未来を作ることにつながっていくといえます。