HSPの特徴とは? 仕事の悩みや向いている仕事・職場の選び方などについて専門家が解説

皆さんは「HSP」という言葉を知っていますか?

HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとった言葉で、「とても繊細で敏感な気質を持った人」を意味します。

研究によると、実は全人口の15~20%くらいの人はHSPに該当すると言われています。

また、最近では芸能人や各界の著名人が「私はHSP」と公表し、注目されることが増えてきました。

HSPは決して特別なものではありませんが、HSP気質を持つ人は、HSPでない人にはまったく気にならないことがとても気になったり、日常生活の中で生きづらさを感じたりしてしまうことがあります。

今回は、そんなHSP気質を持つ人が仕事で抱えやすい悩みや、働き方・職場選びのポイントなどについて、HSP専門キャリアコンサルタントとしてご活躍中の「みさきじゅり」さんに聞いてみました!

HSPで悩んでいる方、HSPとして自分らしく働く方法を知りたい方などは、ぜひ参考にしてください。





HSPの特徴とは

HSPの特徴を教えてください。

HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、人の「気質」を表す言葉です。とても敏感で、環境に著しく影響を受けやすいタイプの人を意味します。

HSP気質を持つ人は、「DOES(ダズ)」という4つの特徴に当てはまると言われています。

DOESとは

D:Depth of processing(深い処理ができる)
O:Overstimulated(刺激を受けやすい)
E:Emotional reactivity and high Empathy(感情的に反応しやすい・共感力が高い)
S:Sensitivity to subtleties(些細な刺激に対する感受性)

近年はメディアでもHSPについて取り上げられることが増えているので、「なんとなく知っている」という方もいるでしょう。

ただ、世間ではHSPが「生きづらい」「鬱」などのキーワードと結びつけて語られやすいこともあって、ネガティブな印象を抱く方が多いようです。

ですが、HSPとは「病気」や「症状」のようなものではなく、あくまでも人の生まれ持った「気質」です。

HSP自体が病気ではないことは、ぜひ皆さんにご理解いただきたいです。

ただ、HSPの気質がとても強く、あまりに悩んだり思い詰めてしまったりすると、結果として病気につながってしまったり、精神的な症状が強く出てしまったりすることもあります。

―HSPに該当する人は、割合的にはどれくらいなのでしょうか?

一般的には「全世界で5人に1人」と言われます。

また近年の研究では、人間の30%くらいはこの気質を持っているという説もあります。

また、はっきりとした数字は出ていませんが、日本人はHSP気質を持つ人が多い国民とも言われます。

それにはもともと持っている遺伝的な要素もあるかもしれませんが、どちらかというと「みんなと一緒であること」を求められがちな、日本の教育や風習によるところが大きいと考えられます。

日本の学校では先生の言うことを聞かないと叱られたり、大人の世界でも「同調圧力」に悩んだりする方は多いですよね。

そうした環境で過ごす中で、「みんなに合わせるのがつらい」と感じるようになる方が比較的多い印象です。

―HSPには男性が多い、女性が多いなどはありますか?

とくにジェンダー差は報告されていません。

ただ、全世界共通で男性のほうが表に「繊細さ」を出さない傾向にあるので、周りも自分自身もHSPだと気付いていないことが多いようです。

―HSPの人は外向的か、内向的か、のように分けることはできますか?

そういった分類は正式には存在しません。あくまでも1つの気質です。

HSPは、よく「繊細」という言葉でも表されるのですが、皆さんは繊細と聞いてどんな人を想像しますか?

おそらく大人しかったり口数が少なかったり…そんな姿をイメージすると思います。

ところが研究によると、HSP気質が強くても非常に活発かつ外向的で、おしゃべりな人がいることがわかっています。

なかには語気が強いHSPもいます。

つまり、「HSPだから内向的」というわけではありません。

HSPのような気質は、そういう「表面に見える部分のもっと下にあるもの」を指しています。

―たしかに、最近「繊細さん」という言葉をよく聞くようになりました。

そうですね、実際のところ、HSPを「繊細さん」以外の言い方で正確に表すのはとても難しいと思います。

でも、多くの人は「繊細さん」と聞くと、どうしても「内向的な人」をイメージしてしまうのも事実でしょう。

そういったこともあって、最近ではHSPについて「HSS型HSP(刺激探求型のHSP)」や「HSE(外向的HSP)」など、性格分類と掛け合わせた、もう少し細かな分類で語られることが増えてきています。

ちなみに私自身もHSPですが、人前に立ったりリーダーシップをとったりすることは苦にしません。

このようなタイプの私が「繊細さん」だと言うと、「またまた~」と鼻で笑われたりバカにされたりすることがあります。

それでも、気質は明らかに「繊細さん」なんです。HSPの気質を理解してもらう難しさは、私自身も強く感じてきました。

参照文献:とても傷つきやすい人が無神経な人に悩まされずに生きる方法(ダイヤモンド社)みさきじゅり著

HSPの診断について

―自分がHSPかどうかを診断するにはどうすればいいですか?

HSPは病気ではないので、正確には「診断」することはできません。

あくまでも「セルフチェック」になるのですが、以下のテストシートを使ってHSP気質がどの程度あるかどうかを確認することができます。

HSPセルフチェックリスト
□ 感覚に強い刺激を受けると容易に圧倒されてしまう
□ 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
□ 他人の気分に左右される
□ 痛みにとても敏感である
□ 忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
□ カフェインに敏感に反応する
□ 明るい光や、強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
□ 豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい
□ 騒音に悩まされやすい
□ 美術や音楽に深く心動かされる
□ 時々神経が擦り切れたように感じ、一人になりたくなる
□ とても良心的である※1
□ すぐにびっくりする(仰天する)
□ 短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
□ 人が何かで不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づく(たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)
□ 一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ
□ ミスをしたり物を忘れたりしないよういつも気をつけている
□ 暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
□ あまりにもたくさんのことが自分の周りで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
□ 空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
□ 生活に変化があると混乱する
□ デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
□ 同時に自分の中でたくさんのことが進行すると気分が悪くなる
□ 動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
□ 大きな音や雑然とした状況など強い刺激に悩まされる
□ 仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
□ 子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた

評価: 14以上の質問に「はい」と答えた方はHSPの可能性があります。詳細は以下リンク(HSP提唱者E.アーロン博士の和文サイト)を確認してください。
出典:http://hspjk.life.coocan.jp/selftest-hsp.html
Copyright, Elaine N. Aron, 1996

ただ、「HSPかも?」と思う人がセルフチェックをやってみても、はっきりとわからない、該当しないこともあります。

私のセッションでも、よく「私はHSPでしょうか?チェックしてもらえませんか?」と聞かれるのですが、冒頭でお話した通りHSPは病気ではないので、「こういう症状があれば絶対にHSP」とは言えず、判断することが難しいのです。

気質とは、脳神経の反応や遺伝子も絡んでくる生理的なものであって、自分でコントロールしたり認識できたりするレベルではないからです。

たとえば、HSP気質を持つ人は物事に対して異常なほど考え過ぎたり気にしたりしますが、それを自分の意思で止めるのは難しく、また自分でもなぜ考えてしまうのかがよくわかっていません。

こういった特性上、セルフテストだけではご本人もなかなか納得できないことが多いので、私がセッションを行う方とは何回もお話をして、ご自身のどういうところがHSPっぽいのかを一緒に探っていく形をとっています。

―自分がHSPかどうかを知ることには、どういうメリットがありますか?

最も大きいのは、自分が生理的に、つまりほぼ自動的にやっていることについて、なぜそうしてしまうのか周りに説明できるようになることです。

たとえば、私はびっくりし過ぎて固まってしまうことがしょっちゅうあります。

そんな姿を、もし私がHSPだと知らない人が見たら「なんで固まっているの?」と不思議に思うでしょう。

その際に「こういう理由で、こうなってしまうんです」ときちんと相手に説明できるか、それとも何も言えないままでいるか。これには大きな違いがあります。

もし言えないままでいたら、からかわれたり、極端な話ではいじめられたりすることにもつながりかねません。

黙ってビクビクしている人がいじめられやすそうだということは、きっと皆さんも想像できると思います。

実際に、これは全世界共通の傾向なのですが、HSPは誰かの踏み台にされたり、いじめが加速したりしやすいと言われています。

ですから、自身がHSPだと理解できていれば自分を守ることにつながりますし、「自分はこういう状態になっているからつらい」と発信し、周りに助けを求めることもできるようになります。

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HSPの人の悩みとは

―HSPの人は、仕事や職場でどんな悩みを抱えやすいですか?

大きく4つの悩みが挙げられます。

HSPの人の悩み

―1つめの悩み「疲れやすい」について教えていただけますか?

HSPは、いろいろなことに気がつきやすく、五感から受ける情報を全部まじめに受け取ってしまいます。

そのため情報過多になりやすく、周りの様子にすごく引っ張られがちなんですね。

その結果、自律神経が乱れやすかったり、体調に不調が出てきてしまったりする方が多いです。

―「自分の意見を言えない」というのは? 相手にどう思われるかが気になってしまうのでしょうか?

それもそうですが、もし自分が何かを口にした場合に、周りにどんな影響があるのか?などあれこれ考えがちで、結局言うタイミングを逃してしまうことが大きいです。

そうなるとストレスが溜まるのはもちろんですが、すべてを諦めてしまうことにつながる方もいます。

たとえば私がセッションをした方でも、転職をいくら勧めても転職しないケースが結構あります。

HSPとして悩み続けてきた人は自己肯定感が大きく下がっていることが多いので、「無理です…」とか「どこに行ってもまた言えない私だし…」など短絡的に考えて、否定的に物事を捉えてしまうことがよくある印象です。

―3つめの「仕事を押し付けられる」のも、意見を言えないからなのでしょうか?

HSPは、どんなに自分が忙しくても、周りに忙しい人がいれば先にそちらに目がいってしまいがちです。

自分が忙しいことを置き去りにしてでも周りが落ち着くように動いてしまう傾向が見られます。

というのも、HSPは周囲の影響を受けやすいので、周りが落ち着けば自分も落ち着いて仕事ができると感じるからです。

でも、周りばかり優先していると、気がつけば「なんでもやってくれる人」のレッテルを貼られて、仕事を押し付けられることにつながりかねません。

どんなにひどい労働環境にいても「私がやめたらみんなが大変だから」と思い込んで、辞めずに我慢している方もいますね。

―4つめの悩み「周りにわかってくれる人がいない」についても教えてください。

HSPという自分の気質、それによって感じていることや悩んでいることを理解してくれる人に出会いにくいということですね。

先ほどお話した通り、HSPは、周りが穏やかに仕事をしてくれていないと自分の気持ちが落ち着きません。

「私が辞めるとみんなが迷惑」だと、必要以上に思い込みやすいところもあります。

でも、それほど自分一人で抱え込んでいるのだという重い気持ちは、なかなか他人には理解されづらいものです。

それに、たとえ自分のつらさをアピールしたところで、「嫌なら辞めれば?」「そんなにつらいのならやらなければいいじゃない」と言われるだけで、話がかみ合わない状態になりやすいです。

―このような悩みがある中で、「テレワーク」や「在宅ワーク」はHSPの人にとって働きやすいですか?

HSPの特徴として、職場に高圧的な人、怒鳴り散らす人が一人でもいるとおびえてしまって、「自分がここにいていいのか」と深刻に悩んでしまうことがあります。

誰かの大きな声を聴くこと自体が不安ですし、たとえ自分が怒られているわけではなくても自分が怒られているように感じてしまうのです。

「怒られているように感じる」ということは、「ほぼ自分が怒られている」のと同じことであって、負担を感じます。

在宅であれば人の怒号を聞かなくていいメリットはありますが、また別の悩みや不安は出てくると思います。

たとえば、チャットでのスルーや陰口など。100%安心できる環境というのはなかなか難しいですが、在宅だと逃げ場を作りやすい点では安心でしょう。

あとは通勤の負荷が軽減されるメリットがあるので、「在宅のほうがまだマシ」と感じる方が多いのではないかと思っています。

―「在宅だと逃げ場を作りやすい」とは、どういうことですか?

たとえば、仕事中にタイミングを見計らって画面から離れたり、人目を気にせず伸びをしたり、お手洗いに行ったり…など、いろいろできますよね。

職場だと「つらい!」と感じた瞬間に逃げられないことが多々ありますが、在宅だと周りの目がない分、そのようなことをやりやすいという意味です。

HSPの人の仕事への向き合い方・向いている仕事

―では、HSPの人はどのように仕事に向き合えばいいのでしょうか?

自分にとってのやりがい、そして仕事に求める価値観を大事にしていただきたいと思います。それはどんな仕事をするとしても同じです。

実は「HSPにはこんな職業・仕事が合っている」という断言は難しくて、どの職種にもHSPは存在するといえます。

では「何を基準に仕事選びをしていけばいいのか?」についてアドバイスをするならば、ご自身がどういう作業や、どんな人とのやりとり、そしてどんな仕事の進め方を好むのかをまず考えてみてください。

そして、自分は何をやりがいとして感じたいと思うのかを大事にして、仕事選びをすることをおすすめします。

―現在の仕事や職場環境がつらすぎて辞めたいと考えている方には、みさきさんはどんなアドバイスをしますか?

まずは「つらすぎる」という思いに寄り添って、現実を一緒に見るお手伝いをします。

つらすぎる状況になると自分の感情に蓋をする人も多いので、まずは自分の感情を実感することが大事です。そして「周りからするとささいなことかもしれませんが、あなたにとっては辞めたくなるほどつらいよね」と丁寧に気持ちに寄り添います。

―先ほど「HSPはどの職種にもいる」とお話がありましたが、HSPの人に向いている職業や職場はありますか?

HSPの人に向いている仕事・職業・職場

前の質問でもお答えした通り、職種についてはなんでもOKです。それよりも仕事をする環境や労働条件を重視することをおすすめします。

「環境」という点で具体例を挙げると、「広さ」は大事ですね。スペースに余裕があると、心にも余裕や安心感を得やすいので。

また、HSP気質が強い人は物事の因果関係がはっきりしていることに安心感を持つので、フィードバックが得られる仕事が向いています。

つまり、「自分が行う作業は、全体のどのプロセスに組み込まれていて、その先にどういう影響を及ぼしていくのか」がきちんと見えることで安心できるのです。

逆に、そういった説明が一切なくて「とりあえずやっといて!」と言われると、先の展開がどうなるのかわからず不安になってしまいがちです。

また、HSPは人の気持ちを理解する力が強く、物事の先読みが得意です。

そういう点では、財務や法務、プロジェクト管理などが向いているといえるでしょう。

工程の先の動きを想定して、この先リスクが出そうだなということを早めに察知して対処する立場では、ご自身の強みを生かしやすいはずです。

あとは細かいところを補完していくことが得意なので、リーダーの右腕的なポジションも適性があるといえますね。

―HSPの人自身が、リーダーや人を引っ張るような役割になることについてはどうですか?

人を引っ張るのが得意なHSP、たとえば起業家や芸能人、カリスマ性のあるHSPの方もたくさんいます。

そういう立場で活躍できるかどうかは、個々の性格や好みの問題になってきます。

理解していただきたいのは、「HSPだからこういう仕事しかできない、こういう仕事は向いていない」ではなく、「自分がどういうタイプで、どんな価値観を持っているのか?」が重要ということです。

手先が器用なのか、企画・運営することが得意なのか、対人支援が好きなのか、ものづくりに興味があるのか…。

このような、いわゆる「職業興味」によって向いている仕事が決まってくると考えていただけるとわかりやすいと思います。

HSPの人に向いていない仕事・職場環境

―では、HSPの人が向いていない仕事・職場の特徴はありますか?>

「ただやるだけ」のような、機械的な作業を求められる仕事や職場は、長期的に見れば向いていないと思います。

というのも、先ほど因果関係のお話をしましたが、HSP気質を持つ人は最終的には「何のためにこれをやっているのか?」にたどり着いてしまうんですね。

ですから作業の内容自体は好きであっても、何のためにやっているのかわからないと、だんだんむなしくなってしまいます。「お金のためだから」とかで割り切れない人が多いと思います。

―他にも何かありますか?

悪口陰口が多い職場や、無理なセールスやノルマを求められる職場、それと長時間労働や夜勤を含む仕事なども、あまり向いていないです。

こういう職場や仕事は、いわゆる「普通の人」でもきついですよね。

普通の人がきついと感じることは、HSPにとってはその何倍もきつく感じます。

ちょっと我慢してやればなんとかなる、という考え方は通用しません。心身を壊しかねませんし、こういうことに対して耐えられない人が多いのがHSPの特徴です。

もし根性論を押し付けるような上司の下に入って悩んでいるHSPの方がいたら、私は辞めることを勧めます。

相談に来る方は、その時点ですでに心身に不調をきたしていることも多いので、とにかく自分の健康や命を守ることを大事にしてほしいとお話します。

参照文献:ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本(秀和システム)みさきじゅり著

HSPの人の就職・転職

―HSPの人が仕事(就職・転職先)を探すときのコツはありますか?

仕事を探すときに大事にしてもらいたいポイントが4つあります。
「環境」「人間関係」「適性」「ペース」です。

■環境
物理的な環境や通勤時間。また具体的な話を一つ挙げると、職場の建物の雰囲気・印象なども大事です。たとえば、あまりにも汚らしくて不潔そうな建物にいると気持ちが影響されて落ちていきやすいです。

HSPの人は、そうでない人であればさほど気に留めないような、ちょっとの刺激すらも無視できないです。とにかく自分にとって少しでも居心地のよい環境を選ぶことが大事です。

■人間関係
職場に悪口ばかり言う人、言葉がきつい人がいないかどうかなどをチェックしてください。

事前に100%見分けることは難しいと思いますが、人の印象や雰囲気は、採用試験や面接の際にできる限り判断してもらえたらと思います。

■適性
これは先ほどもお話した、自分の「職業特性」ですね。自分はどういうことが好きか、得意かなどです。
■ペース
HSPは、周りの人たちのペースが強すぎると、どんなに魅力的な仕事でも自分のペースが狂いやすいです。

ある程度仕事を覚えたら、自分の裁量でやらせてもらえる可能性が高い職場・働き方を選ぶほうが向いています。

これら4つのポイント以外に、「みんなと同じ」をやめることも大事です。

HSPは「自分にとってどうなのか?」がとても大事なので、「自分の基準」をしっかりと作ることを意識してください。

―「みんなと同じをやめる」について、もう少し詳しく教えていただけますか?

新卒の方からのご相談でよくあるのが、「大企業に入らなければならない」「親に言われた通りの就職をしなければならない」などの悩みです。

周りを意識するばかりに苦しむ方が目立ちます。

また、地域特性もありますね。

たとえば名古屋では製造業系の企業で働く方が多いので、自分もみんなと同じような就職先を選ばなければならないと考えてしまうなど。

そうではなく、自分にとって本当に何がしたいのか、何が自分に合うと思うのかをよく考えてほしいのです。

―「自分にとっての最適」を見つける方法について、何かアドバイスをいただけますか?

ご自身の進路・キャリアを考えなければならないタイミングになったら、「一人になる期間」を設けていただくことをおすすめします。

仕事を辞めて社会人インターンをする、アルバイトしながらこれまで出会えなかった人に会う、家の中に引きこもって好きな本を読むなど…どんなことでもいいです。

生産性にこだわらずに、自分がそのタイミングで「したい!」と思えることにじっくりと取り組む期間を持つことをおすすめします。

こういう時間を持つのは勇気がいるでしょうが、コロナ禍で在宅ワークができる機会も増えましたし、とにかく自分としっかり向き合って、自分で生きていくということを考えてほしいです。

半年から1年くらいこのような時間を持てば、徐々に変わっていくはずです。

―自分と向き合う期間をつくるのは、仕事をしながらでもいいのでしょうか?

もちろんそれでもいいですが、実際には辞めてしまう方が多いですね。

仕事をしながらだと体力面でもきついですし。

心身を休ませながら自分を理解すること、自分の興味のあることに目を向ける期間を持つことは、長い人生において意味があると考えます。

HSPという気質を持っていれば、遅かれ早かれそういうタイミングが来ると思います。

私のところに相談に来られる方の年代は10代から50代の方まで幅広いですが、「定年まであと数年」という方でも、その後の生き方やキャリアを見据えて改めて自分と向き合っていらっしゃいます。

HSPの人の働き方

―HSPの人のこれからの働き方について、みさきさんのお考えをお聞かせいただけますか?

HSPの人のこれからの働き方

・自分自身のリズムを重視する
・頑張ることをやめる
・副業を始めてみる

一番大切にしていただきたいのは、自分自身のリズムを重視した働き方を実現することです。

HSPで「週に5日働きたくない」という人もいますが、それはまったく構いません。

週3日しか体がもたないのであれば週3日で稼ぐ方法を考えましょうね、ということです。

ただ、いきなり週3日労働で満足できる収入を得るのは現実的に難しいでしょう。

ですので、もしいま会社で働いているのであれば、まず頑張ることをやめてほしいです。残業はせずに自分の時間をつくるところからスタートしてみてください。

何度もお話してきた通り、HSPはとにかく周りの影響を受けやすいです。そのため、私は副業を始めることもおすすめしています。

その理由は、本業だと、どうしてもその傾向が強く出がちですが、副業であれば好きなときに好きなペースで仕事を進めやすく、自分でいろいろなことをコントロールしている安心感を得やすいからです。

精神的な安心と経済的な余裕の両方を生み出せるので、メリットが大きいと考えています。

―現在はコロナ禍で人とのコミュニケーションが減っていると言われますが、HSPの人にとってはプラス?それともマイナスでしょうか?

「嫌な人と話さなくていい」という点ではプラスですが、もし業務について確認したいことが出てきたときに、話を切り出しにくくなっている点ではマイナスといえると思います。

とくに100%在宅ワークに移行している場合に顕著ですが、職場であれば周りの人の顔色をうかがいながら「よし、いま質問しよう」などと思えますよね。

でも、オンラインのつながりだと相手の顔色がわからず、話しかけていいタイミングを見失いがちです。それが孤立につながってしまうことがあります。

少し話は飛びますが、私のセミナーでは「チャットで自由に質問していいですよ」と促すものの、いつも質問が届くのはセミナーが終わってからです。

HSPの人は警戒心が強いので、周囲の出方を全部見終わってから自分を出すようなところがあるんですね。

その場で思い立ったらすぐに誰かに声をかける、質問をする、といった行動はあまりとりません。

そういう気質が、在宅ワークでの孤立につながってしまう面もあると思います。

この記事のまとめ

編集部より
自分がHSPであると理解することの大切さ、そして「自分基準を大切にする」「自分と向き合う期間をつくる」など、貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。

今回の記事がHSPの方や、HSPかもしれないと悩んでいる方の仕事選びや、仕事との向き合い方の参考になれば幸いです。

より詳しく知りたい方はYoutubeチャンネルもぜひご覧ください。

【みさきじゅりさんYouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCN_-qkBBpGDtSaDDzEhLVAA

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