ブリーダーになるには? 資格・免許は必要なの?【学校選びから将来性まで徹底解説】
また、ブリーダーになる人は専門学校などで学び、ブリーダーに雇ってもらうか、企業に就職する人が多いです。
この記事では、ブリーダーになる方法をはじめ、学校の選び方やブリーダーになるまでの学費や初期投資、将来性まで、幅広く解説しています。
ブリーダーになるには?資格・免許は必要?
「ブリーダーになるにはどうすればいい?」
ブリーダーになるために、特別な資格や免許は不要ですが、ブリーダーとして独立・開業するには届け出や資格が必要です。
まずは、ブリーダーのなり方を具体的に解説し、資格や免許、ブリーダーになるのにかかる費用などを解説していきます。
ブリーダーのなり方【資格・免許は不要】
上の図は、ブリーダーになるルートを示しています。
ブリーダーは、独立して個人で働く人が大半ということもあって、学歴はほとんど問われません。
ただしブリーダー業を営む企業に勤める場合は、「高卒以上」の学歴が問われることが多いため、高校は卒業しておいたほうがよいでしょう。
決まったルートはありませんが、次の方法で目指すことができます。
- 専門学校や通信講座で学んでブリーダーの企業や個人のもとで働く
- 未経験からブリーダーのもとで働き経験を積む
- 所定の学校を卒業もしくは資格取得して開業する
いくらブリーダーになりたいと思っても、素人がいきなり独立して仕事をするのは難しいでしょう。
したがって、すでにブリーダーとして活躍している人のもとで、経験を積む人が多いです。
未経験者を受け入れてくれるケースもありますが、ブリーダー養成のための専門学校、または自宅にいながら学べる通信講座で事前に知識を身につけることもよいでしょう。
ブリーダーは動物の生態や繁殖に関する専門知識およびノウハウが必要とされる仕事です。
現場に入る前に基礎知識を体系的に学ぶことで、現場での理解が早まったり、活躍するチャンスが広がる可能性があります。
知識や経験が十分に身についた段階で、個人のブリーダーとして独立・開業する人が多い世界です。
ブリーダーになるために役立つ資格・免許
ブリーダーになるために特別な資格や免許は必要ありません。
学歴や年齢も問われないため、誰でもブリーダーになれるチャンスはあります。
ただし、ブリーダーそのものの資格ではなく、動物に関する幅広い専門的な知識を得るために、以下の資格や免許を取得する人もいます。
ブリーダーとして開業するには資格が必須
ブリーダーとして企業に勤めたり、ブリーダーのもとで仕事をするにあたって資格は必要ありませんが、独立・開業して動物を販売するには必須の資格・届け出があります。
- 第一種動物取扱業:動物の販売などに必要で都道府県や政令指定都市に申請する
- 動物取扱責任者:第一種動物取扱業者は設置義務がある。ブリーダー本人が兼務することが多い
「動物取扱責任者」になるには以下の3つのうち、いずれかが該当していなければいけません。
- 半年以上の実務経験がある
- 1年間以上教育機関を卒業している
- 獣医師などの資格を所有している
実務経験や学校を卒業していなくても、資格でカバーすることができるので、チェックしておくとよいでしょう。
参考:東京都動物愛護相談センター 動物取扱責任者の要件について
ブリーダーになるには専門学校に行くべき?
ブリーダーになるには、必ずしも特定の学校に通わなければいけないわけではありません。
一般的な高校や大学を出て、そのまま個人のブリーダーになる人、あるいはブリーディングを行う企業に就職し、現場で必要なスキルを身につけていく人もいます。
ただし、ブリーダーとして活躍するには、犬や猫といった動物の生体に関する深い知識が不可欠なため、まずは動物関連の専門学校に通い、基礎的なことをしっかりと学んでから現場に入る方法を取る人も多いです。
ブリーダーそのものだけを要請する専門学校はほとんどなく、以下のような幅広くペットに関わる仕事を目指す人に向けられたカリキュラムが用意されています。
- グルーミング
- トレーニング
- 動物看護
- 飼育管理
ブリーディングを行う際は、学校で身につけた動物特有の性質や病気についての専門知識が生かせる場面が多々あるでしょう。
学校卒業後は個人のブリーダーのアシスタントか、ブリーディングを行う企業への就職を目指すことになりますが、専門学校を卒業していると就職の際に優遇されるケースもあるようです。
学校に通学するのが難しい場合は、DVDやテキストを利用して通信講座で学ぶ方法もあります。
通信講座の場合はその場ですぐに講師に質問できないのがデメリットではありますが、電話やメールなどを使ったサポート体制や添削指導が用意されている講座だと安心です。
また専門学校は2年制・3年制のところも多いですが、なかには最短1ヶ月程度で学べる短期間のスクールもあります。
社会人を対象に、夜間や週末を使って学べるスクールもあるので、さまざまな学校を調べて比較してみるとよいでしょう。
ブリーダーになるためにかかる費用の目安
ブリーダーを目指す人が専門知識を身に着けるための学校の費用の目安は次の通り。
- 専門学校の学費:2年間で300万円前後
- 夜間学校の学費:2年間で200万円前後
- 通信教育の学費:5万円~15万円前後
専門学校によっては、「動物看護師」「ドッグトレーナー 」「トリマー」などの資格取得が目指せるところもあり、学費は初年度が130~150万円ほど、夜間部では年間80~100万円ほどが一般的です。
一方、通信教育の学費は6万円~15万円ほど、学習期間は最短2ヵ月~半年ほどで学ぶことができるため、限られた時間んでブリーダーとしての基礎知識を身に付けたい人には向いているかもしれません。
なお、ブリーダーとして独立開業をするための初期費用には次のようなものがあり、総額は30万円~70万円前後になります。
✅ブリーダーとして独立開業するための初期費用の目安
繁殖動物の購入(2匹) | 30万円~ |
ケージなどの備品 | 3万円 |
第一種動物取扱業登録料 | 1万5千円 |
ブリーダーはどのような動物、血統を扱うかによっても初期費用は変動しますが、犬のブリーダーの場合は上記の金額が目安になるでしょう。
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ブリーダーになりたい!私も目指せる?
「ブリーダーを目指したいけど、わたしにもなれるかな?」
この章では、ブリーダーは高卒からも目指せるのか、年齢制限や男女差があるかを解説します。
ブリーダーは高卒から目指せる?【高卒からもOK】
ブリーダーは、高卒から十分に目指すことができます。
高校卒業後すぐにトップブリーダーのもとに現場にアシスタントとして入るか、ブリーディングを専門にしている企業に就職して経験を積むことが可能です。
ただし独立を目指すのであれば、「動物取扱責任者」に登録しなければいけません。
このとき「半年以上の実務経験がある」「1年間以上教育機関に通い卒業している」「資格を所有している」のいずれかが必要になるので、専門学校に通ったり資格取得しておくのもよいでしょう。
動物関連の専門学校を出ておくと、動物の生態や繁殖に関する知識を効率的に学ぶことができます。
また、就職の際有利に働く場合もあるため、基礎的なことをしっかり学んでから現場に入るのもよいでしょう。
ブリーダーになるには年齢制限はある?【年齢制限はなし】
ブリーダーになるのに年齢は問われないので、何歳からでも目指すことが可能です。
求人募集を見てみても年齢制限なく社員やアルバイトの募集をしている場合が多く、中には「シニア歓迎」の職場もあります。
現場では動物の餌やりや散歩、掃除などから担当し、知識を深めていくことでさまざまな業務を任され、徐々にブリーダーとしてのスキルを身につけていくことが可能です。
ただしアシスタントではなく、1人前のブリーダーとして独立を考えているのであれば、体力面は考えなければいけません。
たとえば飼育している動物の出産時には、24時間つきっきりで寝ずに対応しなければいけないこともあるでしょう。
多くの命を預かる体力と精神力が求められる仕事でもあるので、飼育する動物たちを生涯面倒みられるよう、自身の年齢を含めた責任ある計画を立てることをおすすめします。
ブリーダーは男性もなれる?【性別関係なく活躍】
ペット業界は女性が多い世界ではありますが、ブリーダーは家族で仕事として取り組んでいる人が多く、男性もなれます。
一人で世話できる頭数で繁殖を行う人もいますが、何十頭もの犬や猫の世話をする場合は、出産や育児のサポートも並行して行うため、家族の協力は不可欠でしょう。
ブリーダーの仕事は、出産時は24時間体制でつきっきりになるなど、動物のペースで仕事をする必要があります。
そのためアルバイトを雇ってどんな場合も対応してもらえる環境を作らない限りは、長期でお休みをとって、家族みんなで遠出したり旅行に行ける機会は少なくなるかもしれません。
いずれにせよ、男女問わずなることができ、収入の差もほとんどないため性別関係なく活躍できる世界です。
ブリーダーのキャリアプランと将来性
ブリーダーになった後、どのようなキャリアを歩んでいけばよいのでしょうか。また、収入面は?
この章では、ブリーダーのキャリアと将来性について解説します。
ブリーダーは独立・開業する人が多い
ブリーダーが1人前になるまでには、専門学校卒業後に、ブリーダーとして活躍している人のもとやブリーディングをしている企業で働きながら経験を積み、独立・開業を目指すのが一般的です。
ブリーダーそのものに資格はありませんが、動物に関する幅広い専門的な知識を得るため、「訓練士」「動物看護師」「愛玩動物飼養管理士」などの資格を取る人もいます。
独立開業をする際には、訓練学校卒業や専門知識の認定試験に合格していることが条件になるので、将来役立てることが可能です。
しっかりと経験と知識を身につけてから独立したあとも、動物たちの知識を深めることはもちろん、日々の動物たちへの愛情を持った丁寧なお世話は欠かせません。
また、個人でブリーダーとして活躍するには、卸先のペットショップの開拓や、飼い主に直接販売するための広告宣伝などの営業活動も必要です。
困ったときに頼れる、先輩ブリーダーたちとの人脈作りもしておくことが大切でしょう。
ブリーダーの年収は?
ブリーダーの平均年収は200万円~300万円ほどと言われています。
日本人の平均年収が440万円前後であることから、一般企業よりも低い水準となっています。
ブリーダーは個人事業主や小規模な事業者が多いので、福利厚生なども整っていない場合が多いです。
ただし、独立・開業をする人が多く、実力主義の業界であるため、世界的なトップブリーダーになれば年収1000万円以上を目指すこともできます。
ブリーダーの将来性と期待されること
ペット需要は拡大傾向にあり、テレワークの普及にともなってさらに伸びていくと予想されます。
ブリーダーの役割も重要になる一方で、ペットを商品ととらえて劣悪な環境で飼育したり、売れ残り・繁殖から引退した犬や猫を殺処分したりするなどの悪質な業者が問題となっています。
ブリーダーは責任と愛情をもってペットを繁殖させ、飼育することが求められます。
また、ペット需要の多様化も最近の傾向です。
犬・猫以外には以下のような珍しい小動物や鳥のペットが人気です。
- フクロモモンガ
- ショウガラゴ
- ウサギ
- メダカ
- 文鳥
ブリーダーの数が少なく需要の高い生き物を扱うというのも、ブリーダーのやり方のひとつでしょう。
近年では、会社員をしながら副業としてブリーダーを始める人もいます。
安定した収入を得ながら、好きなペットの繁殖をサイドワークにするのは理にかなっているといえます。
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ブリーダーに向いている人の特徴3つ
ブリーダーに向いているのは、以下の3つの特徴を兼ね備えている人です。
- 動物に対する責任感と愛情
- 動物を相手にする粘り強さ
- 勉強を続ける姿勢と人脈
ブリーダーに向いている人は、命ある動物たちを扱うため、動物に対する責任感や粘り強さ、また日頃の世話をきちんと行えることは必須条件といえます。
毎日の餌やり、排泄物の処理、健康管理はもちろん、病気になってしまう可能性もありますし、出産が夜中になることもあるでしょう。
動物のペースに合わせなければならないことも多く、「好き」という気持ちだけで成り立つ仕事ではありません。
またお金は関係なく、動物に愛情を注げる人であることも重要な要素といえます。
動物の繁殖を手がけるには、餌代、ワクチン代、出産費、定期健診代、ケア用品代など多額の経費がかかってしまうのが現実です。
売り上げから経費を引くと、手元に残るのはほんのわずかということもあり得るため、すぐによい結果が出なくても、動物の面倒を見続ける必要があります。
さらに立派なブリーダーになるには、積極的に行動し、正しい情報を集められる力も大切です。
ブリーダーが集まるドッグショーに参加したり、ブリーダーとして働く先輩から話を聞いたり、常に動物に関する知識を深めていく姿勢が不可欠でしょう。
ブリーダーになるには|まとめ
- 必須の資格はないが専門的な知識が必要
- 専門学校や資格は就職に有利になることも
- 独立開業するには資格と登録が必要
ブリーダーは、なるために特別な資格などは必要なく、年齢制限もないため広く開かれた職業です。
ただし、実際にブリーダーとして働いていくには、専門知識が不可欠です。専門学校や通信教育など、自分に合う方法で知識を身につけるとよいでしょう。