不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士の違い
仕事内容の違い
不動産鑑定士の仕事内容
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価(不動産の利用価値や経済価値を把握し、それをお金にしたらいくらになるかを示すこと)を行い、適正価格を決定する仕事です。
「不動産の経済価値を決める」という重要な役割を担っており、住宅や店舗、オフィスといったあらゆる不動産を、経済や会計、税金などの知識を駆使しながら鑑定評価していきます。
なお、鑑定評価は不動産鑑定士のみが行える独占業務となっています。高度かつ幅広い専門知識が求められることから、不動産系の仕事のなかでも最高峰といわれる職業です。
土地家屋調査士の仕事内容
土地家屋調査士は、土地の測量および表示に関する登記を行う仕事です。
人から依頼を受けたうえで、土地や建物の調査や測量を行い、不動産がどこにどのような形状で存在し、何に利用されているのかを明確にします。
ほかにも、不動産の表示に関する登記の申請手続きの代理業務、土地の境界に関する民事紛争が起こった際の解決の手続きの代理、依頼人からの相談への対応などにまで携わります。
不動産に関わる専門家のなかでも「測量と表題登記のプロフェッショナル」であるのがこの職業です。
宅地建物取引士の仕事内容
宅地建物取引士は、不動産の売買や貸借といった不動産取引に関わる権利関係の調査や、契約締結に関わる一連の業務を行う仕事です。
契約締結前に行う重要事項説明やその重要事項説明書への記名・捺印、契約書への記名・捺印などは宅地建物取引士の独占業務となっています。
不動産は、高額な上に目に見えない権利関係が複雑に入り組んでいる場合も多くあり、宅地建物取引士は不動産取引を行ううえで重要な役割を担っています。
なお、かつては「宅地建物取引主任者」と呼ばれていましたが、宅地建物取引業法の改正によって2015年4月からは宅地建物取引士へと名称変更しています。
なる方法、資格の違い
不動産鑑定士になる方法、資格
不動産鑑定士として働くには、不動産鑑定士の国家試験を受けて合格する必要があります。
この試験は学歴も年齢も問わず誰でも受験できるものですが、一般的に、司法試験や公認会計士試験と並んで「三大国家資格」といわれるほど難易度が高いことで知られており、予備校などに通って受験対策をする人が多いです。
国家試験の合格後は実務修習を受け、必要な単元を修得し修了考査にクリアすることで、不動産鑑定士として働き始めることが可能です。
不動産鑑定事務所や不動産会社といった「不動産系」のほか、銀行や資産運用会社など「金融系」も、不動産鑑定士の代表的な職場となります。
土地家屋調査士になる方法、資格
土地家屋調査士になるには、土地家屋調査士の国家試験を受けて合格し、土地家屋調査士会の名簿に登録される必要があります。
この試験も学歴などの受験資格はなく誰でも受験可能ですが、土地家屋調査士の中心業務となる測量や不動産登記を行うためには専門知識の習得が必須です。
そのため、名簿登録後は土地家屋調査士の事務所に就職し、実務経験を積みながら一人前を目指すのが一般的なルートです。
宅地建物取引士になる方法、資格
宅地建物取引士になるには、宅地建物取引士の国家試験を受けて合格する必要があります。
受験資格はありませんが、実務経験がない人の場合、都道府県知事の登録のために実務講習を受講する必要があるため注意が必要です。
試験合格後は都道府県知事の登録を行い、「宅地建物取引士証」の交付を受けて、ようやく宅地建築取引主任者として業務が開始できます。
勤務先は、不動産業を営む事業所となります。なお、不動産屋では事務所ごとに従業員の5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を置くよう、法律で義務付けられています。
20代で正社員への就職・転職
収入、待遇、雇用形態の違い
不動産鑑定士の収入、待遇、雇用形態
不動産鑑定士の平均年収は600万円〜700万円といわれており、他の不動産系の職業よりはやや高めの給与水準となっているようです。
不動産鑑定事務所に就職して働くほか、独立することも可能であり、なかには1000万円以上の年収を得ている人もいます。
ただし、不動産鑑定士試験合格後の実務修習生として働いている期間は、普通高い給料は得られません。
この仕事は、不動産の鑑定評価ができる唯一の国家資格保持者として評価が高く、国や県など公的機関の仕事を受けることができるようになると、安定した状態で仕事を続けていくことができます。
土地家屋調査士の収入、待遇、雇用形態
土地家屋調査士の平均年収は、400万円〜600万円程度といわれています。
ただし、勤務先の規模や地域などによっても給与額は異なりますし、実力と経験がある人ほど収入は高くなる傾向にあります。
この仕事も、独立開業することが可能です。また、司法書士や行政書士など他業の資格を併せて取得したうえで、兼業でビジネスチャンスをつかんでいる人もいるようです。
宅地建物取引士の収入、待遇、雇用形態
宅地建物取引士の平均年収は、勤務先によって300万円〜400万円程度にとどまる人のグループと、600万円以上を得ている人のグループとに分かれることが多いようです。
というのも、宅地建物取引士の代表的な職場となる不動産屋は、大手の不動産会社から小さな町の不動産屋まで規模がまちまちであり、勤務先によって給料や待遇には大きな差が出るケースが多いからです。
さらに、インセンティブ(歩合制)を採用している企業も多いため、個々の活躍度合いによっても収入は変動します。
不動産鑑定士、土地家屋調査士と同様に独立開業することもできますが、資格取得者が増えていることから、経験の浅い人が成功するのは難しいといえます。
この記事のまとめ
今回紹介してきた不動産系の3つの職業に就くには、それぞれ国家資格を取得する必要があります。
いずれも安定した需要がある仕事ですが、不動産鑑定士が最高峰といわれるほど難易度が高いのに対し、宅地建物取引士は不動産業界に入ったばかりの人が取得するケースも多く、業界内での立ち位置には違いがあります。
もちろん、それぞれ携わることができる範囲も異なります。興味を持った方は、仕事内容を詳しく見比べてみましょう。
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